PBL

聖徳学園 国際協力プロジェクトの活動

11月9日、そして14日、15日と3日間にかけて聖徳学園で国際協力プロジェクトの中間報告が行われました。このプロジェクトは、JICAの青年海外協力隊のサポートを受けながら聖徳学園の高校2年生が1年間かけて国際協力を行っていく学習です。今年は、ルワンダ、ミクロネシア、タイ、スーダン、モザンビーク、インドネシアについて、年度末の成果報告を目指し各クラスがリサーチを行っていました。 by 鈴木裕之:海外帰国生教育研究家

私が見学したのは、インドネシアを担当するクラスのプレゼンテーションです。5名ほどで構成されたチームが、インドネシアの現状をどのように捉え、そこから何を学び、何を届けようとするのかを5分間で発表します。

チームによって発表のスタイルは様々。審査員でもある校長先生に質問をぶつけてくる元気なプレゼンターもいれば、感情を抑えたトーンでインドネシアの貧困を切実に語りかけるプレゼンターもいます。スタイルが様々であっても共通しているのは「何かの役に立ちたい」という思いです。

インドネシアであれどの国であれ、基本データなどはインターネットでいくらでも集めることができます。しかしこのプロジェクトでは単なるリサーチにとどまらず、その国が抱えている問題に目を向け、同じ地球市民としてどんな協力ができるのか、またその意識をどのような行動につなげるのかというゴール設定をしているところに特徴があります。

それぞれの国が抱えている「問題」というのは、あくまでも主観というフィルターを通したものです。地域や個人によっても問題の捉え方は異なります。生徒たちは、各チームのプレゼンテーションを見て、あるいは青年海外協力隊など外部の人のフィードバックを得ながら、自分たちの問題の捉え方をリフレクションしていきます。

このプロジェクトを推進する山名先生が中間発表という場を設け、そこにこだわるのは、他者の目を通したリフレクションを体験させたいという意味があるからでしょう。プレゼンテーションの前に昼食会を設けたり、プレゼンテーションの後に学校関係者以外の人にコメントをもらう場を作ることで、生徒に外部評価というものを意識させているわけです。

ステレオタイプな見方でその国を捉えるような国際協力はかえって先進国の独善になってしまうことは、青年海外協力隊の実体験を取材することで生徒たちは学習済みです。自分達の問題の捉え方をクリティカルに考える習慣は、海外の人たちと協働していく際に必ず役立つスキルとなります。

それにしても山名先生は、プロジェクトのコーディネーターとして青年海外協力隊という外部のエキスパートとうまく役割分担をしていました。生徒たちが前向きに取り組めるようにちょっとした励ましの言葉をかけたり、時間にルーズになっているグループには、あえて順番を後回しにするなど、「仕切る」ところでは緩急自在に生徒たちをリードします。

そんなリードに助けられる面もあって、生徒たちはみな伸びやかな雰囲気で発表しています。高校生のプレゼンテーションでは、この明るさがベースにあることが大切です。チームで協力する力があるからこそ国際協力も可能になるのです。

貧困などの原因を突き詰めていけば、個々の原因に共通する構造的な問題が浮かび上がってきます。今回のインドネシアチームは、他の国を担当するチームのプレゼンテーションを見て、その問題が、実は国内にも同じように横たわっていることを見抜いていくはずです。貧困に限らず、様々な問題に同様の構造があることを理解するためには、このような横断的な学びが必要になるわけです。

こういった横断的なプロジェクト学習が可能になるのは、聖徳学園という学校全体がプロジェクト学習を進めていることに関係しています。

校長の伊藤先生は、いくつもの新規プロジェクトを外部と連携しながら進めています。それぞれのプロジェクトに推進役を立てて、見事に指揮を振っているのです。聖徳学園の生徒たちがプロジェクト学習における様々なスキルを習得するのは、こういう学校文化が働いているからなのでしょう。

工学院 英語はプラクティカルに

これからの英語教育において、4技能英語、PBL、ICTは、いずれも欠かせない要素。しかし、一方で知識や文法軽視の短絡的な発想も広まっている。そしてまた相変わらず、まず知識や文法を学ぶことが基礎学力だという昔ながらの短絡的な発想も根強い。

工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」と表記)の英語科主任田中歩先生は、生徒が英語を使う環境に置かれたときに、どのように英語を使ってコミュニケーションするのか、その実際的な場を授業ではマインドセットしているため、そのような2つの短絡的発想は、工学院の英語科では、そもそもないと語る。by 本間勇人 私立が校研究家

文法で、よくある授業風景は、たとえば、能動態を受動態に書き換えるトレーニング授業。多くの英語の授業で、機械的に書き換える演習問題をこなしていくシーンは、筆者自身も遠い昔中学時代に体験済みだ。

しかしながら、工学院の英語科は、この文法授業を行う際も、そうはならない。というのも同校の英語科がシェアしている英語教育方法論はCLILであるからである。CLILは、Content and Language Integrated Learningの頭文字で構成された呼び名で、クリルと呼ばれている。イギリスをはじめ、ヨーロッパで広がっている方法論。田中先生は、一般財団法人日本私学教育研究所が主催している外国語教育改革部会の研修の特別委員でもあり、ブリティッシュ・カウンシル、上智大学 国際言語情報研究所などのリサーチの成果であるCLILを学び、工学院英語科でシェアしている。

そして、同校が採用している英語のテキストは、Cambridge「Uncover」で、これはCEFR基準を明確に意識して、CLILの方法論に即して構成されている。したがって、英語を活用している臨場感のあるシーンを足場として、実用的にコミュニケーションする授業となる。教師も生徒もプラクティカルウィズダム(実用知)が発動するようなテキストなのである。

だから、機械的に能動態と受動態を書き換える作業をしていると、“Look at that window! Ken broke it.”などという実際のコミュニケーションでは使わない表現をしてしまいがちだが、そうならないのが、工学院の英語科の授業なのだ。

 

田中先生によると、

「能動態と受動態の書き換えトレーニングをやるよりも、両者にはどんな違いがあるのかを生徒と考えます。言葉は生き物ですから、表現が違えば、ざっくりとした意味は同じかもしれませんが、ほかに伝えたい何かがあります。ですから、そもそも違うわけです。その違いは生徒とリフレクションします。英語だけではなく、日本語も感情やニュアンス、暗示など意味以外に伝えたい情報の複雑系が実際のコミュニケーションです。
 
能動態と受動態では、主語が違いますから、語順が入れ替わります。すると、それは、送り手が強調したいことが変わるからだということは生徒たちはすぐに気づきます。先ほどの例文などのように、いろいろなシチュエーションで英語を使っていくと、情報が既知か未知かなどにも気づいていきますが、このへんまでくると、すんなりはいかないので、生徒の反応を見ながらアプローチを変えていきます。
 
 
dialogue形式で2つの態を聞かせてモヤ感を作ったり(1人で2役やります)します。 当然、会話なので 能動態→主語にspot 受動態→モノや受け手にspotといったことを意識して対話ができるようになれば、実際に使われる状態が見えます。
 
単純な能動態と受動態の書き換えではゴールは見えませんから、“People made the wall of bottles.” と“ The wall was made of bottles.”の2文を例に挙げて、伝わり方の違いを議論することもあいます。正解にたどりつくことが目的ではなく、その違いを想像したり、予測したりすることこそ、実際のコミュニケーションで行われていることだと思います。
 
このような、議論をしたあとに、“Soccer is played by 11 players.”をあえて、機械的に“11 players play soccer.”と書き換えてみて、何が違うのかと問うと、おかしい!とピンとくる生徒も多くなります。自分たちも受けてきた、書き換えばかりで定着させようとする授業では、このような違いには着目しないので、プラクティカル(practical)ではありません。
 
 
CLILはこういう実際的な環境を設定するということにこだわりますが、もう少し深く考えるコンテンツも大切にしています。授業は、実はここからが醍醐味です。このあたりでPBLにいよいよシフトしていくわけです。テーマについて受動態の文を使ったライティングをグループ作業でおこなうというのもありますが、私が最近行っているのは、プロダクトベースのPBLです。
 
何かの製品を考えて説明させるアクティビティを入れます。たとえば、家というテーマは身近でもあり、どこまでも深く議論していけます。絵をデザインし、英語でプレゼンをしていくのですが、“This house has a solar panel. The heat from the sun is used to give power to the house.”というように、受動態のおまけで不定詞もコラボできてしまいます、
 
 
LEGOも使います。ツールはとにかくたくさんあります。実際のコミュニケーションは、周りにあるものはなんでツールとして使うので、多様なものを活用するのがCLILの特徴です。」
 
田中先生の話を聞いていると、工学院の英語教育は、このような生徒のプラクティカルウィズダムを英語で鍛えているということがよくわかる。実際の状況に置き換え、戻していくことでdebateやnegotiationという特別な場面だけでなく、日常のコミュニケーションの中でも、Critical thinkingを活用できるようになる。田中先生のプロダクトにつながっていく英語の授業では、Creativityの能力を生み出すきっかけにもなっている。
 
田中先生は、「文法は、日本の英語教育の固有の特徴だというのは幻想です。イギリスでもアメリカでも行います。ただ、プラクティカルなCLILのような方法で行っています。そもそも文章の骨組みですから、家を建てるときに設計図や骨組みを考えるのと同じです。生徒は、文法を通して、実はデザイン思考も豊かにしていけると信じています」と語ってくれた。

 

 

 

アサンプション国際中高 PBLの原理に迫る

アサンプション国際中高のPBL型授業への取り組みは、日々進化/深化している。未来プロジェクトチームの先生方は、授業のリサーチを開始している。授業を実施しながら、要所要所で動画を撮影し、それを自分でモニタリングして、それをミーティングでシェアしていく。その過程で、プログラムデザインの意味や生徒の反応を議論し、さらにPBLの究極の原理であるコペルニクス的転回をどこに挿入するか創発対話を行っていく。by 本間勇人 私立学校研究家

数学の三歩一先生は、実際にドーナツを持参し、解体してトーラス図形の体積を生徒といっしょに考える。どうやって体積を出すか生徒の議論は創発的。中学の単元が高校の積分につながっていくように仕組まれている。

コペルニクス的転回とは、カントやトマス・クーン、あるいはニュートンのプリンキピアにあるような知的かつ感性的驚愕構造。究極のPBL原理で、この原理からAとBの多様な関係態が広がっていく。プロジェクトチームでは、この関係態を今のところ5つ発見している(企業秘密^^)。

紅谷先生は、高3の授業で、平塚雷鳥の論考を読解していたかと思ったら、おもむろにジェンダー指数のデータ集を取り出し、チームでディスカッションにシフト。平塚雷鳥のコンテンツにこだわり続けるのではなく、創発を生み出すすPBL原理の思考スキルを活用する学びに転換。

平塚雷鳥の発想が、まだまだ生きていることに逆に気づく。思考とはズレであり、表現とはそれを発見した時のサプライズをインパクトある表現と化する。わかりやすいとは、易しく表現することではない。衝撃を共感できるかどうかがカギ。

廣田先生の英語の授業は、悩める思考実験の問題でも、軽やかにスルー出来る教科書でも、驚きが生まれる仕掛けを埋め込んでいる。難しがろうか易しがろうか、立ち止まる瞬間を大切にしている。そこに学びの真実が宿っていることを生徒が実感する授業。

篠原先生の英語の授業は、とにかくインパクトがある。特にスキットとして英語でプレゼンするシーンは、感動的。発音、イントネーション、静音の効果、ジェスチャー、ニュアンスなど、言葉が、今ここでそこに呼び覚まし、映し出すシーンは、臨場感がある。感情教育にもつながるPBL型授業。

PBL型授業は、生徒の多様な能力や才能を引き出す空間であるが、その空間が広がったとき、そこにようやく人生の真実が灯る

PBLの原理、まだまだあと5つくらい見つかるだろう。でも当面、それはアサンプション国際の奥義となる。

 

 

 

 

 

 

順天 新しいキャリアデザインへ

順天中学校・順天高等学校(以降「順天」)のカリキュラムは、系統学習、探究学習、統合学習の3つが6年間有機的に結びついて織りなされている。このカリキュラムを基礎に、高校からはSGH(スーパーグローバルハイスクール)のプログラムが展開される。

そして、そのカリキュラムの実践の中心は、PBL型の授業で、正解が1つではない問題についても、教師と生徒、生徒と生徒が対話しながら思考を深めていく。この正解が1つではない問いかけは、学力を高めていくとともに、自分とは何か、自分と世界はどうかかわっているのか、互いに世界の痛みを共感し、なんとかしようという意志を共有できるのか、世界にかかわる自分の存在意義や存在価値に気づくきっかけとなっている。

今年も、順天では、SGHのプログラムの一環として、59講座から成る“Global Week”が開催。講師は、大学の教授陣、起業家、メディアの編集者などで、多様で多角的な知を共に学び合うプログラム。そして、今回は、「JICA国際協力 高校生エッセイコンテスト2016」で文部科学省を受賞した、同校高3の柴田藍さんが、大学生でプロジェクトを形成している“Beyond School”とコラボして、「留学×キャリアワークショップ」を開催した。by 本間 勇人 私立学校研究家

(理軒館PBL1のスペースでは、立教大学経営学部経営学科教授 副総長 山口和範先生による「グローバル世界で求められる統計的思考力」の授業が行われた。)

この“Global Week”は、たんに大学の先生方による出張授業とは意味合いが異なる。順天校長長塚先生はこう語る。

 

「SGHのプログラムの一環である高大連携の活動です。SGHでは、PBLをベースに多角的視点及び国際的視野をもって探究活動を行っていますから、海外へのフィールドワークやこのような高大連携のプログラムを実現しているのです。探究ですから、正解は1つではないし、どこまでも広がり深まっていきます。

ですから、教師も生徒も共に学び合う機会になっています。これによって、互いに新たな関心領域に気づき、そこを探究していくきっかけを作ることができればと思っています。この探究活動から、自分という存在の意義や価値を知ることができるし、自分が他者と何ができるのか、世界に貢献できるのかなど自分の社会における役割を引き受けることにもなります。

大学を選択するとき、たんに偏差値やブランドで選ぶのではなく、自分の存在の意味や社会や世界に対する役割が意識されることによって、進むべき場としてその大学を選ぶということになればと期待しているのです。」

 

この長塚校長先生の考え方には、順天の3つのポリシーそのもの及び、新しいキャリアデザインの方法が映し出されている。今回の柴田藍さんと“Beyond Scool”のプロジェクトとのコラボレーションは、ある意味その象徴的な活動だった。

 

このワークショップは、柴田藍さんのプレゼンテーションから始まった。留学のきっかけ、留学によって先入観が砕かれたこと、ある確信を抱いたこと、自分の存在意義とそれをもとに自分が何に挑戦するのかある意味ミッションを引き受けたこと、そしてそれを実現する大学を見つけ、そこに進むという、セルフキャリアデザインのストーリーが見事に提示された。

柴田藍さんは、高2のときに「トビタテ!留学生JAPAN」の留学支援を受け、ロンドンに留学した。中学のころ父親が交通事故になって、障害を負い、職も失った。最初心身ともにダメージを受けていたが、パラリンピック出場に向け明るくリハビリに励み、再就職も果たした父親の姿を見て、あらゆる状況におかれている人間存在の意味に気づいたようだった。

そこで、ロンドン留学することを決め、ストーク・マンデビル病院に行き、そこのスタッフにインタビューをした。そこはパラリンピックの発祥地である。その病院に隣接するスタジアムで子供から年配者まで健常者と障がい者が設備を共有している姿に出遭った。日本ではない光景に、強烈な印象を受け、世界の障がい者のことについて調べることになった。

そして、障がい者の80%が開発途上国にいることを知った。最初、貧困、教育格差、医療不足と障がい者が多いということが結びつかなかったが、高3の夏ラオスに行って、「戦争」が原因であることを思い知った。地雷の撤去がまだ終わっていないために、地雷を踏んだりして障がい者になってしまうのである。

柴田藍さんは、パラリンピックの意味が世界平和に直結する意味を身に染みてわかったということである。そこから柴田藍さんは、開発途上国で、パラリンピックを開けないものか考えるようになった。開発途上国で障害を被った人々に希望を生み出すことができるかもしれないし、経済発展にもつながるのではないかと。

パラリンピックをはじめ、スポーツによって世界平和に貢献するために学ぶために大学に行こうと、柴田藍さんは意思決定したということである。

彼女のセルフキャリデザインへのメッセージは「“好き”に向かい合ってみませんか?」である。自分が関心をもったもの、それは実は愛と同義語だが、それに正面から純粋に真摯に向き合ったとき自ずと自分の進む道が開けるという彼女自身の実感から流れでた言葉だろう。

柴田藍さんのプレゼンの後、10人の大学生とともに、自分の進路について考えるワークショップが行われた。10人の大学生は、それぞれ世界各国に留学し、柴田藍さんと同じように自分を見つめ、多くの人と共有すべき何ものかを見出し、自分の道を開いた体験者ばかり。今回のキャリアデザインのワークショップでは、このような大学生ロールモデルと対話することで、在校生は、それぞれ自分を見つめるきっかけになったことだろう。

(理軒館地下1階Labo2のスペースでは、朝日新聞社編集委員の石飛徳樹先生による授業が行われていた。)

“Global Week”では、様々なテーマで講座が開かれている。朝日新聞社編集委員の石飛徳樹先生による「より面白く映画を見るために」というテーマもたいへん興味深かった。ある映画作品を実際に見ながら、その編集の仕掛けを分析していったりしていた。

(理軒館地下1階Labo1のスペースでは、東京理科大学経営学部経営学科教授佐々木隆文先生による授業が行われていた。)

東京理科大学経営学部経営学科教授佐々木隆文先生による「企業の目的とコーポレートガバナンス」も、現代社会や政治経済などの高校の教科書では学べないリアルな問題が問いかけられていた。教科書では、企業は利益を生み出すものであると語られはするが、実際の経済社会では、その逆が行われている場合もあるという経済成長のパラドクスを考えていくまさに正解が1つではない授業。

(新江梨佳先生の授業のテーマは「コミュニケーション能力を問い直そう」)

順天SGH支援員である東京大学教育学研究科修士課程の新江梨桂先生は、授業や生活において人間の存在を形成するベースであるコミュニケーション能力を問い直すワークショップを展開していた。

見学したその日は、14:30から16:00まで、13講座が同時開催されていた。どのテーマも興味深いものだった。その多様性は、高校生1人ひとりに、それぞれの「“好き”に向かい合ってみませんか?」という柴田藍さんのメッセージを届けたに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

富士見丘 クラウドを活用した先進的PBL授業

富士見丘は、SGH(スーパーグローバルハイスクール)認定校として3年目を迎える。その成果は、文部科学省の高い中間評価に顕著にあらわれている。今回は、対象校56校の1つとして評価が実施され、その結果が2017年9月29日に公表された。

6段階評価の上から2番目という高い評価。つまり、「これまでの努力を継続することによって、研究開発のねらいの達成が可能と判断される」というもので、東日本地区の私立校では、同校だけという高い評価だったのである。すなわち、東日本№.1のSGH私立校といえる。 by 本間勇人 私立学校研究家

この同校のSGHの教育活動は、日本の教育現場から見ると破格すぎて、従来の受験市場では、どう評価してよいのか認識するのか難しい。太陽を直接見ることができないように、同校の教育エネルギーがあまりにも熱すぎて、目を背けてしまいがちだ。

ところが、グローバルな世界からみると、日本にも、自分たちの子弟を入学させる環境が充実している学校があるではないかと歓迎される。

 

  • 少人数であり、全学年にPBL型授業が浸透していること。PBLを実現するには、外部との連携が重要であるため、慶応大学、上智大学、武蔵野美術大学、日本女子大との高大連携も実施されている。
  • C1レベルの英語の環境があり、それが模擬国連などで外部活動のネットワークを広げていること。
  • ICTが整い、グーグルフォームやマイクロソフトシェアポイントを活用して学習ポートフォリオをクラウド上で共有できること。
  • 留学や海外研修の機会が破格に多いこと。
  • 教員間のコミュニケーションが学習する組織を形成していること。教師と生徒のコミュニケーションがNVC(Nonviolent Communication)であること。

 

以上の5点が揃っている学校は、抑圧的で縦社会の学校文化を前提にしている今日の日本では希少価値がある。それゆえ、今まで理解されるのも難しかった。

しかし、デジタルネイティブで、フェア、フラット、フリーダムという3Fを価値観としてもつ子供が増えてきたために、そのような子供の中で、グローバルな真のエリートとして気概のある生徒は、富士見丘を注目しはじめた。

高校で帰国生が増えているのは、その証拠であり、中学でICTを使ったプレSGHプログラムの学びを「楽しい!表現したい!」と語るのも、その証拠であろう。

どの学年も、学校に準備されているタブレットを活用してPBL型授業をしているのだが、、今年の中学1年は、タブレットPCを1人1台所有して、授業に臨むようになった。

たとえば、その中1の家庭科の授業では、タブレットPCを活用して、調べるだけではなく、「骨密度測定」というデータサイエンスの接近までしている。これが可能なのは、なんといっても、日本女子大とコラボできる高大連携型のPBL授業がベースにあるからだ。

大学と連携することで、実際に自分たちの骨量などを測定できる。知識としての骨密度ではなく、自分自身の身体の健康維持をしていくことがいかに大切か実感を抱けるし、同校のSGHのキーワードでもある「サスティナビリティ」にも関連する探究ができる。

というのも、骨密度を基準値にもっていくためには、栄養学的探究が必要になってくるからだ。つまり、食べ物と水や二酸化炭素などの自然環境とのつながりを意識し、自分が健康であることが、実は自然環境の好循環に関係しているということが実感できるようになるからである。

このような重大な自然と命の関係の探究を、タブレットPCでマイクロソフトのSharePointというアプリを活用することで促進していく。

つまり、たとえば、自動計算できる成分表を美濃部先生がエクセルで作成し、SharePointで一気に共有する。生徒はダウンロードして、作成し、再び、投稿して、美濃部先生に送ることができる。

この過程は、個人ワーク→シェア→リフレクション→再編成→探究というプロセス循環をスムーズにし、今までの授業で費やしていた時間を短縮できる。そのことによって考える時間が生まれるというわけだ。

そして、このリフレクションの作業と再編集という作業に、富士見丘がグローバル高大接続教育で最も大切にしているアカデミックスキルを鍛える機会が埋め込まれている。

そのアカデミックスキルとは、ロジカルシンキングとクリティカルシンキング、そしてクリエイティブシンキングである。2020年以降の大学入試改革には当然対応できるし、何よりも海外大学進学準備として絶対に必要な思考のスキルなのである。

12月17日(日) 「第1回21世紀型教育機構千葉カンファレンス」開催

2017年12月17日(日)、「第1回21世紀型教育機構千葉カンファレンス」を開催いたします。

 

お申し込みは、終了いたしました。年末のご多忙の時にもかかわらず、多くの方のご参加、心から感謝申し上げます。

 21世紀になり、4半世紀を迎えようとしています。そこに向けて、時代は、政治、経済、社会、文化、国際関係、さらに人々の価値観や人間関係などに至るまで、私たちを取り巻く社会環境のあらゆる局面にわたって予測不能なほど激しく大きなパラダイム転換が起きています。
 
 その転換のテコが、ICT、特にAIというイノベーション隆盛によるものであることも明らかになってきました。生命システム、環境システム、ものづくり生産システム、消費システム、エネルギーシステム、人間の在り方そのものが21世紀システムとして大変貌しているのです。
 
 その中で、今日、高大の教育システムの転換が遅れに遅れていることは火を見るより明らかです。このままでは、あらゆる領域で転換する21世紀システムの人材を育成することができません。
 
 そこで、21世紀型教育機構は、2011年以降からいち早く、21世紀教育システムを研究開発し、実践してきました。そして、その成果が早くも生まれ始めています。2020年大学入試改革は、入試問題制度の変更ではなく、地球規模の全体のパラダイム転換への突破口であるはずですが、20世紀システムのしがらみから解放されるにはしばらく時間がかかりそうです。
 
 そのため、時代は、私立学校に、先頭に立って、20世紀教育システムを創造的に破壊し、21世紀型教育を構築する使命を求めています。21世紀型教育とはいかに組み立てることができるのか?このままパラダイム転換の波に追いかけられ、飲み込まれる道を選ぶのか、パラダイム転換を創出する道を選ぶのか?
 
 2018年以降急激に12歳人口は減少します。その減り方は尋常ではないでしょう。この危機と恐怖を希望に変えるために、21世紀型教育を考える機会をぜひ共有したいと思います。
 
 

 

アサンプション国際中高 C1英語×PBL×ICT×哲学広がる

今春、アサンプション国際中学校高等学校(以降「アサンプション国際」)は、校名変更、共学化、21世紀型教育の実施と多角的な教育改革を実施した。半年が過ぎて、その改革のテンポは序破急。英語、理科、数学のイマージョン教育の評判は、世界に点在する帰国生にも轟き、学校説明会の参加者もグローバルな様相を呈してきた。10月1日の中学と高校の説明会参加者の数も増えた。両方を合わせて前年対比136%である。

改革学年は、中学校1年生と高校1年生であるが、C1英語やPBL、そして哲学的学びは、他学年にもインパクトを与えている。今年の高3の成果にも、良い影響がすでに生まれてるという。つまり、8月までの改革のテンポはじっくり行う「序」(すでに昨年からじっくり準備を重ねてきていたという)であったのが、9月になって、そのテンポは「破」にシフトした。一人一台のタブレットの環境(貸し出し用のPCは60台強あるので、授業によってすべての学年が活用)は、中1と高1であるが、C1英語とPBLの学びは他学年に急激に拡大しはじめた。by 本間勇人 私立学校研究家

 

(左から理科弓庭先生、国語紅谷先生、校長江川先生、英語丹澤先生、英語篠原先生、英語廣田先生。校長室で、いまここで未来を創ろうと語り合ったという。)

そして、江川校長は来年、改革の勢いを「序破急」の「急」にシフトすべく、多くの先生方と日々語り合い、先生方の授業も見学し、フィードバックしながら対話を深めている。生徒とも不定期ではあるが、校長哲学教室も開き、考えること、気づくこと、行動することのスキルについてメタ的な対話を実践している。

江川校長は「今のところ対話は小さく初めているのですが、そのうち大きく育ちますよ。マタイの福音には、こんな趣旨の聖句があるんですが、ご存知ですか。ある人がからし種をとって畑にまくと、それはどんな種よりも小さいが、成長すると、野菜の中でいちばん大きくなり、空の鳥がきて、その枝に宿るほどの木になるというのです。私は、これは教育も同じだと思っているのですよ」と語る。

かくして、たくさんいるネイティブスピーカーの教師のPBLは、広くほかの先生方にも波及した。

 

 

ロング先生の高1の生物の授業は、弓庭先生とのコラボ授業。C1英語×PBL×ICT×生命科学という21世紀型授業のプロトタイプの一つ。授業終了後に、クリエイティブティを普段の授業で養うことができるのかというテーマで対話。丹澤先生と廣田先生が通訳してくれたので、思う存分対話ができたのだが、コンテンツを創るという、learning by makingは、やはり時間が足りない。

しかし、サイトに入って、5分で人間の人体の臓器を組み合わせて、人体を再現してみようというトレーニングを行う時、5分間でできない生徒もいる。そんなときその限界を超えるには、どうしたらよいのか生徒と瞬間的なリフレクションやフィードバックをするとき、実はクリエイティブティの種やモチベーションが生まれると。

つまり、Whatとしての創造性なのか、Howとしての創造性なのかは、探究授業と普段の授業とでは役割が違ってよいのではないかということのようだ。授業と授業の合間の短いひと時ではあったが、このような対話ができる学習する組織を江川校長は着々と形成しているのだ。

 

 

廣田先生の高2の英語授業も実におもしろかった。ジレンマ、トリレンマの思考実験問題を英語で出題。チームでディスカッションして、問題解決していく。もちろんオールイングリッシュなのだが、思考が深まるにつれ、英語から日本語に移行ししてしまう。

 

廣田先生は、簡単な問題だとオールイングリッシュでできるが、それだと思考するトレーニングとしては、生徒たちもおもしろくない。どうしても、一見身近な問題だけれど、その背景には大きな問題や、自分たちにとっても人生の岐路にかかわるような問題が隠れていることに気づいてほしいし、生徒自身もそういう問題を考えたいと思っている。

 

では、そのような高次の問題も英語でディスカッションできるようになるにはどうしたらよいのか?英語力を高めることは当然だが、それ以上に環境設定が大切ではないか?対話の中でそのことに気づいた廣田先生と江川先生は、なるほどだからこそやはり帰国生や留学生などの多様性ある環境を学校の中に持ち込まなければと。学習する組織とは、対話の中で、クリエイティブな問題を見出す仕掛けであり、それをどのように解決していくか、みんなで動くエネルギー態なのであろう。

 

田中先生の中3の古典の授業。教室に入ると、侃々諤々議論している。枕草子の回の授業で、議論しながら、何か創作編集している。古典といえば、古典文法と古語の暗記に基づいて、文語を現代語に変換する授業だと思っていた。

ところが、現代版「枕草子」を創作しようというのがテーマだった。清少納言の文体を模倣しながら現代版にするのだが、現代語を使った随筆を書くのではない。清少納言になったつもりで、その当時の言語で、現代を読み解くという設定。

田中先生いわく、「古語も言語ですから、やはり実際に使ってみなければ、古典に親しめないし、現代との比較スタディーもできません。また、生徒は古語を使う過程でいろいろな思いがよぎるでしょう。古典の授業も創造的な学びはできるのですよ」と。

21世紀型教育は、古典の世界にも新たな光をあてる。授業が創発の場になっているアサンプション国際。2018年は、いよいよ「序破急」の「急」のテンポで改革は進むのではなかろうか。

 

 

 

 

富士見丘 東日本ナンバーワンのSGH私立校

文部科学省は、平成26年度からSGH(スーパーグローバルハイスクール)の指定校の制度を設定。現在、全国の国公私立高等学校4,907校から、全体の2.5%に当たる123校(国立12校・公立73校・私立38校)が指定され、富士見丘も指定校として3年目を迎える。そして、文科省は、指定期間の中間年にあたることから、中間評価を行った。

その結果が、本年9月29日公表された。富士見丘には、6段階評価の上から2番目という高い評価がなされた。この評価は東日本地区の私立学校の中では、富士見丘しかなく、東日本でナンバーワンのSGH私立校となったのである。(本間勇人 私立学校研究家)

 

(2017年10月1日文化祭で。模擬国連部のシミュレーションディスカッションが披露された。)

☆文科省は、同校の次の点を高く評価している。

○全生徒へプログラムの成果普及が図られている点や模擬国連部の創設は英語を活用して国際的グローバル課題を議論させる装置として効果的だと高く評価できる。
○英語教員とネイティブ教員が一体となり、教科横断型授業へ取り組むなど工夫・意欲がみえ、将来につながる動きと見える。また、SGHカリキュラム担当者の編成について、すべての教員がローテーションで担当できるように配慮するなど、学校全体としても意識改革を求める工夫がなされている点が評価できる。
 
☆ちょうど、文化祭の時に模擬国連部が、自分たちの活動をビデオでプレゼンしたり、実際に模擬国連でのディスカッションをどのように行っているかシミュレーションするパフォーマンスもなされた。
 
 
☆ディスカッションは、もちろんオールイングリッシュである。高1の生徒が中心に行っていたが、すでに英検1級を取得している生徒が3人いた。模擬国連部の英語のレベルは、言うまでもなくCEFR基準でC1英語。今後TOEFLや英検でハイレベルのスコアを出す生徒が増えるだろう。
 
☆しかし、何よりも、模擬国連部の意義は、同校のSGHプログラムの発展形として部活で実施されているということなのだ。つまり、模擬国連部に所属しているメンバーだけが高度な英語力やディスカッション力を有しているのではなく、学校全体で、普段の授業の中で取り組んでいるSGHプログラム活動の結果、さらに突出した生徒の活動が部活となって誕生したということなのであって、取り出し授業など、英語のレベルが高い生徒とそうでない生徒とを分けているわけではない。
 
 
☆SGH指定校は、英語4技能の目をB2とされ、授業はPBL(プロジェクト型学習)を行うことを課せられている。さらに、特別に選ばれた生徒だけがSGHを受講するのではなく、全員が受講できなければならないのだ。
 
☆ただし、SGHに指定されていながら、その課題をなかなかクリアできない学校には、見直しを促す厳しい評価を、文科省は行っているほどだ。
 
☆その点、富士見丘は、学校全体で取り組み、教師もローテーションして全員がプロジェクト学習、すなわち2020年大学入試改革に伴う次期学習指導要領の目玉である、「主体的・対話的で深い学び」というアクティブラーニングの視点から授業を行うスキルをはやくも身に着けているのである。
 
 
(模擬国連では、各国の代表チームとして、グローバル・イシューについて国際解決の提案をする。そして、ディスカッションして、政策作成の調整を交渉していく。文化祭ではそのプロセスもパフォーマンスで表現してくれた。)
 
☆その点を、文科省が高く評価したところなのである。
 
☆このことは、21世紀型教育機構理事長校として、面目躍如であり、機構挙げて誇りに思う結果である。

 

 

 

 

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「グローバル高大接続改革の時代到来〜2020年大学入試改革の本当のねらいを明らかにする」シンポジウムが開催!【前編】

去る2017年5月27日(土)、「グローバル高大接続改革の時代到来〜2020年大学入試改革の本当のねらいを明らかにする」と題した、第2回21世紀型教育機構シンポジウムが明海大学浦安キャンパスで開催されました。
 
2020年、これまでのセンター試験が廃止され、代わって「大学入学共通テスト」が導入されることは、すでに教育関係者ならずとも大きなトピックとして語られています。
 
その大学入試改革では、評価方法や試験内容がダイナミックに変更する予定ではあるものの、この時点では具体的な内容が不透明でした。現役の文科省審議官やハワイ大学教授の講演が聞けるということもあって、教育関係者を中心に高い注目を集め、早いタイミングで定員に達しました。
 
「高大接続改革」の背景には、実は「グローバル高大接続改革」があります。このことは多くの現場では、当面実感が伴わないため、前面にでてきません。しかし、この背景も含めて今回の2020年の大学入試会改革を俯瞰しなければ、予測不能な時代に生きる日本の子どもたちの未来は、結局何も変わらない可能性があります。
 
したがって、今回は、改革の背景にある意図を丁寧に解きほぐしていくようなセミナーとなりました。      (教育見届け隊ライター/市村幸妙)
 
 
 
司会を務める工学院大学附属中学校・高等学校校長の平方邦行先生は開会にあたり、
「『2020年大学入試改革の本当のねらい』について、本当の意味は誰にもわからないかもしれませんが、今回登場いただく方々の話を聞いていただき、どういうものかという本質について解き明かしていきたいと思っています」と宣言します。
5月16日に文科省から発表された新教育指導要領について触れながら、日本の教育がどう変化を遂げていくのか、過渡期に直面している現状を改めて考えさせられる開会のことばでした。
なお、この後「高大接続改革の実施方針等の策定について」が7月13日に文科省から発表されています。
 
【講演①】21世紀型教育機構とグローバル高大接続改革
 
 
まず登壇したのは、21世紀型教育機構理事長の吉田晋先生です。富士見丘中学校高等学校校長、日本私立中学高等学校連合会会長であり、第7期中央教育審議会委員などでも活躍されています。国内外の教育事情に精通し、様々な立場から文科省へ提言したり、折衝されている私学人です。
 
私立学校のみならず、公立学校も含め日本の教育のビジョンをデザインする多大なる貢献をしています。
 
21世紀教育機構としてこれからの教育を考えてきた10年以上の研究を振り返りながら、なぜこの活動を行ってきたのかを含め、今後の教育のあり方や英語外部検定試験についての大胆な問題提起が行われました。
 
意識が変わってきている、大学選びの基準
日本社会は、東京五輪などを含めて、2020年を境に大きく変容しようとしています。教育も2020年の転換期を控え、文部科学省・政府において、大きく舵が切られています。
 
21世紀教育機構では、これまでのような単なる暗記力・記憶力をつけるだけの一方的な教育や偏差値で輪切りにされた中高大での学校選びを否定し、そこからの脱却を図り、本当に子どもたちにとって役立つ教育を行うための21世紀型教育を探求・実践してきました。
 
吉田先生は、同機構及び加盟校ではこの10年に渡り、どんな教育を行えば、生徒たちがこれからの社会で通用する力をつけられるのかを研究し、何を目指して21世紀型教育を実施してきたのかを力説します。
 
そこで意識されていた、これからの子どもたちに必要と掲げられた力に以下があります。
 
①自らの考えを人に対して伝えられること
②この国のためにしっかりと働ける人材となること
 
例えば①は、「表現力」や「主体的・対話的で深い学び」として新学習指導要領にも明記されたり、2020年の大学入学者選抜改革でも記述問題が出題されますが、これらにおいて肝となってくる事項です。
 
吉田先生が校長を務め、SGHの認定を受けている富士見丘学園では、サステイナビリティ(持続可能性)の考え方をベースに国内外で様々なフィールドワークを実施。「災害と地域社会」、「環境とライフスタイル」などにおいて問題を発見し、解決へ向けて仲間たちと共に、各自でも調べ思考し、発表の機会をふんだんに設けています。
 
②について富士見丘学園では、SGHの活動を国内外で豊富に設定。日本が世界の各国の中で置かれた状況を肌で感じることにより、海外に目を向けるだけでなく、より深く日本のことを学びたい、日本や世界の役に立ちたいと思う機会になっています。
 
つまり、海外と日本という区別をするのではなく、世界のどこにいても、グローバルな視野とその地域の固有の文化の両方をリサーチし、問題を発見し、解決する糸口を見いだせる機会を作っているのです。いまここで、身近な固有の問題も、世界の問題とつながっています。その結節点に気づく機会、さらにはその結びつきを創る機会が大切なのです。
 
その意味で、学園にいても、海外にいても、グローバルな環境にいることを自覚できる学びが展開しているといえるでしょう。
 
これらの経験と学びを通じて、生徒たちの間に学部・学科選択の際に自分の将来ややりたいことを見据えている風潮が広がってきていることを吉田先生自身も感じているのだそうです。
 
とはいうものの、現実問題として吉田先生をはじめ、この会場に集まっている方々が直面している最大の関心事は、やはり高大接続改革における「大学入学者選抜」の試験内容の変更でしょう。
 
吉田先生は学習指導要領の改訂にも触れながら、「『大学入学者選抜』は変わるのです。しかし大学は未だ変わっていない」と、嘆きます。ここには、大学入学選抜の手法の改革が加速するかしないかというよりも、未来を見据えたグローバル教育を高大接続において創っていかなければならない時代、中高が先に進み、大学が遅れれば、日本における未来のグローバルな世界で活躍する人材育成が後退するという危機感があります。
 
大学のスピードに合わせるドメスティックな高大接続改革では、世界の国々が当然のこととして行っている「グローバル高大接続準備教育」との格差がどんどん開いてしまうからです。
 
吉田先生は、企業から大学へ、大学生の質の低下が糾弾されることについて、その原因は学生の採用基準を設けている企業側にもあると言います。「その要因を高校に押し付ける大学の言い分に猛反発したのが我々21世紀教育機構のメンバーです」と語り、教育内容ではなく大学名で選んできた、これまでの教育への猛省を再度促します。
 
高校・大学における日本の英語教育の目標とは
 
吉田先生は「大学は英語の授業をやっている場合ではありません。本来は、授業を英語でやらなければいけないのです」と、大学での英語教育についても喝を入れます。この日の会場となった明海大学を例にとって、英語で授業を行う大学が少しずつ増えてきていること、世界の諸大学との比較や日本の大学が留学生を迎えるために英語教育は必要として、そうしたポリシーを持つ大学と考えを共にしたい旨を本機構の会長として発言されました。
 
「大学入学者選抜改革」で導入が決定している、英語外部検定試験のスコアを活用し、AO試験が免除される流れは、これまで富士見丘学園で進められてきた、高校段階で読む・聞く・話す・書くの4技能をしっかりと育てる英語教育と合致しています。高校で学んだ英語4技能を生かして、外部検定試験で結果を残すことで、大学入試だけでなく社会に通用する英語を身につける教育が広がっています。ここで吉田先生は富士見丘学園として、より4技能をしっかりと行う英語教育に邁進する決意を表明。
 
なお、一昨年から国家公務員の総合職での試験でも、これら英語外部検定試験のスコアに応じて加点される制度が取り入れられているそうです。
 
 
しかしここで吉田先生は、「主な英語の資格・検定試験」の一覧を見ながら、海外における通用度と国内での扱いの矛盾について、一部の英語検定試験を痛烈に批判。海外の日本人学校で実施されている実態についても触れながら、自分の進路を考えて、どの試験を選ぶのかこれからの英語外部検定試験との付き合い方を改めて考えさせられる内容となりました。
 
英語4技能を断行していくこととセットになって、「大学入試が変わることで、高校・大学それぞれの教育も変わる大きな力になる」と期待感を持つ吉田先生。「高大接続改革」の背景にある「グローバル高大接続準備教育」の展開がやがて前面に登場してくる大きな第一歩になるのだと。
 
これまでの信念が今回の教育改革につながり、「高校の改革」・「大学の改革」、そしてそれをつなぐ「高大接続改革」の三位一体の改革を歓迎しつつ、「この教育改革により、ある意味夢が叶った」と話し、これからの日本の教育に一石を投じる様々な提言が行われた講演となりました。
 

アサンプション国際小学校 先鋭的「カリマネ×PBL」研修

今年4月、アサンプション国際小学校は、校名変更、共学化、21世紀型教育改革を断行し、多くの保護者に注目された。準備段階から、PBL(Project based Learning)や英語イマージョンの授業を公開。
 
ミレニアル世代とかデジタル世代などと呼ばれる時代に育った保護者に、共感共鳴共振の輪を広めた。こうした共感を生み出す一つの大きな理由は、教師一丸となって事あるごとに実施した内製的研修の確立にある。by 本間 勇人 私立学校研究家
 
 
その内製的研修の確立によって、同校の教師の教育活動そのものがPBLになっている。「授業をつくる→おこなう→かたりあい→ふりかえり→つくりなおす」というサイクルがこまめに回転しているのだ。
 
しかも、このサイクルはある程度安定感もでてきている。それは教師1人1台タブレットを活用しているために、わからないことを調べるだけではなく、情報や資料、データを瞬時にシェアできる仕事の流儀が形成されているということも示唆している。
 
しかしながら、今夏の研修では、このサイクルの安定感で満足せず、それをさらにカリキュラムマネジメント(カリマネ)というシステムにいかに進化させ、21世紀型教育とかPBLとか、つまり教育の質や授業の質を常に向上する態勢の持続可能性を追究した。
 
このような真摯な教育の質の向上への構えは、たしかに保護者と信頼関係の絆を強めていく重要な要素だ。しかし、このような真面目な姿勢が共感の輪を広めるには好奇心を生み出す<遊び>も必要だ。
 
児童生徒の好奇心に満ちた学校であるからこそ、保護者もワクワクする。自分の子が真剣に取り組み、達成したときに表現する満面の笑顔のイメージを共有できる学校こそ、安心して通わせることができる。
 
すなわち、カリマネの柱には、学校の理念とそれを実現するPBLやカリキュラムを貫く学びの基準(ルーブリックとか思考コードとか呼ばれている)を創り出すことに加え、Growth Mindsetのシステムが必要だ。
 
 
(ネイティブスピーカーの教員も参加。通訳する国語の日本人教師もいるというまさにグローバル教育推進学校の面目躍如。また、ネイティブスピーカーの教員自身も、日本語の音声や文字を翻訳ソフトで英語に変換しながら参加してもいる。)
 
見たこともないない未知なるXに対し好奇心をもって向き合い、まずは飛び込んでみようという勇気と仲間と協力する力を発揮して失敗しても挑戦するやりきる信念を内側から燃やせるGrowth Mindsetはいかにしたら可能か?今夏の研修では、PBLのもう一つの側面であるPlayful Learningの手法も活用して実施した。
 
最初、何気ない<対話>から始まった。このような研修では、頭も使うし、身体も使うから、チョコレートやせんべいなども用意する。授業とか研修で不真面目なと思われるかもしれないが、まさに<いつもとは違う>状況を設定しておくこともアサンプション国際小学校だからできるオープンな雰囲気。
 
 
それから、今夏はTinkering(実際に触って試してみる)手法も取り入れたために、レゴも用意された。レゴは思いを形にするだけではなく、つくっているうちに思いが生まれてくる体験をするのに最適な道具である。
 
その<対話>は、好きなお菓子を1つ手に取って、開封して、なぜそれを選んだのか1人30秒で表現するところから始まった。話す側聴く側をきちんと分けて30秒ずつ話したり聞いたり、その役割を交代して行っていく。
 
30秒というのは短いようだが、自分の感じたことや考えたことが相手に伝わるにはどうしたらよいのか、回数を重ねるごとに創意工夫が湧いてくる。もちろん、何事も始まりは緊張をほぐすことから、ここにすでにGrowth Mindsetの仕掛けが埋め込まれていた。
 
 
次にもう一方の手にレゴをワンピース取り、お菓子とレゴのピースにはどんな関係があるのか<対話>した。一見何の関係ないものどうしに関係を見つける。それは実際に手に取ったのだから、何か自分のうちに関心があったからだが、それを目の前のモノに結び付けて表現する。なんとなく手にとったとしても、その無意識を探る自分という未知なるXに遭遇する瞬間でもある。
 
180分の時間のうちわずか2分間のプログラム。このわずか1%の瞬間に種ができるのもアサンプション国際小学校の特徴だ。
 
 
そして、次に少し発芽の時間をつくる。マインドマップを<いつもとは違う>使い方をするところからはじめる。マインドマップを描くという意味では、「つくる→かたる」アクションが起こる。そして、描いたあと、各チームのプレゼンテーションを共有し、もう一度自分のチームのマインドマップをつくりなおす。つまり、「つくる→かたる→シェア→ふりかり」というサイクルを回していく。
 
そして、つくったマインドマップからさらにそれらを統合するキーワードを生み出す。ここでも「つくる→かたる」ことになる。そして、プレゼンとなるのだが、このときすぐに言語化するのではなく、そのキーワードにこめられた思いをレゴで表現するというプログラムが行われた。
 
 
統合というメタ認知の言語化をモノで可視化するという置換スキルを活用。「マインドマップをつくる→かたる→レゴでメタ次元にシフト→つくる→かたる→共有→ふりかえる」というサイクルが次元を上げ、トルネードが巻き上がる仕掛けになっている。Growth Mindsetの可視化といってもよいかもしれない。
 
 
要するに<発芽>したのである。そのあと休憩を5分とり、カリマネの作り方実習にはいった。ここは企業秘密だから詳しくは論じられないが、すでにカリキュラムのコンテンツは作成されていたので、それにHOWの項目を重ねていく作業にすぐに進めた。
 
 
HOWとかスキルというものは、暗黙知としてあるものだから、いざ項目として表現しようとするとなかなか難しい。そこで、<即興的に>(ワークショップ型研修では予定にないプログラムを即興的に挿入することが活性化のポイントでもある)、小学校6年生が「要約」の学びをするときに、アサンプションの児童生徒はどのように要約していくのか、そのときのHOWとかスキルをレゴで表現してみようということになった。
 
ここでも、「マインドマップをつくる→かたる→レゴでメタ次元にシフト→つくる→かたる→共有→ふりかえる」というサイクルが展開。集中と俯瞰とマインドマップとレゴで上昇気流をつくるドラゴンを生み出し、教師全員がドラゴンに乗って新たな領域に飛び立つ研修となった。
 
 
(教育の論理と経営の倫理の相乗効果を生み出す組織作りの達人武井明比古校長。アサンプション国際小学校の教員組織をかくのごとき学習する組織に仕上げている。)
 

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