戸板の入試改革「思考力問題」(1)

 戸板は、来年高校1年からスーパーサイエンスコース、スーパーイングリッシュコースがスタートする。しかし、この進化は、一部のコースではなく、このコースを取り巻く教育活動全てが変わるシラバスイノベーションの一環として行われる。

したがって、「入試問題→教育活動→進路」すべてが大きく変わる。今回は入試改革の1つである「思考力問題」のビジョンについて聞いた。 by 本間勇人:私立学校研究家

左から、大橋清貫先生(教育監修理事)、長谷川操先生(国語科)、岡昭子先生(数学科)、川口亮先生(理科)、原田啓志先生(社会科 進路・学習指導部)、斎藤敏子先生(英語科)、今井誠先生(社会科 入試広報部部長)

――来年実施のシラバスイノベーションに対応すべく、来春の入試問題すべてに「思考力問題」を盛り込むということで、すでにサンプル問題が公開されましたが、今までの考える問題とどんなところが違うのですか。

大橋先生:入試問題は、どういう生徒に入ってもらいたいのかという1つの意思表示ですから、その意志に基づいて入試問題を設計したために、26年度入試には「思考力問題」を盛り込むことにしました。

受験生は2年あるいは3年かけて一生懸命受験勉強をしてきます。知識を大量に憶える努力もしてきているし、その知識を関係づけて考えたり、文章などを分析する方法もトレーニングしてきています。

そのような与えられたテキストを分析したり、既知の知識と知識を関係づけたり、要約したりするという次元で考える問題ももちろん出題します。つまり今まで努力してきた力を評価する問題も出題します。

ただし、欲をかいていると言われるかもしれませんが、今先生方が準備探求しているシラバスイノベーションでは、未知なる知識や事象に遭遇したときに、それをどのように解きほぐし、説得力ある判断をするのか、いわゆる問題解決型の思考まで発展させるシラバスをつくっています。

グローバリゼーションで求められている知性というのは、知識蓄積力、知識の正確性、情報の要約力などの次元から問題解決型の次元まで求められるという前提があるからです。

したがって、ただ一つの正解を求めてできるだけ速く解く力に加えて、論理性をさらに超えてしまった感性まで求めたいと考えています。つまり、思考力を問う問題を出すと、これだけが唯一の解答というのはないので、発想の柔軟性やおもしろい着眼点もみることができます。

あるいは出題者も予定していなかった解答がでてくる可能性もあります。そこがむしろ論理性を超えた思考のセンスですし、そのようなのびしろのある生徒は、本校に入ったら驚くほど成長し成果をあげることができるはずです。

今井先生:今までの知識蓄積型や情報要約型の問題で多少点数がとれなくても、思考の柔軟なセンスや未知のものにチャンレンジできる可能性でカバーできる子は、のびしろがあります。

そういう思考のセンスがある生徒も受け入れたいというメッセージを入試問題で明快に示したいと先生方が一丸となって取り組んでいる最中です。

大橋先生からも、かなり良い問題ができたのではないかと確信をもっているとエールを送っていただき、大いに盛り上がっています。

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