PBL

8月23日(日)開催「中高生によるオンラインプレゼンテーション」-幸福度が高まる世界のデザインとは?

21世紀型教育機構では、8月23日(日)にオンラインプレゼンテーションを実施します。21世紀型教育機構加盟校の生徒であれば、だれでも参加可能です(今回は初めてのイベントのため、21世紀型教育機構に学校を限定させていただきます)。

参加を希望される方は、こちらの申し込みフォームからエントリーをお願いします(事前に学校の先生に連絡しておいてください)。

 

英語哲学オンラインのディスカッション

7月11日に行われた英語哲学オンラインの様子を一部ご紹介します。 参考記事はこちら

21世紀型教育機構会員校の中1から高3までの生徒11名が集い、哲学対話を英語で行いました。教科知識をどれだけ身につけたかといったこととは関係なく対話が可能になるのが哲学の良いところです。 現状では字幕はついていませんが、ぜひ耳を澄まして彼らのメッセージを聞いてください。英語力もさることながら、思考力と、その考えを伝えようとする姿勢が大切であることが分かります。

機会があればぜひ、21CEO以外の学校の生徒もこの対話の輪に参加していただければ幸いです。

PBL/STEAM オンラインワークショップを実施しました

21st CEOでは、7月19日(日)に会員校同士のコラボレーション企画として、PBL・STEAMのオンラインワークショップを実施しました。

教員チームによる前半のセッションでは、「Critical/Creative Thinking (C/C Thinking)を育てる授業デザイン」についての対話、生徒と教員の合同チームによる後半のセッションでは、「幸福度が高まる世界のデザイン」についての対話が行われました。

先生方は貴重な休日であるにも関わらず、ご自身の意思でこのイベントに参加してくださいました。皆さんカジュアルな服装で、中にはお子様がカメラの前に登場するアットホームぶり(?)が素敵でした。オンラインでのイベントの良いところの一つは、ふだんの自分のまま参加できるということかもしれません。私も次回からはデフォルトのバーチャル背景を外してみます♪

さて、そういうアットホームな雰囲気ですが、21世紀型教育機構の先生方の意識はやはり高いですね。PBLやSTEAMのイメージは、この数年間に年に3回から4回ほど実施されてきたシンポジウムやセミナー、ワークショップなどによってかなり共有されてきたと感じました。それぞれの学校で実践している授業例などを話しながら、すぐに教科の垣根を超えて学びの本質へと向かっていきます。私が参加していた分科会では、経験と理論をどう行き来するか、仮説と着地点の設定をどうするか(あるいはあえて設定しないのか)、多角的な視点はどこまで教師側が提示するのか(あるいは生徒が自ら発見するのを待つのか)、立場や役割のチェンジがどういう効果をもたらすか、デジタルツールを与えることが思わぬクリエイティビティを引き出すこともある、などといった対話が行われていました。

教科を超えていながら、実はそれぞれの教科での問題意識が反映されているので、地に足のついた対話になっているのです。PBLやSTEAMといったワードを単に概念的にとらえるのではなく、その言葉からどんな学びを子どもたちと経験できるのかという問題意識が強く感じられる分科会でした。

 

後半のワークショップでは、各グループに2名ずつの生徒が参加し、「幸福な世界のデザイン」についての対話・議論が行われました。ここにおいては、教員と生徒はまったく対等、これがオンラインの良いところです。私が参加したグループでも2名の女子生徒の個性や主張が輝き、未来は彼らの手にあることを強く感じました。しかし、それは「先に生まれた者」である「先生」たちも勇気づけられるトークだったに違いありません。少なくとも私は心を揺さぶられる体験をしました。デザインするには、デザインしようとする意志が必要、幸福をデザインするには、幸福を追求する心が必要だという当たり前のことに気づかされました。STEAMのAは、技術にココロを吹き込むことなのかもしれません。

 

このセッションをファシリテートした先生方も、印象的でした。総合司会の工学院田中歩先生は、全体セッションでトークをしながら、Wifiトラブルで会議室から抜けてしまった生徒をプライベートチャットでフォローするなど、デジタルツ-ルの達人ぶりを発揮、静岡聖光学院の田代先生と和洋九段の新井先生は、画面上に見える生徒たちの反応をみて、提示する資料をさりげなくコントロールするなど、驚きのファシリテーションでした。デジタルのよき使い手であることは、これからのファシリテーターの必須要件かもしれません。また、分科会のファシリテーターを急にお願いすることになった聖学院の伊藤豊先生にも感謝です。30分にも満たない共有会議で、イベント趣旨を完璧に理解していただきました。

 

事務局としては、これほど凄い先生方と生徒が結集する21世紀型教育機構の加盟校に改めて感謝と賞賛の意を表したいと思います。そして、この対話を受けて、8月23日に実施される予定のオンラインプレゼンテーションで生徒たちがどんな発表をするのか、楽しみにしています。

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2020年度21CEO第1回オンライン定例会「学びの未来へ」(5)

21世紀型教育機構は、グローバル教育3.0を確実に実現するために、細かな項目によって外部評価を受ける仕組みを取り入れてきました。

例えば「高校卒業時に英語力がCEFRのC1レベルに達している生徒が全体の30%に達しているかどうか、B2レベルの生徒はどうか」などといった細かな項目によって、毎年アクレディテーションを行い、認定証を発行しています。福原将之氏と神崎史彦氏にアクレディテーションを委託しているのは、お二方とも会社経営者として独立しており、それぞれICTやPBLといった面における専門性を発揮しつつ、学校の成長を定点観測できる立場にいるからです。

また、教育関連の著書を出版し、講演会でも活躍されている理事の石川一郎先生にもアクレディテーションにおける考え方の後方支援をお願いしています。思考コードやブルームタキソノミーによる思考の次元の分類などを様々な場で広めていただいています。

石川先生からは、21CEOでキーワードとしていた「創造的破壊」が本当に到来したという見方が示されました。これまで自明だった世界がある意味で破壊されたのが、今回の危機であるが、それはしかし、次の世界を創り出す機会でもあるのだというビジョンに基づくものです。

時代は変わっていきます。かつて英語到達目標をCEFRのC1と掲げた時、機構の外部にいる教育関係者の中には現実離れしているという冷ややかな態度をとった人もいましたが、「世界の学校」に仲間入りするにはどうしても必要な目標基準の一つです。日本の大学に進学するのでも世界と対話できる力を身につけることが必須のスキルだという考え方からすれば、C1レベルを目標にすることは論理的必然であるわけです。

現在の加盟校はすべてクオリティ21世紀型教育校以上のスコアをクリアしている学校で、さらにそれぞれの目標を掲げて邁進しています。

今回の新型肺炎による休校は、オンライン学習への対応力が問われるものとなりましたが、すでにタブレットやラップトップが生徒全員に行き渡るように準備していた21世紀型教育機構の学校にとっては、その対応は至極スムーズに行われることになったわけです。

その対応の早さについては、首都圏の私立中高を中心に150校ほどのアンケート調査を行った首都圏模試センターの山下氏や北氏からもお墨付きをいただくほどでした。アンケートの結果からは、公立に比べて私立のオンライン導入が進んでいた結果は明らかだったということですが、中でも21世紀型教育機構加盟校の動きの早さは群を抜いており、保護者にもっとアピールできる点でもあるというアドバイスをいただきました。

21世紀型教育機構の基準からすればオンライン対応は当たり前です。Web 3.0=グローバルイマージョンとは、世界と日常的につながっていることを意味しています。

 

定例会の最後を締めくくる言葉は、聖パウロ学園理事長の高橋博先生にお願いしました。高橋先生は、在校生はもちろん、新入生保護者から「私学に入れて良かった」という声がもらえたことがとても印象に残っているとお話され、こういう声を忘れないようにケアをしていただきたいという激励と、長い定例会の参加をねぎらう言葉を頂戴して、2時間半を超えるオンライン定例会はお開きとなりました。

 

今やオンラインはリアルの代替なのではなく、もう一つのリアルです。ICTの進化は、学びの新たな地平を創り出す方向に加速していくことでしょう。本当の21世紀型教育というのはここから始まっていくのだと強く感じた定例会でした。

 

2020年度21CEO第1回オンライン定例会「学びの未来へ」(4)

21世紀型教育機構加盟校は、毎年外部の厳密なアクレディテーション調査を行い、総合スコアに基づいて21世紀型教育校として認定されている学校です。授業スタイルや生徒の思考次元はもちろん、ICTの活用についても調査項目に含まれています。分科会の後のパートでは、今回の長期休校において21世紀型教育の強みがどのように発揮されたのかについて各加盟校から報告がありました。

聖学院 児浦先生より

「PBLとオンラインを考える分科会では、生徒との対話を活性化する問いの方法論、そして教師がその生徒の内的な成長をどのように評価すればよいかといった議論があり、興味深かった。実際に聖学院では、オンライン授業やオンライン課外活動のさらに先に、生徒が自分たちで議論を深化していくシェアリングサイトが設置され、盛り上がっている。教師が生徒を牽引していく時代が終わり、教師と先生の新しい関係、一緒に走っていく時代になったことを強く実感している。また、オンライン学校説明会には100名を超える参加申し込みがあり驚いている。」

 

順天 長塚先生より

「これまではSNSをどちらかと言えば危ないものとして見ていたが、そういったものを教員の側も積極的に活用する大転換が起こっていると認識している。教員の意識を変えることや、デバイスやWifiなどの環境を調査するなどの準備をこれまではしてきたが、いよいよ実際に進めていく時期が到来した。動画を使ったオンデマンド型と双方向型の組み合わせで進めていく。」

 

 

工学院 平方先生より

「WEB3.0を前提にこれまで進めてきたので、全員がPC/タブレットを持っている、また、家庭にほぼ100%Wifi環境が整っていることも分かり、教員もテレワークで会議などを積極的に行っている。Zoom、Edmode、Teamsなどのツールを活用しながら、面談も実施し、ラウンドスクエアなど海外校との交流も始めている。すでに学年主任からの報告を受け、これまではほぼ問題ないことが確認されている。今後はオンラインであっても双方向のPBLを実践していくことが必要で、毎日の会議で議論している。」

 

和洋九段 中込先生より

「朝の出欠確認から始まり、3時間の授業をZoomで行っている。授業だけではなく担任による面談も効果的である。生徒の家庭のWifi環境が98%に達していたのは幸運であった。平日の夜は、教員がミーティングを開いて準備を重ね、4月13日からオンラインでの授業を実施している。連休明けから1学期中はすべてオンラインで授業になることを想定して準備をしている。興味深いのは、授業とは何だろうという問いかけを教員自身が始めていることで、教員の意識に変化が起こっている。」

 

 

三田国際 原田先生より

「4月に教員研修を開き、オンライン授業を組織的に検討できた。『TeachからLearnへ』という学習者中心の学びの変化を加速するものとしてオンライン授業を捉えている。4月は導入時期と位置づけ、1日3コマの授業で課題について調べたことを発表するという形で進めている。特徴的だったのは、この期間の対応において教員が発言の機会を増やし、風通しのよい組織が再構築されてきたことで、働き方の変化も含め、教員側の意識も変わってきている。」

 

 

文化学園大学杉並 窪田先生より

「4月15日から1日4時間のオンライン授業を実践している。グローバルの分科会でも話題になったが、ダブルディプロマの提携先であるカナダの学校ではオンラインでの授業が当たり前になっており、単位認定のための要件を満たすためのリクエストが次々と届いてくる。その対応に追われながらも着々と学校全体のオンライン対応を進めている。」

 

 

 

静岡聖光学院 星野先生より

「具体的な対応については、ICTチームリーダーからご報告するが、マネジメントの立場としては、思考コードの『C軸』=創造的思考が大切になっていることを感じる。政治・行政の対応を見るにつけ、過去の事象から確率的に高いものを選ぶEBPM(Evidence Based Policy Making) の手法では対応できないことが明らかである。我々としては、未来に向けて走りながら、想像力を掻き立てクリエイトしていくという覚悟で進めている。幸運にも教員のマインドセットができているため、素早い対応が可能になっているが、まだまだ学んでいくべきことも多い。」

 

静岡聖光学院 田代先生より

「2月終わりからオンラインを試験的に進めており、3月2日からオンライン授業を開始した。Zoomを使って6時間、時間割通りに進めている。体育・音楽・美術といった科目についてもオンラインで実施している。体育の教員からは、毎日筋トレが続いていて筋肉痛の報告があがっているほどだが、教員が前向きに取り組んでいることは感謝している。海外の提携校とのオンライン交流の連絡も取り合っていて、アフターコロナにおいても、リアルとオンラインのハイブリッドなあり方を模索していく。」

 

聖ドミニコ学園 千葉先生より

「すでに中学と高校ではTeamsを朝礼に使い、オンラインでの実施をしている。オンライン授業については現在どのツールを使ってどのような形にするのか、議論しながら進めている最中で、様々な選択肢を比較検討しながら望ましいあり方を検討している。」
 
 
 
 
 
 
 
富士見丘 白鶯先生より
 
「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業という、SGHの後継にあたるネットワークの拠点校の指定を受けて、準備を着々と進めてきた。このような状況下で先が見えず、進むに進められない面もあるが、コンソーシアムは確かに存在しているので、ぜひこのような場を借りて他校の協力などを仰ぐことができればと考えている。」
 
 
 
 
 
八雲学園 菅原先生より
 
 
「生徒や保護者に一番しなくてはらないことは、安心感の創造だと思う。単にイベントの日程を組み替えていくということだけではとても安心感を提供することにはならない。このような時だからできるというプログラムを作っていかなければならないし、その際、ツールに操られるのではなく教育の本心を見据えて内容を研究していく必要がある。保護者からの様々な声を聞きながら八雲学園として何を軸にしていくのかをはっきりと示し、安心感を提供していきたい。」
 
 
 
 
聖パウロ学園 本間先生より
 
「ZoomとG-Suitesとグーグルクラスルームを使って、オンライン授業と面談を行っている。カトリック学校なので、ダイアローグを重視し、コンパッション・キュリオシティ・クリエイティビティという3つのダイアログの体系を考え、質を高めている。思考コードも認知面だけでなく、感情・情意面を埋め込んでいる。技術的なことやマーケット的なことよりも、アフターコロナにおいてはクオリティと先生方のパワーが大事になる。生徒の力を開花させることを念頭に、『対話力につきる』という感覚で先生方は邁進している。」
 
 
 
 
 

2020年度21CEO第1回オンライン定例会「学びの未来へ」(3)

2020年の21世紀型教育機構の合言葉は「世界の学校へ」です。脱”偏差値”・脱”横並び”を目指し、オンライン定例会の第3部は、Zoomのブレイクアウトセッションを活用した分科会で各加盟校の活発な議論が行われました。

今回のオンライン定例会で気づかされたことの一つに、オンラインだとフラットなコミュニケーションが活性化するということがあります。画面上では席次のようなものはありませんし、演者と聴取者の役割チェンジが容易(双方向)だということです。それを促進するのがブレイクアウトセッションです。分科会では、5~6名ほどのグループでのディスカッションとなるため、より深い議論になっていくのが参加した先生方の反応からよく分かりました。

A) 分科会「21世紀型学校マネジメント」座長:首都圏模試センター 代表取締役  山下 一 氏 
 今回の未曾有の事態を受けて、学校をどのように舵取りするのかというテーマで、各加盟校の校長先生を中心に議論がなされました。
 
B) 分科会「21世紀型学校広報のあり方」座長:首都圏模試センター取締役 教育研究所長 北 一成 氏
 すでにいくつかの学校で取り組みが行われているオンライン学校説明会などの在り方、さらに来年度の生徒募集全般についての話がありました。
 
C) 分科会「グローバル教育・英語教育とオンライン」 座長:21世紀型教育機構理事 石川一郎 先生
 海外校との交流や、グローバル関連イベントをオンラインで実施し、文化の多様性に触れ、英語力を活用していく可能性を探りました。
 
D) 分科会「PBL・思考コードとオンライン」座長: 聖学院 児浦良裕 先生
 PBLと哲学授業における問いの構造を可視化し、思考コードと結びつけながらオンラインで共有する手順について対話を深めました。
 
E) 分科会「STEAMとICTツールの可能性」座長:和洋九段 新井誠司 先生
 STEAM教育の中身について検証しながら、ICTをどのように活用することが必要か、アイディアを出しあいました。
 
F) 分科会「オンラインセミナー・アクレディテーションの可能性」
  座長:アクレディテーションチーム  福原将之 氏/神崎史彦 氏
 今後のイベントをオンライン化する可能性、またアクレディテーションを有効活用するための知恵が共有されました。
 

 

司会進行役がブレイクアウトセッションの操作に手間取っている際に、様々な先生が知恵を提供してくれるなど、オンライン上で共有する知恵のスピードに改めて感じさせられました。ブレイクアウトセッション以外にも、今回の定例会ではオンラインならではの機能の活用がありました。

先生方のプレゼンテーションで使われるパワーポイント資料は画面共有されるので、一つのPCで編集するという作業が不要になりました。また、英語によるプレゼンテーションでは、チャットを利用した同時通訳の配信にも今回初チャレンジしました(担当してくださった静岡聖光学院の中村先生、ありがとうございました)。

分科会の議論が盛り上がったことは、21CEOの新しい展開を象徴することだと考えています。つまり、フラットな対話と議論がこれからの会議・授業の方向性を示しているということです。21CEO加盟校が「世界の学校」へ進化する契機になったのではないかと考えています。

2020年度21CEO第1回オンライン定例会「学びの未来へ」(2)

基調講演に続いてのパートでは、3人のゲストから新規プロジェクトの提案がありました。 イギリスから参加してくれたのがAlex Dutson先生です。

  

Dutson先生は、『Thinking Experiments』の著者で、英語哲学授業の第一人者です。今回21世紀型教育機構のオンライン定例会に参加してもらったのは、本機構が推進してきた「C1英語」、「PBL」、「ICT」の3つの柱を貫くコンセプトとして「哲学」がこれからの機構の柱の一つになっていくからです。

これまで21世紀型教育機構は、アクレディテーションを通して加盟校のICT活用を促進してきました。今回の状況下で21世紀型教育機構の学校がいち早くオンライン学習に対応できたのは、生徒全員がタブレット端末やPCを持っていて、先生方がそれを有効活用できる準備ができていたからに他なりません。現状では、21世紀型教育機構の加盟校は、ICTやオンライン学習での優位性を保っていると言えるでしょう。しかし、技術の進歩には目を瞠るものがあります。ツール使用における優位性はいずれ近いうちにどこの学校でも行う「普通のこと」になっていくことでしょう。

では、ICTツールによって私たちが目的とするべきことは何か。それは予測不能の未来に指針を見出すことを可能にする「問う力」であり、他人と協働しながら知恵を生み出す「対話力」に他なりません。哲学授業はそのような力を育てます。Dutson先生が持っている英語哲学授業のノウハウは、英語思考力を駆使する帰国生だけでなく、創造的思考力を伸ばしたいすべての生徒、また、PBLを実践する先生方にも「問い」の仕掛けという観点から大きな示唆を与えてくれるものとなるはずです。

LAから参加してくれた久保山皓平氏は、UCLAの大学院に在学中のエンジニアです。久保山氏は、東大工学部時代の友人とエンジニアチームを作り、動画のユニークな検索システムを構築しています。これから次世代通信システムの5Gが普及すると、動画やオンラインによる授業の需要はますます増してきます。そのときに、21CEOが推進してきた思考コードや授業アクティビティに応じた動画データベースは先生方の大きな助けとなるというご提案をしていただきました。

Erin Batty先生は、21世紀型学習コミュニティ「GLICC(グリック)」のアドミニストレーターであり、海外大学進学・英語指導の先生でもあります。Batty先生からは、久保山先生のデータベースの基礎となるようなリサーチを行い、加盟校の先生方に情報提供していくという提案をいただきました。すでにインターネットの中にある学習コンテンツをカテゴリー分類し、21CEOのフォーラムに情報を蓄積していくという内容です。

三人のゲストからのご提案があった後、6つの分科会に分かれ、それぞれのテーマについて各校の先生方による議論・対話が行われました。

2020年度21CEO第1回オンライン定例会「学びの未来へ」(1)

4月23日(木)21世紀型教育機構の定例会がオンラインで行われました。新型ウィルス感染拡大による休校がいつまで続くのか先が見えない中、50名近い先生方に参加していただき、いち早くオンライン学習などを行っている加盟校それぞれの対応について共有しました。

今回の定例会ではオンラインであることのアドバンテージを活かして、ロンドンとロスアンゼルスからそれぞれゲストが登場、新規企画についての提案をいただきました。ポストコロナ時代における学びの可能性について大いなるヒントが得られました。

また、Zoomのブレイクアウトセッションを活用した6つの分科会においては、それぞれの学校の対応を先生方が持ち寄り、次のステージへ向かおうとする先生方の熱意が感じられました。21世紀型教育機構の学校が、危機においても柔軟に対応できる世界水準の学校であることを改めて確認する機会となりました。

予定していた時間を越えて約2時間30分にわたる会議となりましたが、自宅からの参加や服装についても原則自由でよいこととし、各自の健康を配慮した定例会となりました。

「2020年代の私学サバイバル宣言」 富士見丘学園理事長 吉田晋 先生

富士見丘学園の吉田先生からは、このような状況下であっても中等教育に求められていることを見据え、生徒に社会性を身につけさせることや、思考力・判断力・表現力を磨くことの重要性について確認がありました。また、オンライン学習において各学校間の対応に格差が生じていること、特に公立の学校の対応の遅れについて教育行政に求めていくべきこと、また私学が自ら切り開いていくべき道について力強いメッセージが発信されました。

「世界的危機におけるグローバル教育」 八雲学園  近藤隆平 先生

本来は今回の定例会の会場校のはずであった八雲学園の近藤先生からは、留学プログラムについては実際に海外に行かなくてもICTを活用することでオンライン交流・授業によってグローバルな環境を整備することは可能であること、危機的状況が終わった時に、体験型グローバル教育をすぐに再開できるような準備に対する連携が必要であるとお話されました。

「グローバルSTEAMの真価」 工学院大学附属中高校長 平方邦行 先生

工学院の平方先生は、国連本部のあるニューヨークの写真、そしてSDGsの17の目標が掲げられたスライドを共有しながらお話を始めました。ニューヨークは今回の感染拡大で最も苦しんでいる都市の一つです。世界の痛みに目を向けながら、STEAMやPBLを通して21世紀型教育機構の各加盟校がどういう教育を目指すべきなのか、これまで21CEOが推進してきたグローバル3.0の重要性を改めて指摘されました。

「21世紀型教育機構の今後の役割」順天 学校長 長塚篤夫 先生

順天の長塚先生は、ICTが個別化にも役立つ一方で、つながり=連携のためのツールとしての可能性が広がっていることを指摘されました。英語にも言えることですが、ともするとツールの話に終始してしまい、何のためのツールなのかが忘れられがちなので、その「フィロソフィー」を忘れないようにすることが重要であるとお話されました。オンライン学習では、ルーブリックなどによる教育効果の測定がしやすいという特性を活かし、発展途上である「双方向型オンライン学習コンテンツ」の充実を急ぐべきであると強調されました。

第4回「新中学入試セミナー」in 和洋九段ー自己変容型マインドセットが育つPBL

2月16日(日)和洋九段女子「フューチャールーム」で、21世紀型教育機構(21st CEO)主催の「新中学入試セミナー」が開催されました。 

by 鈴木裕之:海外帰国生教育研究家

セミナーの幕開けは、首都圏模試センター取締役教育研究所所長の北一成氏による最新の中学入試情報です。千葉・埼玉・茨城・東京・神奈川の私立・国公立中高一貫の動向を広く分析、首都圏の中学受験生の数が6年連続で増加していること、なかでも思考力入試やプログラミング入試、PBL入試といった「新タイプ入試」を実施している学校が増加している背景について講演していただきました。6年先、あるいは10年先の社会の変化を見越した保護者が、偏差値に依存しない学校選択をしている傾向を伺い知ることができました。

和洋九段女子中学校・高等学校校長の中込先生からは、和洋九段のPBL授業についての説明をいただきました。和洋九段では、全科目全教員が同じ構造のPBLを実践しているということです。その徹底ぶりがあるからこそ、「PBL入試」と銘打った入試が実施されることになったわけです。

「トリガークエスチョン」→「個人ブレスト」→「グループブレスト」→「プレゼンテーション」→「共有」という全教科共通構造のPBLを通して、生徒は自分を表現することに目覚めていきます。その変容を生徒自らが創り上げているところにPBLの神髄があると中込校長先生は語ります。

休憩後、オーディエンスの保護者や教育機関関係者は、2つの会場に分かれて和洋九段中学の中学3年生たちがナビゲーター役を務めるPBL型のワークショップに参加しました。

最初はとまどっていた「大人たち」も、生徒たちの指示にしたがって「SDGsすごろく」をしていくうちに、すっかりSDGsの目指す世界に入り込み、「森林火災で〇番のカードを失う」とか「環境保全に協力してコインをゲット」などといったマス目に書かれた文言に一喜一憂します。

人生ゲームが個人の成功を目指しているゲームだとすれば、「SDGsすごろく」は地球全体の幸福を目指しているゲームです。そのような大きな問題を扱っていながら、和洋九段の生徒は押し付けがましい態度がまったくなく、それでいて大人たちをしっかりファシリテートしている様子が素敵でした。

PBLは「教える⇔教えられる」という関係から「気づき合い」の関係へと参加者を変容させるのです。「持続可能な開発目標」が子どもたちにとってより切実であることは、21世紀を生きる彼らにとっては当然のことです。ゲーム終了後に参加者から「17のゴールのうちどのゴールに最も関心があるか」という質問があった際には、それぞれの生徒がしっかりと自分の意見を述べていて、その姿は頼もしくさえ感じられました。

続いて行われたのは、PBLを実践している学校の先生と生徒たちとのパネルディスカッション。新タイプ入試とPBL型の授業の関係や、生徒の未来にどうつながっているかというトークセッションです。

和洋九段教頭の新井誠司先生からは、この2月に実施されたPBL入試の動画の紹介がありました。受験生同士あるいは受験生と在校生が入試というイベントで交流できることが、「日本で一番入試らしくない入試」というキャッチフレーズ通り、楽しい雰囲気につながっているということです。そして、そういった楽しい雰囲気の中で「共創」することの意義をお話されます。論理性や創造性に加えて、他者を受容するコミュニケーション力などが重視されて選考が行われているといった解説がありました。

聖学院21教育企画部長の児浦良裕先生と工学院教務主任の田中歩先生からは、思考力入試で問われている力と入学してくる生徒についての紹介がありました。

児浦先生は、レゴを使った表現が生徒の潜在力を引き出すことを、実際の生徒の作文を使いながら説明します。思考力入試で合格してくる生徒は2科4科という評価尺度では必ずしも良い成績でないこともあるが、入学してから成績や才能をぐんぐん伸ばしていくことが過去の事例から「分かっている」ので、自信を持って特待生を出しているということでした。

田中先生は、工学院でも、和洋九段のPBL型授業と同様、ステップ型のプロセスを経た思考力入試を実施していて、受験生が何かに気付き変容する瞬間があるということを指摘します。そのような生徒は、学校に入ってからも自分のやりたいことを見つけ、それを探究していこうという自己変容型のマインドセットを持つようになるということでした。

首都圏模試センターの北一成所長は、新タイプ入試の受験生の受験率や入学率の高さに触れ、学校のカリキュラムがよく分かったうえでそういった入試を受験している層が増えていること、そして4年ほど前にはそういった入試に批判的だった学習塾の態度もだいぶ変わってきたことを指摘します。

パネラーの先生方が一通りお話をされた後、和洋九段の生徒たちとの対話が始まりました。PBL型授業が自分をどのように変容させたかという質問については、多くの生徒が、プレゼンテーションなど自己表現の場を経験することをきっかけとして、自分が変わったと話してくれました。クラスメートに積極的に質問したり、自分の意見を述べることに自信を持てたりしたことが成長を実感する経験として共有されました。

先生方からは、思考コードのC軸、つまり創造性を開いていく授業は、正解・不正解の中に生徒を押し込めないことが、生徒の自己表現を促進する効果につながっているという説明がありました。そのことを証明するかのように、「PBLのPは皆さんにとって何を意味しているでしょうか」という田中先生からの突然の質問に対しても、生徒は「Program」だったり「Problem」だったり、あるいは「Practice」だったりと、それぞれ自分なりの回答と説得力ある理由を述べていました。これには質問を投げかけた田中先生自身も驚いていました。

会場にいた受験生の保護者からは、家庭でどのようなことを意識したらよいかという熱心な質問もありました。「否定ではなく、違う角度からの質問を出して子どもと対話をしていく」といった回答や、「学校イベントに参加し、実際に思考力講座を体験してみてはどうか」といった回答に、頷いている保護者や塾関係者たちの姿が数多く見られました。

最後は、21世紀型教育機構のアクレディテーションチームから、21CEOの加盟校のアクレディテーションスコアの3年間推移などが紹介されました。特に、授業に関連する3つの評価項目について、PBL型授業を推進することは、生徒の高次思考を促進し、ICTの積極活用にもつながるため、全体のスコアを引きあげていることがデータ的にも検証できると、株式会社FlipSilverlining代表の福原将之氏から説明がありました。

さらに、株式会社カンザキメソッド代表神崎史彦氏からは、PBL型授業は、生徒の自己変容型マインドセットを育成するということ、そのことが、知識の出し入れをするだけの授業よりも、結果的に大学入試に関しても非常に有効であるというお話がありました。

総合司会を務めた児浦先生と田中先生は、全体のタイムキーピングをしながら、生徒たちやオーディエンスをうまく盛り上げ、セミナーの参加者の一体感のようなものを創り上げていました。最後には、参加した生徒たちや会場を提供してくださった和洋九段の先生方、そして受験生保護者や教育機関関係者の皆様に感謝の言葉を述べて散会となりました。

 

 

 

 

 

 

2020年2月16日第4回新中学入試セミナー開催

2020年は教育のみならず、政治経済社会も大きく変わる激動の年です。当然中学入試も私立学校の教育も大きく変わります。今回は首都圏模試センターの取締役・教育研究所長北一成氏をお招きし、2020年の中学入試の総括と2021年の見通しを分析していただきます。

お申し込み→定員を満たしました。多くの方にお申し込みいただきありがとうございました。

そのうえで、「新タイプ入試」や「新しい学びの経験」を生み出すPBL型授業の成果を共有します。PBLは、すべての授業でPBL授業を実践する実績を生んできた和洋九段女子のモデルをご紹介します。

そして、それがモデルで終わるのではなく、実際に生徒がナビゲーター役を果たすワークショップ体験もしていただくプログラムになっています。新しい学びの経験は、実際に体験してみないとわからないことが多いのですが、今回、PBLによって生徒自身が創出したSGDsスゴロクワークショップを行います。

和洋九段女子のPBLはProblem based Learningから自らのミッションをもったマイプロジェクトを発見するProject based Learningに発展していきます。その成果が今回のSDGsのスゴロクワークショップです。

SDGsに取り組んでいる企業やNPO団体、国連などとコミュニケーションをとりながら、日々アップデートを続けるこのワークショップ実践を通して、生徒は探究の楽しさから凄みを感じるまでになります。生徒がどう感じどう考えているかは、パネルディスカッションで議論になるでしょう。

また、このような新しい学びの経験の実践の成果の保障をどのように組み立てるのか?欧米ではあたり前に行われているアクレディテーションの手法も公開します。新しい学びの経験の生まれるわけ、その作り方、そして評価の仕方についての動きは、2021年の中学入試の変化とシンクロする動きです。

まだまだ、このことの重要性に気づいていない人も多いでしょう。希望は幸せの青い鳥です。すぐ近くにいるのに気づかないものです。ぜひいっしょに小さな青い鳥をつかみましょう。

プログラム(敬称略)
 
総合司会 児浦良裕(聖学院21教育企画部長)×田中歩(工学院教務主任) 
 
13:00~13:30 中学入試のさらなる動き 基調講演Ⅰ
  「2020年度中学入試の総括から考える2021年度中学入試の動向」
     北一成(首都圏模試センター取締役・教育研究所長)
13:35~13:55 新しい人材育成としての新タイプ入試とPBL 基調講演Ⅱ
  「未来を拓くグローバル教育×PBL」
     中込真(和洋九段女子校長)
14:05~14:35 SDGsスゴロクでPBL体験 生徒によるワークショップ
  「PBLで生まれたSDGsスゴロクワークショップ」
     和洋九段女子の在校生がファシリテーター
14:45~15:30 中学入試が教育を変える パネルディスカッション
   「多様な中学入試とPBLの未来への役割」
     北一成(首都圏模試センター取締役・教育研究所長)
     新井誠司(和洋九段女子教頭)
     児浦良裕(聖学院21教育企画部長)
     田中歩(工学院教務主任)
     和洋九段女子生徒
15:40~16:00 21世紀型教育の成果 トークセッション
     アクレディテーションチーム
     鈴木裕之(GLICC代表)
     福原将之(株式会社FlipSilverlining代表)
     神崎史彦(株式会社カンザキメソッド代表)

 

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