佼成学園女子 留学生を迎える《心》(2)

茶室の外に置かれたベンチでは、留学生たちが袱紗の使い方について説明を受けていた。

茶道の山田先生は、日本語の中に時おり英単語をはさみながら、きれいにできた時は「ビューティフル」と相手を誉め称える。日本語の説明でありながら、伝えたいという思いの強さは、留学生たちにもびしびしと伝わっていた。このおもてなし精神こそ異文化交流の原点であろう。

茶室の中では、お茶の点て方を学んでいた。こちらでは国際交流部所属の英語堪能な卒業生が時おり通訳をしていたが、すべて通訳してしまうのではなく必要最低限の手助け役に徹しているところなどは、イマージョン教育を長く実践してきた佼成女子の経験が活かされていると言ってよいだろう。

書道の教室に移動すると、今度は一緒に学ぶ生徒が期待と緊張の面持ちで留学生たちを待っていた。誰からともなく、留学生をグループに招き入れ、座席が決まっていく。全員の席が決まると、書道の櫻井先生は取り組む課題の説明を日本語で静かに行った。

説明が終わると何をしていいか分からない留学生たちに同じ班の生徒たちが教え始めた。筆の持ち方を教える班もあれば、漢和辞典を引き始める班もある。

 
 
漢和辞典を引いていたのには、もちろん理由がある。留学生の名前を表す当て字を探していたのである。その漢字の意味を英語で説明し始めるなど、コミュニケーションがだんだんと活発になってくる。最初は固かった双方の表情がどんどん柔らかくなっていくのが分かる。
 
 
こういった授業が自然に行われているのは、周りの先生方がファシリテーター役に徹していることによる。
 
 
書道の櫻井先生は少し離れたところからそっと生徒を見守り、ちょっと困ったことが発生した場合だけ手助けをする。佼成女子の書道パフォーマンスを全国大会に導く指導力の肝は、生徒がその活動を好きになるように仕向けることなのだろう。Learning by doingのグループワークといい、英語や国語などの教科を横断する学びといい、まさに21世紀型授業であった。
 
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