富士見丘 文化祭“Solel”で教育の成果輝く(3)

富士見丘の文化祭は、学園生活における教育のエッセンスがつまっている。そのエッセンスの中で、特筆すべきは「ダイバーシティ」。そして、なんといっても自主研究に裏付けられた「プレゼンテーション」能力の多次元性。

前回、オープニングセレモニーで、外国人の生徒が、ロックバージョンの“Let It go”を熱唱したことは紹介したが、その文化祭の最中にちょうど留学生も訪れていたようだった。富士見丘のサイトにはこうある。

「10月4日(土)、文化祭期間中にイギリスの姉妹校ウェストンバート校より2名の生徒が、同校副校長の Glunixg 先生と来日。本日(10/7)より約3週間の本校での体験留学に入りました。」

(写真は富士見丘サイトから)

留学生や帰国生にとって、スモールサイズの富士見丘は、欧米の私立学校のように心地よい。大量生産的学級運営が、いわば20世紀型教育の象徴であるが、富士見丘のクラスサイズは、欧米私立学校サイズ。ところが学費は3分の1.涙ぐましい経営の手腕と教師のボランティア精神。教育の質に関しては、まさに国際バカロレアスタイルである。

そして、この極上の教育の質に帰国生は気づき始め、国内受験生もそろそろ気づき始めている。受験情報シンクタンクのエキスパートは、保護者や受験生に勧めたい学校の1つであるとアピールし始めている。極上の教育の質を維持できる最適な生徒獲得増を期待したいところではある。

(写真は富士見丘サイトから)

その富士見丘の極上の教育の質は、多次元のプレゼンテーションに明快に表れる。文芸部のビブリオバトルは感動的だったと大島教頭。一冊の本を読みこんで、自分の感じたことをありのままにぶつけるのかと思っていたら、一冊の本にかかわる何百冊もの本を日ごろから読み込んでいるからこそ、語るべきものがふつふつとわいてくるというのが伝わってきたそうだ。

科学部のプレゼンも圧巻だった。仮説の立て方や検証のための気が遠くなるような試行錯誤の実験。成功するものもあるし、失敗するものもある。しかし、その失敗こそがスプリングボードになると熱く語る。まさに「リケジョ」ということなのだが、自主研究「5×2」が、科学部における研究活動に大いに役に立っているという。

ふだんの授業と自主研究「5×2」と部活が有機的につながっている瞬間に立ち会えた。このつながりこそ極上の教育の質なのではあるまいか。

合唱部は、「北の国から 遥かなる大地より」「君をのせて」「いつも何度でも」「COSMOS」「花は咲く」を顧問の先生と心通わせながら歌い上げた。

教師と生徒のつながり。眼差しで通い合うつながり。ああこれは本当の教育の質の高さだとしみじみと思っていたら、

プログラム番外編で、“Let it go~ありのままで”を踊って歌って、観客の心をゆさぶった。

ストーリーで、絵画で、パフォーマンスで、空間アートで、歌で、楽器で、実験で、食で、ボランティアで・・・。多次元で豊かなプレゼンテーションを楽しむ富士見丘の生徒。多くの人に知って欲しいという気持ちと秘密の花園であってほしいという気持ちと両方がほどよくぶつかり合いながら、正門を後にした。

 

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