八雲学園 3ヶ月留学生 グローバルリーダーへ

今年6月、UCSB(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)3ヶ月留学の事前学習の様子を、旅立つ直前に取材し、今回は先月帰国して3ヶ月の事後学習をしている留学生の様子を取材しました。

留学直前アレン先生に、「忘れられないかけがえのない経験になるはず。すてきな留学体験を!」とエールを贈られました。その言葉はまったくその通りになり、英語のスキルも向上し、なんといっても世界観も広がり、自信に満ちた表情で輝いていました。by 本間勇人 私立学校研究家

(姉妹校ケイトスクールなど米国名門高校の学習スタイルであるハークネスメソッドで終える)

事後学習では、まず留学生活の振り返りから始まっていました。自分がどんなことを体験し、どんなことを感じ、どんなことを考え、将来に対する見通しは何かなど、留学して広がった自分の世界観を、エッセイライティングとしてまとめています。

自分の書いたエッセイを近藤隆平先生にメールに添付して送ります。すると、アレン先生、フランク先生、ナオミ先生、近藤先生、榑松先生が編集のアドバイスをしてくれます。あるいは思い切って文章の順番を入れ替えてまたメールで返却してくれます。

だから、教室で行われる学習時間よりも何倍も、留学生と先生方は、学校外の時間でやりとりをしています。3ヶ月留学が、実質1年長期留学と言われるゆえんは、こういうところにあるのでしょう。

授業は3つのブロックになっています。1stブロックでは、自分が書いたオリジナルのエッセイと先生によって編集されたエッセイを比較し、どうしてこのように編集するのか、その理由を質問します。そして再編集して効果的かどうか、チュータリング方式。この方式は、八雲の教育の4つの柱の1つで、グローバル教育においても貫徹しています。

2ndブロックでは、4人1組のチームになってディスカッションします。お互いにかけがえのない経験をしてきたことについて話し合います。共に留学生活を送ってきたのに、同じ体験でも感じ方が違うのに、驚いたり、あのときのあなたの活躍は尊敬に値するなど、友人同士の感じ方もシェアします。もちろん、英語でです。

このディスカッションで、エッセイを再編集する時の新たな素材があるのに気づきます。自分と先生、自分と仲間と多角的に対話を重ねることが、自分の考えや世界観の質を磨き上げ、ハイクオリティのエッセイを再編集できることに気づく大事なディスカッションの機会です。

3rdブロックでは、12人全員がラウンドテーブルに集まり、さらに大きな対話をしていきます。この手法は、米国の名門高校のコンソーシアムが、ハークネスメソッドと呼んでいる学習スタイルです。八雲学園の姉妹校ケイトスクールも、このコンソーシアムのメンバー校で、ハークネスメソッドを使って、授業を展開しています。今流行りの言葉で表現すると、「本物のアクティブラーニング」となるでしょうか、それはおもかく、八雲学園も英語でこのハークネスメソッドを授業で活用できるようになっていたのです。

(八雲学園の姉妹校ケイトスクールのハークネスメソッドによる授業風景。同校サイトから)

3ヶ月留学を終えた八雲生は、たくさんの外国人教師と英語を話す機会を創ってくれた榑松先生や近藤先生に感謝の言葉を語ったり、英語の学び方が変わり、今後も体得した英語力を向上させていくことに専念すると宣言する生徒もいました。このまるっきりものの見方が変わった自分を、今後社会にどのように活かしていけるのか、そんなミッションも自分の内面にしっかりと打ち立てた生徒もいました。グローバルリーダーの資質が見事に芽生えているではありませんか。

この留学後の学習は、放課後に行われていたため、八雲学園の放課後の生活も見ることができました。そして驚いたのです。ちょうど中間テスト直前ということもあるのでしょうが、高1、高2生が自習していました。よく見ると、私服の生徒がいます。尋ねると、今年卒業して、それぞれSGU(スーパーグローバル大学)に通うOGがチューターとしてやってきていたのです。

OGとして、母校に貢献する方法の一環として、チューターを買って出る学生は20人以上いるそうです。大学生活は多忙ですから、互いにスケジュールを調整して、1日3人体制ぐらいで運営しているということです。チューター制度は、ここにも生かされていたのです。

中学クラスも、先生と中間テストのための自習をしていましたが、もちろん、そこにもOGチューターはかけつけていました。

ふとグラウンドに視線をずらすと、ソフトテニス部の生徒が練習をしていました。「中間テストの勉強もしていますが、試合も間近なので、練習も欠かせません」と文武両立という気概を見せてくれました。このタフネスこそグローバルリーダーにとって必要なものです。

そんなことに感動しながら歩いていると、職員室の前が黒山のひとだかりです。近づいてみて納得。

職員室の外の壁にカウンターが設置されていて、そこに、ずらり先生と生徒のペア組が並んで、チュータリングがここでも行われていたのです。

集まっていた生徒に話を聞くと、「この対話の濃さが、私たちのやる気を燃やしてくれるのです」と即答。勉強が楽しいというモチベーションは、やはりチューター制度という「対話」が充満する学園だからということでしょう。

そして、その対話は高3になると内なる対話となり、大学入試に向けて自己トレーニングの世界に深く歩を進めていくのです。夕やみ迫るメディアセンターは、目標に向かって立ち臨んでいる八雲生の気概で満たされていました。

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