ブレストで互いのストックを棚卸しができたところで、2つのチームにわかれて、英語科のリソースをまとめてみようということになった。黒川教頭はファシリテーターとして、各チームを行ったり来たりしていた。このファシリテーターの極めて重要な役割についてはあとで腑に落ちる。そして、スーパーイングリッシュコースは、オールイングリッシュであるから、先生方の議論も英語で考えながら行われるようになっていった。
アイスブレーキングから始める
明石・大泉チームは、中1の授業のあり方とその授業が中3で到達するゴールを設定して、授業の枠組みについて議論した。中1の段階では、まずスピーキングと会話のアイスブレーキングが重要だということである。手法はグループワークが多くなるという。これはリーディングやライティングが重要ではないとか、難しいとかそういう理由ではない。
ツールとしての英語であるから、まずは使えるというプラクティカルなところからはいると、自分の考えたことや感じたことが生まれるるから、それを相手に伝えたいという欲求が生まれる。
その欲求がもっと相手と話したいということになれば、英語が好きになるし、そこから自分を高めたいという意識が芽生えるという。この意識があれば、自分で工夫していくし、やがては創造的な人材に成長する。
黒川先生は、言語ツールとしての英語をしっかり学ぶコトが、大学受験準備を通過した先のグローバルシチズンに成長できる根っこができるのであると。
オールイングリッシュに慣れる
スーパーイングリッシュコースに入りました。さあ、そこからオールイングリッシュですというわけにはいかない。そこで斎藤・平林チームは、中学段階でオールイングリッシュの環境を英語の授業以外にも作りたいと。それには他教科も英語で授業をすればよいというわけにはいかないわけだから、英語の授業外の活動であるESS(English Speaking Society)を授業とリンクするようにバージョンアップしようということになった。
ESSによって、授業の中では限界があるプラクティカルな多様なアクティビティを展開することができる。とくにプレゼンやディベートにはたっぷり時間をとれる。もちろん、中学生で本格的なディベートは難しいので簡易なものになるが、ディベートは論理的思考を広げたいというモチベーションをあげる絶好の機会であることに間違いはないのだと。
英検クラブもオールイングリッシュの大切な機会になる。なぜなら、英語でインタビューしたり、文法もいわゆる教科書文法ではなく、実践的な文法も学べる。たとえば、different fromばかりではなくdifferent thanもプラクティカルには活用されている。これはどういうことなのかクリティカルシンキングを養う機会にもなる。
日本語でも語用や意味は変化する。それは英語も同じ。英語だけではなく、生きた外国語の特性の1つ。生きた言葉と文法の違いを知ることは、グローバル時代の英語には必要な感覚ということのようだ。
ディベートに関しては、黒川先生は、「それは広く人間・社会・自然に関する大事なテーマがかかわるから、英語だけでの問題ではない。社会科や国語科と連携していく戸板の教育の土台になる話ですから、今後、本校全体で議論を深めて行きます」と語られた。コラボレーションは、いろいろな次元で生まれてくる。ここに戸板のプラクティカルな進化を見たような気がした。