富士見丘の文理融合の教育の原点

2024年10月10日、富士見丘の高校1年生は、鹿児島の池田学園・池田高等学校と探究活動の交流をしました。池田学園とは、WWL(ワールドワイドラーニング)コンソーシアム構築支援事業において提携しています。鹿児島のフィールドワークをしながら文理融合的な発想の交流をしていて、その日は、互いに探究の成果をプレゼンテーションし、質疑応答する交流でした。
 
 
富士見丘は、SGH(スーパーグローバルハイスクール)に認定されていましたし、池田学園はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に認定されています。そのため、前者は社会科学的なアプローチで探究し、後者は自然科学的アプローチで探究を進めています。
 
しかし、探究のプロセスは、かなり似ています。課題を自分たちで設定するのですが、それは自分たちが生活している中でなんとか解決したいという意欲や興味・関心あるものを探します。高大連携や海外研修という経験の中で、普段感じない疑問が、その課題設定の種となります。
 
仮説を立てる時、富士見丘は課題に対し生活市民がどのように感じているかアンケートをとり、そのデータ分析から構築していきます。池田学園は、観測データとそれと同じようなデータを分析している学術研究とを比較しながら、仮説を立て検証していきます。
 
 
社会科学アプローチと自然科学的アプローチのデータエビデンスや仮説検証方法は確かに違いがあります。富士見丘は、社会システムの在り方のモデルを似たようなメカニズムと比較し、トランスフォームしていきます。
 
池田学園は、データから数理的モデルをつくり、そのデータが信頼性、妥当性があるか検証していきます。
 
両校が同時にプレゼンするのを聞き、質問し合うことによって、実は分析のためのテクノロジーが違うけれど、社会システムモデルを考案するのと自然現象の予測数理モデルを考案するのとは共通点があるのに気づいていきます。
 
実は、アンケートをとるにしても、社会調査のデータを使うにしても、観測データを収集するにしても、その分析方法は、確率的視点と変化率の視点を活用していることに気づくわけです。
 
なんと社会科学的アプローチも自然科学的アプローチも、確率論的基礎知識と変化率的基礎知識をそれぞれの独自の発想を形にするのに活用しているのです。
 
もちろん、確率論にしても変化率にしても単純な相関関係をデータ分析するか多次元因子分析をするかの数式の次元は違います。
 
しかし、両者が同時にプレゼンすることによって、文理融合の原点が何であるか気づくはずです。
 
中学の時に学ぶ三角形、高校でそれは三角関数につながっていきますが、その三角関数は私たちがふだんスマホで意思疎通する時に活用する電波に関係しています。その波は三角関数式によって実現しているからです。IoTが可能なのもこの三角関数式です。波は三角関数的な変化率です。
 
それに微分なんて何の役に立つのといわれるかもしれませんが、Δの記号にあるように、変化率を数式化しているのです。この記号Δは三角形です。三角形の学びはこんなところにもつながっていて、両校のプレゼンを見ると、データサイエンスにはこの基礎知識が使われているのです。
 
文理融合の教育は、両校の探究交流によって明らかなものになっていくでしょう。
 
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