第4回21会カンファレンス SGT集合(2)

21会SGTの認定条件は、「PIL×PBL×ICT型のアクティブラーニングができること」、「学習する組織をデザインできること」など5つほどあるが、その中で、最も重要な条件は、「≪思考コード/知のコード≫に基づいた問いの構造をつくることができる」=「思考力テスト作成力」である。

そのため、今回のカンファレンスでは、21世紀型教育を創るSGTとして、「知識・理解・応用」というMARCHレベルの問いと「ロジカルシンキング・クリティカルシンキング・クリエイティブシンキング」というIB型の思考力レベルの問いをワークショップで創作した。

6チームに分かれて議論した成果を、どこでもシートに描いて、プレゼンをした。あらかじめ「知のマトリックス」をMARCHレベルとIBレベルに置き換えられていたので、ブルーム型のタキソノミー、思考コード/知のコードとしての「知のマトリックス」は共感しやすかった。

SGTマスター工学院の高橋一也先生は、国立大学などの大学入試問題には、参考になる問いがたくさんあり、「知識偏重型問題」ばかりが出題されているわけではないことを強調した。この21世紀型教育が現在の大学入試とかけ離れて浮世離れしたものでは全くないという確認が、参加したSGTにとって受け入れられ、議論やプレゼンは大いに盛り上がった。

IB型の問いとしては、たとえば、「子どもたちが生活のために就学できないと仮定したとき、この仮説が正しいかどうか?」「写真の少年2人の30年後を想像し、ストーリーにしなさい」「20年後、写真の子どもたちにとって最も所得が高い産業は何か?」「あなたが考える幸せとは何か?この子どもたちが幸せかどうか?」などという問いが立てられた。

問いとは何か?これほど20世紀近代社会の根っこを掘り起こす思考作業は、実はない。この「問いとは何か?」の価値意識をめぐって、20世紀前半の悲劇が生まれたことは、今年戦後70年を迎える各国が歴史の記憶として忘れまいとして式典が催されているぐらいである。

なぜアクティブラーニングなのか?対話や探求は不問に付されてきたタブーの扉を開く根源的な問いを発見する思考作業である。アクティブラーニングなんて大学入試に役に立たないとか、大学の教授が、最近はやくも効果がないとボヤイテいるが、それはハイデガーと対決したハンナアレントによれば、人間の条件を満たさない言動であり、簡単にアイヒマンを生む土壌を造り出してしまう危うさがある。

CEFRがなぜC2まで設定しているかは、その本位は、チャーチルやクーデンホーフ・カレルギーが設立に貢献した「欧州評議会」が、根源的な問いの扉を開く言語技術を世界の若者とシェアするために作成したからである。

工学院のSGTである英語科の田中渉先生は、そのためにどこまで生徒が問いを追究できるのか定期テストなどで見える化・測る化・共有化できるようにするために、「思考コード」をつくって、データ分析をしているというケースを紹介した。これが本物のルーブリックやエンパワーメント評価を形成する根本的なデータになるのだと。

そして、石川一郎校長は、カンファレンス前日にイギリス・ケンブリッジ研修から帰国したばかりということもあり、IB型の問いの深さは、オックスブリッジ大学入学準備の際の口頭試問でも投げられるものに通じ、その問いの洞窟を生徒と共に冒険することこそが、未来の子どもの幸せにつながるのであると、21会のミッションを高らかに謳った。

最後に、21会副会長の聖パウロ理事長・学園長高橋博先生は、この21会の動きが、日本の教育を大きく変える契機になっている。実際、その動きをご自身も仕掛けている最中であり、子どもの未来の幸せのための志を静かな情熱をもって語った。

【今回参加した21会公認SGTスーパーバイザー(ヨーダーマスター)】(敬称略)

高橋博(聖パウロ学園理事長・学園長)

石川一郎(かえつ有明校長)

大島規男(富士見丘参与)

伊藤正徳(聖徳学園校長)

【今回参加した21会公認SGTマスター】(敬称略)

高橋一也(工学院)

本橋真紀子(聖学院)

【今回参加した21会公認SGT】(敬称略・学校五十音順)

・かえつ有明

佐野和之 山崎達雄 篠原敬司郎 内山誠至

・共立女子

戸谷述夫

・工学院

島田浩行 田中渉 平林千紘 矢野佳名子

・順天

片倉敦

・聖学院

伊藤豊

・聖徳学園

三岡恵子

・東京女子学園

辰巳順子 大坪邦行 落合裕子 飯泉恵梨 小林智美 鶴内小百合

・八雲学園

菅原久平

・富士見丘

白鶯訓彦 中島正樹 長島公聖 美濃部直子 森有希 佐藤一成

・文化学園大学杉並

星野聰

【今回参加した21会SGTサポーター】(敬称略)

・首都圏模試センター

山下一(取締役 統括マネージャー) 北一成(取締役教務情報部長) 三瓶勇美(研究開発本部長)

・(株)NTS

吉田康秀(グループ事業推進部 部長)

・(株)スタディエクステンション

鈴木裕之(代表取締役)

・本間教育研究所

本間勇人(代表)

 

 

 

 

 

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