21会結成10周年特別座談会「今21CEOとして求められていること」

2021年4月13日(火)、21世紀型教育機構の理事3名による座談会形式ウェブセミナーが実施されました。今回のイベントは加盟校限定のもので、本機構の原点をもう一度確認しておくという趣旨で開催されたものです。
 
 
今回登壇した理事3名は、平方邦行先生(財団法人日本私学教育研究所所長)、大橋清貫先生(三田国際学園 学園長)、石川一郎先生(聖ドミニコ学園カリキュラムマネージャー)で、彼らは本機構の前身である「21世紀型教育を創る会(21会)」の発起人でもあります。
 
2011年に大学受験ありきの中等教育の在り方に一石を投じようということでご相談したのが、本機構の会長である吉田晋先生(富士見丘学園理事長校長)でした。吉田先生の快諾をいただき、同じ志を持つ私立学校の連合として「21会」が発足しました。その後、もう「創る」段階ではなく「実践する」段階であろうということで、2015年に「21世紀型教育機構」にアップデートされました。アドミッションポリシーには「思考力入試」など多様な才能を受け入れる方針を打ち出し、また、思考コードを活用したPBL型の授業や評価の仕組みをカリキュラムポリシーとして掲げ、さらに、海外大学を含む多様な進路デザインを提供できるディプロマポリシーを軸にした教育をしていくことを機構の内規としてきました。その教育の質を厳密に確認し保証するアクレディテーションも実施してまいりました。
 
アッという間の10年でしたが、どれだけ世の中にインパクトを与えられたか振り返ってみると、同様のコンセプトやキーワードを掲げる学校がいくつも出現してきたことからも本機構が果たしてきた意義は大きかったと思う一方、相変わらず大学合格実績や入学の難易度で学校教育の質を捉えようとする言説も多く、また21世紀型と考えられるキーワードを掲げていてもそれが単に生徒募集の道具として言葉だけが掲げられていて実質が伴っていないところも多いのが現実です。
 
そのような現状に危機感を抱いている平方先生からは、ゴールデンルールに基づいたグローバルゴールズを目指す、そしてグローバルシチズンを育成する教育の原点について提言がありました。実際、本機構がアクレディテーションの1番目に据えている項目はMFO(Man for others)の理念です。当機構の加盟校はすべてこの理念をベースに教育を行っています。
 
大橋先生からは、三田国際学園で学校改革をした最初の中高一貫生が今年卒業し、海外大学への多数の合格者を輩出するなど、21世紀型教育の実践が間違いではなかったことが確信できたとお話されました。教育の質について保護者と対話していくことが結果的に生徒募集の面でも役立ったということでした。
 
石川先生からは、本機構の今後がこれまでとは異なる次元に突入するであろうことを予感しているといったお話があり、次のステージに照準を合わせて構想を広げているということでした。その話を受けて平方先生は、デジタルネイティブであるZ世代の才能に話が及びました。生徒が先生の先を行っている時代であること、「先生が生徒に知識を授ける」といったコミュニケーションの質では本当の意味での21世紀型教育があり得ないことについて強調されました。
 
 
21世紀型教育機構の次のステージを示唆する対話では、「グローバル教育4.0」を軸に、「ワールドメイキング」や「グローバルアドミッション」といったキーワードが提示されました。これらのキーワードが実質的にどういうインパクトをもたらすのかは、加盟校の教育実践と先生方との対話によって生まれる次の展開を見ていくしかありません。最後の質疑応答のパートで、「グローバル教育4.0」の背景にどのような世界の動向があるのか、視聴側として参加していた先生から指摘がありました。フランスのマクロン大統領がエリート養成機関であったENAを廃止すると発表したこと、またハーバード大学で教鞭を執っているサンデル教授が能力主義を批判する書を刊行したこと、こういった背景に目を向ける必要があるのではないかという指摘でした。
 
今後このような対話により、グローバル教育4.0の実質が明確になっていくことでしょう。今回の動画は加盟校のみに限定しますが、2021年度の活動は定例会の承認を受けた上で皆様にお伝えすることができると考えています。
 
 
 
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