学校図書館

工学院の図書館 新しい学びの拠点 (2)

■企画をするということは、事前準備、本番、振り返りという流れがあるのでしょうね。

有山先生:はい。それはもう用意周到です。図書委員は、さまざまな活動をしていますが、その中でも、社会起業家的活動として、幼稚園や保育園を訪問して、子どもたちに「絵本の読み聞かせ」を行っています。これは、圧巻です。

どの絵本を選択するのか、テーマを探すところから始まります。子どもたちに心から楽しい時間を過ごしてもらえるように、ストーリー――そうそう絵本によってはアドリブもいれるので――を考えます。そしてリハーサル。わかりやすい表現か、声の調子は臨場感があるか、仲間―葛藤―和解の「物語構造」のセオリーはきちんと成立しているかなど、演戯しながら軌道修正していきます。

英語科の司書教諭鈴木先生も、図書委員たちといっしょになって、参加してくれます。その瞬間は、教師と生徒の関係は、人間対人間の絆にシフトしています(微笑み)。

 

 

工学院の図書館 新しい学びの拠点 (1)

2015年にPISA(OECD生徒の学習到達度調査)は、「協調学習」の調査をする予定である。従来通り、読解、数学、科学のリテラシーも調査するが、1人ひとりのリテラシー習得のための学び以外に対話や議論など「関わり」を通して学ぶ新しい方法が注目されている。グローバル人材の希求、ICTによるイノベーション教育の隆盛が、相互に協力し合う学びや共に生きる活動を必要とするからでもある。では、このような新しい学びの実情は、日本の教育ではどうなっているのであろうか。どうしても大学受験準備が授業の中心にならざるを得ないというのが、多くの現場の教師の本音であるともよくいわれる。しかし、2007年以降ほとんどの学校で司書教諭が置かれてからというもの、新しい学びの拠点として学校図書館が機能するようになった。その先進校である工学院大学附属中学校・高等学校(以降工学院)の図書館の司書教諭有山裕美子先生に聞いた。(by 本間勇人:私立学校研究科)

 

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