聖徳学園には、スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール指定校だったり、東京私立中学高等学校協会研究協力校として、「平成25年度ICT公開授業研究会」を実施してきたり、国際教育とイノベーション教育の実績がある。
多様な海外研修のプログラムも豊富であり、「個性、創造性、国際性」を育成し「聖徳太子の精神」を大切にしてきたのである。その築き上げてきた土台の上に、今回スーパーグローバルハイスクールの申請を行い、国際的な問題を解決するアクションを起こす新しいグローバルリーダー育成に挑んでいる。
今回、第16回21会定例会の会場になった折に、6時間目の授業を見学する機会を得た。ふだんの授業の中に、しっかり新しいリーダー像を描くプログラムが埋め込まれていた。by 本間勇人:私立学校研究家
小野先生の中3の英語の授業では、そのものずばり“Global Issues”をテーマにしたプロジェクト型学習が行われていた。米国の「補助的栄養支援プログラム(SNAP)」を調べてきて、小野先生と生徒が問答するスタイルの授業。連邦プログラムを学ぶというより、それをモデル、あるいはきっかけとして、世界の痛みをシェアし、どのように解決すべく活動できるのか、今までの海外研修の次のステップにジャンプするプログラムのようだ。
しかも、それが総合学習とか特別講座で行うのではなく、英語の授業の中で行われているのだ。
電子黒板で、写しだされた映像を見ながら、小野先生から問いが投げかけられる。まずは事実は何か、問題は何か、制度とは何かなどmatterをおさえる問いが投げかけられる。たとえば、フードバンクとは何か?すると、調べてきた生徒がプレゼンをする。ここで大事なのは、正確に説明できることよりも、プレゼンする勇気だったり、プレゼンにエールを贈る仲間づくりだったりする。
今回SGH申請のチームをけん引しサポートした小林昭文先生は、こう語られた。
「聖徳学園のリーダーシップは、コントロール型を目指しているわけではない。
1人の人間だけがリーダーになる教育ではなく、生徒1人ひとりがそれぞれリーダーになる機会をいかに見つけられるか。
その気づきを授業の中で展開していきたいわけです。もちろん、まだこういうものだという定義はできあがっていません。それはこれから試行錯誤していくことによって見えてくると思います。」
なるほど、小野先生の授業の中に、1人のヒーローをつくるのではなく、生徒1人ひとりに勇気をシフトしていく学びが埋め込まれていた。
もちろん、英語の授業であるから、文法や表現の勉強もする。
このように、英語の基礎力と主題編成型のプログラムが1時間の授業で収まるのは、実は電子黒板という優れた武器を有効活用しているから可能なのである。それがはっきり理解できたのは、藤戸先生の別のクラスの中3の授業を見たときだ。英語の構文の授業が行われていた。
今までの構文の授業だと、黒板に英文を書いて、それから分析するから、量的にはそれほどでもない。しかし、藤戸先生の授業は、電子黒板を自然体で活用しているから、どんどん英文が湧いてくる感じなのである。そして、構文を勉強するためのわかりやすい例文を分析するのではなく、文章そのものを分析していくから、たんなる文法の学習というわけではない。
英文全体を見ながら、一文に照準を合わせて分析し、また全体を眺めるという、俯瞰と集中による内容理解のプロセスを見える化していく授業だと了解できた。しかも、まるで、方程式をどんどん解いているようで、構文の構造、文と文の関係を論理的に読むとはどういうことなのか、それが見える化できるのが、電子黒板の優れたところだと実感。もちろん、そのように活用する藤戸先生の創意工夫が大前提である。