佼成学園女子 留学生を迎える《心》(3)

書道の後に参加した音楽の時間では、授業後に生徒たちが留学生に近づいて行き、交流の輪が広がっていた。

音楽の時間は一斉授業スタイルで、授業内での交流の機会はあまりなかったが、興味深かったのは、それでも生徒たちは後方に座っている留学生たちにサインを送っていたことである。

一斉授業スタイルで先生の方を見ているため、生徒は留学生に背を向けているのだが、ちょっとした合間に、後ろを振り返っては、両手を振ったりにっこり笑ったりしている。あたかも「後でゆっくり話そうね」とサインを送っているかのようであった。考えてみればコミュニケーションはノンバーバルによって70%が伝わっているのだ。外国人とのコミュニケーションに言葉の壁を感じるというのは、わずか30%の領域を、さらに文法だ読解だ英会話だと分断して発想する方に問題があるのかもしれない。

それにしても、生徒がこういうコミュニケーションを自然に行えるのは、人との交流を大切にし、先生方が日々そのように励ましているからこそであろう。書道を見学している時、付き添い役をしていた井上教頭先生は、あちこちの班を覗きに行っては「すごーい。ワンダフル!」と声をかけていた。こういう言葉で生徒たちは自己肯定感を高め、他者へのリスペクトもそこから育まれるのである。グローバル教育の土壌は、日々のそのような活動の中にこそある。

最後の昼食会ではホストファミリーが作ってくれたお弁当を興味深そうに眺めている留学生の様子が印象深かった。

ホストマザーの手作り弁当は、ホスピタリティーの究極の表現である。こればかりはどこの国でも共通だろう。

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