6月14日(土曜日)、八雲学園の中1のレシテーションコンテスト開催。入学してから2か月半が経過した中1にとって、英語教育の八雲の本格的な行事がいよいよスタートしたことになる。
八雲学園の行事は、1つひとつ完結していながら、実は6年間すべて意図的・計画的につながっていて、授業で知識を、行事で知識に息吹を与える感性を育てる。それゆえ、近藤校長は、この八雲の教育全体を感性教育と呼んでいる。
レシテーションコンテストは、もちろん英文を読み・書き・聞き・話すという4領域全体をカバーしているが、さらに深い仕掛けがある。by 本間勇人:私立学校研究家
英文を暗唱するということは、文章の意味を理解し、それを相手に伝える時、意味に即して、表現を工夫しなければならない。表現は、アクセント、抑揚、強弱、リズム、表情、ジェスチャーなど知識的側面だけでなく、感性が加わる。
知識を分子にたとえると、授業で習得する知識は、固体を形成する分子としての知識群である。静的である。しかし、プレゼンする時の分子としての知識は、液体や気体を形成する知識群である。ダイナミックに飛び回っている。このダイナミックな雰囲気が感性である。
中1段階では、まだまだ固いのはそういうわけだ。それが6年間経つと、柔軟でダイナミックなプレゼンやパフォーマンスになる。今回はその初々しい段階に立ち会えた。
実は中1が、レシテーションコンテストに向けて、頑張っている最中、5月27日・28日に、YakumoとYaleの音楽交流があった。中1はそのときに、先輩たちが、堂々と英語で交流しているのを見ているのだ。そして、自分たちも先輩たちのようになりたいと思っただろう。
ところが、レシテーションコンテストで、そう簡単にうまくいかない。そもそも、舞台に上がるというっただけで、緊張して、ガチガチになる。エール大学の学生や先輩たちはなぜ立派にやってのけられるのか驚き実感するのである。
高校部長菅原先生は、高3の担任でもある。緊張が制服を着て頑張っている中1の姿を見守りながら、こう語る。
「中1の段階では、頭の中で考えたことは、実際には予定通りにいかないという経験をまず積んでほしいのです。そして、そこから、いまここで解決しなければならない自分の課題が生まれる。この課題を1つひとつ解決して、6年積み上げると、高3生のような感性をもてるようになります。
今回も、高3生は、エール大学生に、多様な価値観を受け入れる柔軟性をもち、清楚なそれでいて力強いパフォーマンスもできる本当のエリートの姿を見たというのです。そして自分もそうなりたいという感性を抱いています。
何より、八雲の教育は、生徒1人ひとりが世界観をつくることですが、エール大学の学生は、その世界観をしっかり抱き表現しています。八雲の高3も、そこに感動します。表現はそのような世界に導く力を持っているのだと。」
八雲学園の英語教育とは、エールショックから始まり、レシテーションコンクール、イングリッシュファンフェア、英語祭、文化祭、留学など多様な自己表現の学習環境がデザインされており、そこでは知性としての英語と感性としての英語が各学年DNAのようにらせん状につながっていく。
そして、最終的に生徒1人ひとりの世界観が結実する。八雲学園の教育は、6年間トータルの壮大なプロジェクト型学習だったのである。