4日目、午前の2時間目の授業から取材にはいった。1日勉強しているわけだから、4日目はさすがに疲れてきているだろうと思って、授業を覗いたら、先生方はもちろんのこと生徒も真剣そのもので、集中力と適度な緊張感が持続しているその姿に驚かされた。
6日間の日々のスケジュールは、ハードそのもの。1日のスケジュールの概要は次の通り。
7:10 朝食
(8日の朝食。メニューは3食ともすべて毎日違うものが作られている)
8:00 自学自習
9:00 授業①
10:45 授業②
12:30 昼食
(7日の昼食。チャーハンやごはんは、生徒によって大きさは違う。)
13:30 授業③
15:00 自学自習
1730 入浴(女子)
18:30 夕食
(7日の夕食。デザートもでる。)
19:00 入浴(男子)
20:00 自学自習
23:00 消灯
授業と自学自習がびっしり入っていて、休憩や食事の時間を除いても、およそ10時間は毎日勉強していることになる。授業といっても、自学自習の時に自分で考えた問題について学ぶ時間で、ほとんどが自問自答状態の考える時間。
しかも少人数だから、先生との問答がすぐに回ってくる。考えるコトへの集中とその持続が10時間続いたら生徒はいったいどうなるのだろう。
英語科主任で教師からも生徒からも信頼のあついリーダー教師の大場先生は、こう語る。
「ふだんの学校の生活と違って、考えて自分で学ぶ体勢づくりに手中する夏期合宿ですから、実ははじめのうちは生徒もなかなかたいへんでした。もちろん受験勉強が中心ですが、この合宿では精神力や意志の強さを身につけることも大きな目的です。
最終的には、生徒は自分の意志で判断し、考え抜いていかなければ大学入試にしても人生にしても乗り越えていけないでしょう。合宿は長いようで短いですから、意志の強さと自分の力で考え抜く力を身につけさせることに集中しています。そういう意味では、4日目の今日あたりは、疲労感よりも波に乗ってきたという感じです。ただ、脳みそに血液が集中していて、身体のストレスや疲労はすこし解放しようと思っています。」
たしかに生徒は、波に乗っていた。休憩時間に生徒に聞いてみても、
「今は身体も慣れました。いつも通いなれた学校なのですが、ふだん以上に掘り下げて考えたり学べるようになるために、先生方も特別なメニューをつくってくれています。たとえば、寮の自分の部屋には、朝食から就寝になるまでの時間帯は戻れないんです。もし戻れたら、甘えがでて、リズムが崩れてしまうわけです。
実際、就寝の時間に眠らないと、次の日がかなりキイツですね。それは初日で皆経験していますから、それからは次の日からは横になってすぐ寝ることにしています。疲れているからでしょうが、あっという間に夢の中ですしね。今では、身体はすっかり慣れました。今日はまったく疲れを感じていません。」
と明朗に語ってくれた。たしかにその真剣な眼差しに、頭が自問自答の連鎖で回転しているのが伝わってきた。