富士見丘 教育の根源「ダイバーシティカフェ」(2)

富士見丘学園理事長・校長吉田晋先生は、グローバルという時代は、多様性の時代でもあると語る。つまり、世界の多様な人々の価値観や文化背景は違うし、実は国内でも、超個人化が進みも、やはりそれぞれ価値観やものの見方が異なる。

そこでは、もちろん論理的な思考やコミュニケーションスキルは重要であるが、最も大切なものは、他者への思いやりである。他者を受容することなく、論理的に互いに理解し合うことはないであろうと。そして、この他者への思いやりを、富士見丘学園は「忠恕」という建学の精神にこめているのであると。

そして、吉田先生は、私立学校は、この建学の精神が教育の隅々に「一貫」していることが肝要なのだと。「一貫性」と「多様性」のダイナミズム、これが富士見丘学園の教育の根源なのだと改めて気づいた次第であるが、この「一貫性」というものの見方で、「ダイバーシティカフェ」を振り返ると、たしかに「一貫性」がすぐに見えた。

というのも、たとえば、同学園の少林寺拳法部の行動がそれを体現していた。少林寺拳法部は、毎年のように、国内外の大会で、輝かしい実績を残しているが、それは、「忠恕」という心構えが徹底しているからでもある。というのも、この精神がなければ、演武のコミュニケーションの呼吸がうまくいかなかい。

まして、世界大会に出場したときは、周りは世界の人々。「感動」を生み出し、自分たちのパフォーマンスの世界に引き込むには、強烈な世界に通用する精神が放たれていなければならない。「忠恕」がそうであることは言うまでもない。

少林寺拳法部のメンバーは留学の興味と関心も高い。だから、今回の「ダイバーシティカフェ」にもかけつけた。彼女たちが留学先で文化交流をするとき、もちろん演武を披露するが、それがどれほどインパクトを与え、日本の女性のプレゼンスを高めることか、想像に難くない。メンバーは自分たちの世界で果たす役割をしっかり認識している。

さらに、大事なことは、自己研磨である。自己認識と他者への想いのバランスがなければ、相互に理解を深めることはできない。だから、少林寺拳法部のメンバーは部活の合間も、時間を見つけては、寸暇を惜しんで勉強するのである。「一貫性」と「多様性」のダイナミズムは、「忠恕」という精神を教育に浸透している富士見丘だから可能なのである。

 

 

 

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