高2の日本史の授業は、完璧な「相互通行型授業」だった。昨年、原田先生は高1から準備をしてきた。その成果がはやくも現れた。
三田国際の相互通行型授業は、教師と生徒の問答形式だけのことを言っているわけではない。問答形式はもちろん基本であるが、大切なことは生徒が自ら疑問をもち、議論しながら、問題を解決していくこと。そのためにPBL(プロジェクト型)のスタイルもはいっている。
三田国際の問答は、知識の確認よりも、生徒が情報収集する多角的な視点のアイスブレイクを行うという感覚。
だから、問答する素材は、グラフの読み取り、写真の解釈、絵の意味の類推、オブジェの社会的背景の推論など多角的にどんどんやり取りをする。その速度感が、生徒の学びへの扉を開くマインドセットになっている。
この問答の時の素材提供の非常に重要なところは、いきなり「理由」を問いかけないところだ。必ず「比較」の素材を提示し、その違いや共通点を問答していく。そのことが、生徒自身に「なぜこんな違いや共通するところがあるのだろう?」という問いを立ち上げる。
教師が「なぜですか?」と問うことは、疑問の視点を予め与えてしまうことであり、「国際バカロレア型の思考力」からは遠く及ばないことになってしまう。最初の段階では、豊富な「比較」できる素材を用意するのが、学びのデザイナーの腕の見せどころ。
グループワークは、いきなりディスカッションに入らず、資料を読み合うところから始まる。総合学習のような時間なら、その資料調べから始まるところだろうが、授業では、そこは教師が用意をする。大事なことは、情報の分析・整理の視点をトレーニングすること。
情報取集が終わったら、一気呵成にディスカッションにはいる。ディスカッションしながらレポートをまとめることも忘れない。レポートの段階では、「理由」を徹底的に考える。
そして、プレゼン。最初はレポートを読みながら語っているが、内側からこみあげる自分の考えを語るときになると、クラスの仲間に話しかけるようになる。ストーリーテラーへの変身。これこそあのTEDのスーパープレゼンの醍醐味である。