八雲学園の英語教育の充実度は、すでにメディアでも毎年ランキング1位として評価されている。にもかかわらず、今年4月、新たな挑戦が始まった。
それは16人の高1生がUCサンタンバーバラに8人、テネシー工科大学に8人と、八雲学園の新たなハイレベル英語教育プログラムを生み出すべく、ミッションを胸に海を渡ったことである。by 本間勇人:私立学校研究家
アクティビティ理論
今回の渡米プログラム自体は、3ヶ月留学プログラムであるが、4月から6月までは、留学準備プログラム、10月から12月までは、バックアッププログラムとなっており、9ヶ月のプログラムとして形成されている。
昨年の今頃は、底上げ的にすべての八雲生に、一定水準の英語力を身につける教育は完成したから、次のステップとして、さらに英語を使って研究をしたり仕事に就いたりすることを希望する生徒の英語の専門性を高めるハイレベルな英語のプログラムを創ろうという話はでていた。
それが半年もたたないうちに、榑松先生が渡米してリサーチをしてあっという間にUCサンタバーバラ及びテネシー工科大学と交渉し、八雲生特注の3ヶ月留学ハイレベル英語のプログラムを創り、4月から実施に向けて動き出した。
菅原先生:「私たちも、榑松先生も、去年の今頃は、さらなる挑戦の意識は高揚していましたが、3年はかかるだろうと思っていました。しかし、昨年、同じころ急遽ダライラマ法王が訪れることになり、八雲の一丸パワーで最高のおもてなしを敢行しました。
また、12月の英語祭で、高1有志がグリー部というミュージカルパフォーマンスを行うサークルを立ち上げました。」
横山先生:「アウトプットは一瞬で過ぎ去るのですが、その準備はたいへんです。八雲学園の行事は、教職員と生徒が全員で行うものばかりです。1人の教師が全員をコントロールして動かしていたら、時間はかかるし、モチベーションは下がります。
ですから、多くの実行委員チームと各実行委員が中心となって活動するチーム(クラス単位の場合が多い)が、柔軟かつ俊敏に活動する組織体を創り上げます。」
菅原先生:「そして、やり抜くことができました。もちろん、恒例の毎月行われる行事も滞りなく行いますから、授業の前後は、八雲学園の中は、あらゆる行事の同時並行準備で、熱気あふれています。実行委員が重なると、同時にこなせませんから、行事ごとに実行委員は違います。ただし、わたしたち教員は、すべてにかかわりますから、目まぐるしく動いています。」
横山先生:「しかも、その時点で今年5月にエール大学の学生と芸術交流を行う準備も始まっていました。そのとき、昨年12月にミュージカルを演じ切り達成感を感じたグリー部も、その芸術交流に参加することになりました。5月の時点で、グリー部はサークルから部活になります。今では、部員があふれていて信じられない光景になっています。」
菅原先生:「振りかえると、ダライラマ法王との出会いにしても、エール大学との交流にしても、グリー部の一気呵成の部活結成にしても、生徒にとっては、ハイレベル英語を学ぶ機会にもなっていました。行事は意図しましたが、そこにハイレベル英語の教育プログラムを意識していたわけではなかったのです。」
横山先生:「そのとき、近藤校長が、今までの教育の総合力、そして感性教育の土台ができあがっている。これは機が熟した。今やらないで、いつやるのだと決断したのです。八雲学園は、校長が決断するや、すぐに動き出します。日頃の行事や部活で、アクティビティ理論がいつのまにか身に染みているのでしょう。
私たちが入試に集中している時期に、榑松先生と近藤隆平先生は、3ヶ月留学プログラム制作のために渡米しリサーチを開始したのです。八雲学園にハイレベルな英語の響きが俄然広がることになるのです。」