八雲学園 感性教育こそ学力の3要素の土台(1)

八雲学園の「感性教育」が現在改訂中の学習指導要領の重要なモデルです。この次期学習指導要領は、アクティブ・ラーニングによって、学力の3要素「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」を育成することを眼目としています。

また、これによって、2020年大学入試改革で行う思考力重視、学びの体験重視の新テストに接続することを企図しています。

文部科学省が八雲学園を視察に来たという話は聞いていませんが、きわめて十分にリサーチしているかのような豊かな学びをビジョンとして掲げています。文科省が力を入れているところがどんなところか、八雲学園の教育を鏡としてみていくことができるほどです。 by 本間勇人 私立学校研究家

(3ヶ月留学帰国後のAAP:アドバンスト・アカデミック・プログラム。ソクラティックメソッドを英語で実施しています)

これまで知識記憶型の学びが中心で、知識の多寡を1点刻みで評価してきた大学入試ですが、2020年以降は、自由度の高い思考力重視の論述型テストで評価されます。中高時代どんな学びを行ってきたのか、その学びの体験もまた重視されます。体験を積み上げどんな人間になったのか、“Who are you ?”を問われるのです。

これは英語教育も同じで、英単語や文法を憶えていればなんとかなっていた従来型大学受験英語の学びから、「話す」「聞く」「読む」「書く」の4技能全体を重視する英語教育にシフトし、各大学の個別の独自入試では、TOEFLやTEAP、IELTSなど民間の英語認定資格試験のスコアを、大学が行ってきた英語テストに置き換えていく動きになっています。

こうなってくると、八雲学園の英語教育は大いに真価発揮できますから、ウェルカムです。近藤隆平先生は、こう話されます。

「高校1年の6月から3ヶ月留学が行われ、12人のメンバーが選抜されます。八雲学園は、中3までにレシテーションコンテスト、スピーチコンテスト、英語劇、イングリッシュファンフェアなど、オールイングリッシュのアクティブ・ラーニングを行い、中3卒業の時期に合わせて、全員で米国カリフォルニア州の研修旅行を体験します。

サンタバーバラに、レジデンスを所有していますから、そこを拠点に、米国の文化や芸術、ライフスタイル、もちろん英語の勉強をしてきます。姉妹校名門ケイトスクールとも交流をします。

これによって、全員が、文部科学省が英語の学びの到達度の基準にしているCEFRに照合すれば、A1・A2レベルには到達しています。ですから、英語力で選抜するというよりは、もっと学びたいという意欲を持ち、ハイレベルな思考力やエッセイライティングの学びに挑戦する意志が強い生徒、及び自らの学びが世界に貢献するという情熱をしっかり持った生徒が選抜されます。ですから、3ヶ月留学後、TOEFLジュニアにチャレンジしますが、期待通りB1~B2をクリアします。」

2020年から行われる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」では、英語はB1まで求められますから、八雲学園の3ヶ月留学のメンバーは、高1秋の段階でクリアすることになります。しかし、これは、八雲学園生全員が、高3卒業時にはクリアする目標ですから、12人のメンバーは、もちろん、高3までにC1英語(英検で言えば英検1級)のハードルを飛ぼうとしているのです。八雲学園の興味深いところは、帰国生の生徒でなくても高い英語力を身につけるプログラムを創り上げているという点なのです。

さて、菅原先生は、3ヶ月留学の目標は何もC1英語の力を身につけることではないのだと語ります。

「C1英語への道のりは、相当タイトなスピーキングとエッセイライティングのトレーニングが必要です。このトレーニングのおもしろいことは、相手である評価者に納得のいく表現力や内容がなされなければなりませんが、それはむしろ当然で、特にスピーキングは15秒考えて、45秒で話さなければなりませんから、思考力のみならず、瞬時に相手が何を求め、どのような雰囲気で話すことが有効なのか判断しなければならないのです。

雰囲気というのは、相手の気持ちを心地よくする表情や口調やポジティブで情熱的眼差し、自信をもちながらも相手を敬うような態度ですね。」

つまり、4技能の英語力には、「感性」が研ぎ澄まされていなければならないということなのです。

(左から、菅原先生、近藤先生、横山先生)

横山先生も「海外という初めての世界に降り立ったとき、すぐに状況を把握しなければなりません。特にこの激動の何が起こるかわからない21世紀社会の動きは、自ら情報を収集し、整理し、判断し、未知なることは仮説を立てながら、思考していく知的な総合力が必要ですね。知識と論理だけでは、分析はできても、全体を把握することはできません。」と説明してくれました。

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