順天 SGH活動報告会 ー 変容をもたらすグローバルリーダーズアクション(1)

順天高等学校は2014年にスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定を受けました。その時に掲げた構想名は「グローバル社会で主体的に活躍する人材育成のための研究開発」です。2月20日に行われた活動報告会では、GLAP(グローバルリーダーズ・アクションプロジェクト)を通して活動してきたSGHクラス生の成果が、生徒たち自身のプレゼンテーションとポスターセッションで見事に示されていました。 by 鈴木裕之:海外帰国生教育研究家

報告会の第一部は、200名ほどの教育関係者や報道関係者を対象に行われました。長塚校長先生は冒頭の挨拶で、順天学園の教育方針である「真の学力」「真の人間性」の育成と、SGHの取り組みがつながり始めたことに触れ、実はこれまでも中学段階で行っていた探究型総合学習が、SGHクラスの存在により高校にまで伸びて、一貫した流れになってきたとお話されました。来年度からは高1生全員がSGH生になるということですから、ますます主体的に行動する探究者が輩出されることが期待されます。

その後、杏林大学の副学長であるPaul Snowden先生から基調講演がありました。SGHに指定を受けるための条件には、大学との協力関係が必須です。Snowden先生は、以前よく使われていた「高大連携」という言葉が「高大接続」に変わったことは、高校と大学が単なる協定(=取り決め)で結びつくのではなく、学びを軸にした教育内容でつながることを意味しているのだと話し、生徒の好奇心を喚起することの重要性を示唆しました。

そのような学びの実践として、国際部長の中原先生から、順天学園のSGHの取り組みについて説明がありました。3つのワーク「スクールワーク・フィールドワーク・ネットワーク」が3つの力「創造的学力・国際対話力・人間関係力」に重なるプログラムであることが示されます。

ここまでの話はいわば理論編で、この後に続く生徒たちのプレゼンテーションは、実際の活動体験に基づく発表です。1番目の発表はフィールドワーク中心、2番目は課題研究中心、そして3番目はSGHの活動全体と自身の成長について、という具合に3つの側面から発表してくれました。

いずれの生徒も中原先生の説明を実証するに余りあるほど、「主体的」「創造的」「協働的」なものでした。

フィリピンの貧しい村を訪れ、現地の状況を調査する「フィールドワーク」は、生徒たちの「何か」を根底から揺さぶり、いわば彼らの価値観を「内側」から大きく変えました。
課題研究についての発表では、自分たちがフィリピンの子どもたちに何ができるのか、実際に行動を起こすための方策を考え、それをどのように実践するかという点が強調されました。
 
そして最後にプレゼンテーションをした生徒は、SGHでの活動全体によって「自分の価値観は180度変わった」と力強く話しました。
 
クラスの中で必ずしも英語力がある方ではなかったというその生徒は、帰国後自分から進んで様々な活動に参加するようになり、たとえそのチャレンジが落選などといった結果になったとしても、その体験をバネにすることで、様々な面から成長することができたと話します。

この生徒のTEDさながらのプレゼンテーションは圧巻でした。私自身内面が揺さぶられるように感じたのと同時に、前半部の先生方の話が腑に落ちてきました。

フィールドワークを通して体験したこと、自分の目で見たり感じたりして得たものは、単なる知識として自分の中にとどまるだけではなく、行動する人への変容を促すものになり得ます。しかしそれは、ただ海外に行けば可能になるということではありません。課題研究というスクールワークと結びつくことで、さらに、学校内の仲間や外で知り合う人々と協働するというチームワークと重なることによって発揮されるのです。

その思いは、生徒たちのプレゼンテーションの後に行われたポスターセッションを見ることで確信へと変わりました。

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