八雲学園 スペシャルグローバル教育(2)

八雲学園の教育の最もすてきなところは、最高の体験とそのシェアである。あらゆる行事における体験の成果は中1から高3まで全員で共有する。したがって、先行的に3ケ月留学体験をした先輩は、その体験のすばらしさを共有し、同時に学園全体の英語力のスキルアップ及び世界観を深堀するアカデミックスキルも共有していくことになる。
 
その共有はいかにして可能か?それは先輩が後輩に伝える機会を増やすということもそうだろうが、今回は先輩二人が榑松先生とドイツにまで飛んで、破格のプログラムを体験、そしてそれを共有できる段取りを行ってきた。by  本間勇人 私立学校研究家
 
 
 
 
その段取りのミッションとは、ドイツのハンブルグで行われたラウンドスクエア(ROUND SQUARE)の国際会議に参加し、英語で世界の高校生とパフォーマンスを楽しんだり、世界問題についてディスカッションするワークショップに参加したりして、八雲学園の世界的視野をもったグローバルリーダーシップの重要性をアピールすることだった。
 
そして、このアピールは、ラウンドスクウェアという教育コミュニティの一員に認定される大事な一局だったのである。認定のための手続きは3ケ月留学プログラムがスタートした3年前から行われてきたが、そのミッションがようやく果たされるときがきたのである。留学生の努力が実って、八雲学園はラウンドスクウェアのメンバー校となった。
 
このラウンドスクウェアの創設者はあのクルト・ハーン。氏は、IB(国際バカロレア)創設の中心人物だが、彼は新しいパブリックスクール(イギリスでいう名門私立学校)をも世界に広める教育哲学を実現した偉大な教育者である。
 
 
その新しいパブリックスクールを創ることに賛同した世界の名門校が集まって創設されたのが、ROUND SQUARE。八雲学園の姉妹校ケイトスクールもメンバー校だ。
 
3ケ月留学プロジェクトの行き着く先は、このコミュニティメンバー校になって、新しいパブリックスクール=新しいインターナショナル名門校になることだったのである。
 
このメンバー校になると、毎年メンバー校のうち一つの学校で行われるカンファレンスで、コミュニティの教育哲学を共有しなければならない。IDEALSという6つの教育目標があるが、それを1つひとつディスカッションしながら、異文化交流エンターテイメントも演出していく中高生世界会議だ。
 
いずれ、世界の名門校が、40カ国から八雲学園に集結して、国際会議が行われることになろう。これは相当大がかりなイベントになるから、準備も想定以上に大変で、生徒も教師も総がかりで企画し運営しなければならない。おそらく文化祭というスケールでは測れないだろう。
 
 
それに全員が英語でおもてなしをすることになるから、今まで以上に英語教育の充実が図られる。ホスト校となれば、模擬国連どころではないスケールで奔走することになる。
 
ドイツのラウンドスクウェア―国際会議に参加した3ケ月留学生2人は、多様な国の生徒といっしょのチームに分かれたから、現地では1人ひとりで挑戦せざるを得なかったという。
 
彼女たちから話を聞いて、特に印象深かったのが、たいていはおもしろい体験となったが、やはりディスカッションが難関だったということである。
 
1つのテーマについて、ただ自分の考えを述べるだけではなく、自分ならどのように世界に役に立てるのか、またプレゼンにむけて、自分は何に役に立てるのか、どんどん主張していかないと、非協力的だと判断されてしまうところが厳しかったと。
 
もちろん、日本人の特色をすでにある程度知っているから、サポートしてくれるメンバーもいるが、日本にいる場合のように甘えることはできない。そういう緊張感は、日本の英語学習では体験できない。
 
 
いかに自分たちが八雲学園の先生方に日頃からサポートしてもらっているのか実感できるとともに、独り立ちしなければ、世界では通用しないということも思い知ったと。
 
この貴重な体験は、いつの日か後輩が日本でのラウンドスクウェア国際会議のホスト校として活躍できるようになれば、できるはずである。
 
ロジカルシンキングやクリティカルシンキングはエッセイを書くためだけのスキルではなく、まさしくディスカッションの時に必要なのだと痛感したと語ってくれた。
 
 
とにかく、世界の名門校とは、たとえば、ボランティアも自分の身体を張って行うレベルで、何もかも破格であり、精神も頭脳も身体もすべて鍛え抜かねばならいということを実感したようだった。
 
最近では、ノーブレス・オブリージュという言葉を安易に使う学校も多いが、本当のノーブレス・オブリージュは、損得勘定や大学合格実績競争では測定不能である。我が国に必要なグローバルリーダーとは、年収いくら欲しいとか、学歴競争でどこに位置したいとか考えている低次元な発想では、もちろん成立しないだろう。ただ、そんな高邁な精神を養える教育はどこにでもあるものだろか?八雲学園以外に思い浮かばない。
 
 
八雲学園が、ラウンドスクウェアとの交流でまたスケールの大きい破格の教育実践の中でお手本を見せてくれることだろう。2017年の八雲学園は、今までと同じように考えていてはいけない。受験業界の常識では測れないダイナミックな教育実践が再び始まるのである。
 
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