「第18回アジア競技大会」バスケットボール競技初の3×3で、決勝まで進んだ女子は銀メダルに輝きました。その女子日本代表メンバーの1人に奥山理々嘉 (八雲学園高校3年)選手がいたのです。金メダルの頂点にたった女子中国代表は、今年4月に行われたFIBA 3×3 アジアカップで準優勝、その後のFIBA 3×3 ワールドカップでも世界4位になったメンバーを擁する強豪。
対する女子日本代表は大会前に3日間の合宿しかできなかったようです。また、試合直前に馬瓜ステファニー選手(トヨタ自動車アンテロープス)を5人制から借りる形で、実際に4人でプレーしたのは予選ラウンド開幕戦のときだったということです。ぶっつけ本番に近かったでしょう。にもかかわらず銀メダルを獲得できたのです。
9月1日、恒例の八雲学園の塾・教育関係者対象の入試説明会がありました。その会の終了後の懇談会に、奥山選手はかけつけました。アジア大会の女子バスケット競技が終わった直後の帰国だったのですが、ずっと応援してくれていた近藤校長に銀メダルをかけてもらうためです。
会場はサプライズのため息と温かい空気で満たされました。近藤校長が、教育は総合力であるといつも提唱していたことが、ある意味証明されたからでもあります。
八雲学園は、今春から共学校になり、ラウンドスクエアというエスタブリッシュな世界の私学50カ国180校からなる教育コミュニティのメンバーに認定されました。C1英語、PBL、ICT教育などの21世紀型教育もすっかり当たり前になりました。
質の高いグローバル教育の総合力の進化が続いているのです。したがって、近藤校長の夢は、多くの生徒がグローバルな多様な領域で活躍することです。グローバル起業家、グローバルガバナー、グローバルアーティスト、そして奥山さんのようなグローバルアスリートなどが羽ばたくことです。
2020年東京オリンピック・パラリンピックで、奥山選手が活躍してくれる期待が高まってきました。奥山さんを応援する同級生や在校生も、一人ひとりを見ると、それぞれ自分の潜在的能力を開花しようとして学んでいます。その1人ひとりの学びの熱き姿勢が、八雲学園の明朗でさわやかな空気をつくっているのです。
奥山さんのバスケット人生については、首都圏模試センターのサイトでインタビュー記事が載っています。「女子バスケ奥山理々嘉選手。『学校から世界へ』インタビュー①」が4回シリーズで掲載されています。そして、その中で奥山さんが次のように語っています。
「自分で生活してみて家事の大変さを初めて知りました。お父さん、お母さんが協力してくれるありがたみを実感し、家族を思う気持ちがより一層強くなっています。今は兄も離
れて暮らしていて、家に帰ってくるのは年に1、2回です。時々しか会えないと、帰ってきた時に大事にしたくなります。お母さんも同じ気持ちなんだろうなと思います。(私が)
たまに帰ると「何食べたい?」などと聞かれます。一緒に暮らしていた時もそういう感じではあったのですがありがたいですね。」
グローバルな活躍とは、地球規模のダイナミックな活力とふだん私たちが忘れかけていることに対する細やかな愛情の両方によって形成されているのだということでしょう。奥山さんの活躍で、八雲学園は、ますますグローバル教育の本当の意味に近づいているのではないでしょうか。
(私立学校研究家 本間勇人)