2023年度第1回定例総会が富士見丘ペントハウスラウンジにて開催されました

2023年度第1回定例会は、富士見丘学園のペントハウスラウンジをお借りして実施しました。富士見丘中高の校長であり、日本私立中学高等学校連合会の会長、さらに一般財団法人日本私学教育研究所の理事長でもある吉田晋先生は、多忙な学校経営の日々の中でも、私学全体、そして日本の中等教育の質向上のために、文科省や国会議員に積極的に働きかけています。そういった日々の活動の中でキャッチした情報とご自身の知見を交え、未来に向けた備えを21CEOのために共有して下さいます。コロナパンデミックの際に、いち早くオンラインやハイブリッド対応をした21CEO加盟校のICT環境にふれ、子どもたちが当たり前のようにスマホやタブレットを使う現代においてますますICT環境を充実させる必要性を唱えました。それは学校内の話にとどまらず、IT技術者の不足がもたらすであろう日本の未来を見据え、文系/理系といった隔てや、従来型の物理中心の理工学部にとらわれないような理科教育を推進することで、理系に進む女性も増えるはずだという考えにも発展していきます。さらにそのことは教育課程そのもの、あるいは教員免許制度などへの批判的思考にも繋がっていきます。要するに、ICTや理系教育、あるいは教員不足などの事例は、それぞれが個別案件として存在するのではなく、ICTなどのツールを考えることが社会課題解決にも連動していくのだということが伝わって参りました。

教育に関する議論はあちこちでなされていますが、実際にその議論を現実に適用させるには、どうしても制度的な部分に切り込んでいく必要があります。吉田先生は、ご自身ではあえて口にはしませんが、私学全体のために、制度への働きかけをしているわけです。

21CEOの理事長で、一般財団法人 日本私学教育研究所の所長でもある平方邦行先生は、「ウェルビーイングの教育」というキーワードを掲げました。「ウェルビーイングの教育」の核心に入る前に、大学入試を題材に「ウェルビーイングではない教育」の例を挙げ、経済的自由という大義名分の元で私利私欲が横行することがあってはならないというメッセージを発します。

誰しもが持っている「意識しない偏見や前提(アンコンシャスバイアス)」をまずは認識し、その影響を最小化するために多様な視座を持つことを提唱しました。その一つとしてWHOが2021年にジュネーブで合意した「ウェルビーイング憲章」を引き、地球上のどこにいるメンバーにも、そして未来世代に対しても、公平な健康と社会的成果を達成するためのグローバルなコミットメントを、私学人である我々は忘れるべきではないと主張されました。

「経済的な自由を侵すことがあってはならない一方で、経済的な自由はそれを保障する枠組みがあってこそ存在する」という命題、さらには、「平和という共通の理念を実現するためにも異質な存在に対する寛容性を持つことが必要だ」という命題を改めて突きつけられた思いがいたしました。

三田国際学園の学園長大橋清貫先生は、21CEOの前身である21会設立当初から定例総会に参加しているが、今回ほど強いミッションを持って参加したことはないというほど、「ウェルビーイングの学校経営」について自信のみなぎった力強いお話をされました。

昨今では、多くの学校がグローバル教育を志向し、英語重視、またサイエンス重視を掲げています。PBLや思考力などといったキーワードも21CEOだけのものではなくなっています。しかし、本当にそのような環境を実現するためには、学校経営力が大事で、そこを担う管理部門(スーパーグローバルマネージメント)が機能しているかどうかによって左右されるとお話されます。

大橋先生の自信はご自身の学校でこの8年間実践してきたことによって裏づけられています。30名にも及ぶグローバルティーチャーを擁する管理者をはじめ、日々KPI(大きな最終目標を細かく分けて行動に移す「Key Performance Indicator」)を設定しながら情報共有を行うマネージャーの存在、それからデータをもとに方針を打ち出すEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング/エビデンスに基づく政策立案)が、理念を現実に変革される上でのポイントだと考えているわけです。

2023年度はそのノウハウを21CEOのSGM部会で開陳していくということですので、期待して待ちましょう。

Twitter icon
Facebook icon