佼成学園女子 コラボレートする「心」を鍛える(2)

佼成女子の行事には実施する順番にも意味があるのだと教頭の江川先生は強調されていた。「体」を鍛える体育祭と「心」を鍛える文化祭、そして、人の喜びや悲しみが分かる「心」が、「頭」を鍛えるという。英検まつりや合唱コンクールもそういった一連の流れに組み込まれている。イベントは単発で終わるのではなく、それぞれの目的がつながっているのだと。

コラボレートする「心」

佼成女子では、行事は何よりも生徒一人ひとりの可能性を拓くものである。生徒同士が、またある時は先生と生徒が、協働し、何かを成し遂げる達成感を得る場なのである。そして、年間行事の流れが意識され、それを含めたカリキュラムデザインがなされているということは、生徒の多面的な才能を伸ばす環境が用意されていることを意味する。先生のまなざしこそ、広い意味での評価となるからである。生徒は、先生ひいては学校が望むように伸びるのである。
 
 
生徒の自主性を重んじると言って、その実、イベントの中身に無関心であるような学校だと、生徒は安易な催しに走りがちで、ともすると同じような催し物ばかりが目立つ、バランスを欠いた文化祭になりがちだ。
 
しかし、佼成女子では、学年やクラブを超えたコミュニケーションが行き届いていて、催し物のバランスがとても良い。先生方と生徒とが事前に十分な対話を重ねてきた結果なのであろう。
 
だからこそ、学校を知るために、実際に文化祭に足を運んでみることが大事だと痛感する。生徒たちにとっては、ここが「社会」なのであるから。いや私たち大人にとっても、未来の社会がここにあるという目で学校を見るべきなのだ。
 

 佼成女子で伸びる才能とは何か。もちろん人によって違う。ただ、言えるのは、才能を伸ばすためには、自分をオープンに表現する環境が必要であり、佼成女子にはそれが用意されているということだ。まさに「行事が人をつくる」のである。佼成女子の乙女祭において、ダンスやバトン、あるいは書道パフォーマンスといったアクティビティは、生徒の自己開示を促す一つのきっかけを与えているのである。

 そして、コラボもまた大事な要素である。今回の乙女祭で書道部は、初日に合唱部と、2日目にはバトン部・美術部と、それぞれコラボでパフォーマンスを行った。

  書道パフォーマンスの面白さは、ハプニングが起こることを織り込んでいる点にある。だからコラボしやすいし、むしろ、コラボすることによって「書」という芸術の本質が垣間見えるのかもしれない。佼成女子の書道部が進んでコラボしようとするのは、そういうところに関係があるのではないだろうか。いつもは吹奏楽部とコラボするということであるが、吹奏楽部が都大会出場でいないとなれば、合唱部、そして他のどんな部活動でもコラボしてしまう柔軟性を持っているところが素敵である。

 佼成女子の「行事が人をつくるという言葉は、まさに、本質を突いている。「プレイフル・ラーニング」はこういうところに隠れているのである。

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