聖学院 「思考力」を語る (3)

聖学院の思考力テストは、思考のモデルとしての共通言語が使えているかどうかで、自然言語や知識、数式という限定的な言葉を使う能力に限らないという深遠な議論に飛翔したところで、いったん絵に変換してみようということになった。

描いていく途中で、脳科学的な発想の絵になっていった。そして前頭葉のところが、成長すると遊びがなくなっていく。子どものときは、まだその部分が固まっていないから、子どもにしか発想できないようなおもしろい言動や表現をするものだと高橋先生が説明してくれた。

もし子どものままの前頭葉の状態では、大人になってから秩序を作れない恐れや組織的な言動がとれなくなる恐れがあるから、ある程度成長という名の安定が必要である。しかし、ある程度遊びができる状態にしておかねばならない。そういう意味で、破壊が必要なのだと。

破壊というのは、ハワード・ガードナーの多次元知能(MI)ではないが、いろいろなタイプの情報を脳にインプットする学びが重要になってくるということだろうと伊藤先生。

遊びという点では、技術では椅子の設計をする準備段階で、座れない椅子をできるだけたくさん描くという思考実験を行うということだ。とにかく試行錯誤。ゴールとは反対の方向を見回してみることによって、創造的なアイデアが生まれてくると内田先生。

第1回目の本橋先生のデザインした思考力セミナーにも同様の遊びがあった。たくさんの立体をカテゴライズする分析をさせる一方で、どうやったら与えられた立体図形はすべて同じ立体だと条件づけらるのかという逆ベクトルの問いを投げかけていた。

本橋先生は、この思考の180度の回転の過程で、「アッ!」とか「オ―!」という声がでたとき、思考力が働いているということがはっきりわかる。この瞬間の蓄積が、教師にとっては重要であり、その体験を情報交換する対話を続けているのが聖学院の教師かもしれないと。

 

 

 

 

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