2月22日(日)に21会主催の中学入試セミナーが行われた。2015年度の中学受験市場が回復してきた背景に21世紀型教育を実践する学校の躍進があったことが、首都圏模試センター教務情報部長の北一成氏による基調講演で明らかになった。 by 鈴木裕之:海外帰国生教育研究家
もちろん従来のように大学合格実績を売りにする私立中高への進学を望む中学受験生の親もまだまだ多いが、今年の入試では、21世紀型スキルを望む先鋭的な層が増加したのだという。2016年入試ではこの傾向に拍車がかかるのは間違いなさそうだ。
基調講演に続いて行われたパネルディスカッションでは、2015年度入試において受験者数などの面で躍進を果たした共学校の3校(三田国際学園、かえつ有明、工学院大学附属)が実践しているアクティブラーニングや思考力テストについての紹介があった。
三田国際学園の大橋清貫学園長 工学院大学附属の平方邦行校長
かえつ有明の石川一郎副校長 首都圏模試センター 北一成教務情報部長
好調な学校にはそれぞれ理由がある。ハイレベル英語、オールイングリッシュ、思考力テスト、クリティカルシンキング、PBL教員研修、ICT教育、学びの空間、グローバル大学進路指導、エンパワーメント評価…といった21世紀型の教育実践が明かされた。
コーディネーターの本間勇人氏(私立学校研究家)は、ディスカッションの内容をまとめつつ、会場に来ていた私立学校の先生を見つけては、関連するトピックについてその場でコメントをもらうために会場を縦横無尽に動き回る。
突然コメントを求められる先生は一瞬不意を突かれた感じで戸惑った様子も見せたが、ふだんからアクティブラーニングで鍛えていると見えて、どの先生も見事にコメントをまとめていた。こういった緊張感も、会場に来ていればこそ味わえるものだったのではないだろうか。
この日のセミナー会場は、三田にある戸板女子短期大学。すぐ前の通りでは午前中東京マラソンが行われていた。
東京マラソンと中学入試セミナー。一見何のつながりもないような二つの事象だが、どちらも「グローバルシティTOKYO」というキーワードによって結びつけられる。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、日本の教育は大きく変わろうとしている。大学入試改革を先取りする形で変化を始めたのが中学受験の市場なのである。
2016年以降の中学受験市場において、21世紀型教育にシフトするトレンドがますます顕著になることは、この時代の論理的必然であると言ってよいであろう。