今、三田国際は、ドイツからの高2留学生を受け入れている。今年7月も受け入れているから、年間通して、在校生は留学生と出会うチャンスがある、今回のドイツからの留学生も、日本が大好きで、在校生と日本のどんなところが好きか語り合った。身近な生活の話で盛り上がったが、その現象の背景にドキッとするような本質を留学生と在校生が共感し合う瞬間があった。by 本間勇人:私立学校研究家
留学生はホームステイ先で、お風呂の入り方がドイツとは違うとか、食事がたいへんおいしいとか、もちろん見る物聞く物初めて直接見るものだから、すべてが新鮮で、すべて好きなのだと語る。
また、ステイ先の在校生といっしょに自転車で通学するのだが、坂が急で、マウンテンのようだと驚いたのには、在学生も驚いたという。故郷ミュンヘンとは違い、自由が丘―二子玉川―用賀のエリアの風土が全く違うことを体験していた。
この地域は、国分寺外線のエリアだから、江戸から明治にかけて東京でも有数の大名や政財界人の別邸が立ち並んでいたところだ。都心部の大名庭園とは異なり、五島美術館にあるように、崖をうまくつかった大名庭園という日本文化の拠点でもある。
このエリアから、庭園国家論構想である国土計画「五全総」が生まれたのは記憶に新しい。二子玉川と用賀の間に、高島屋のガーデニングの別棟のビルができてたのはこれがきっかけである。
彼女たちは、何気ない通学という学園生活空間の背景に日本文化を無意識のうちに感じ取っている。しかし、在校生は、留学生と出会わなかったら、その感性のアンテナは作動せず、気づかなかったという。
大切なことは日本文化の知識ではない。日常の土台になっている自然の空間が、文化を生み出すその感覚を立ち上げるには、留学生の感覚と交流することがまず大事なことなのである。
「改めて気づいた」というこの感覚こそ留学生との出会いがもたらすものなのである。