富士見丘 日本の教育を変える知の沸騰(4)

「92の選択科目」は主体的な選択判断を養う原体験

「卒業生に聞く大学生活」の講座シーン

富士見丘の選択科目は進路に応じて多種多様に選ぶことができる。たとえば英語は高2・3合わせて13科目。自分のレベルに応じて、また学びたい内容に応じて選択。基礎を固めたい生徒にはBASIC ENGLISH。海外大学の準備をしたい生徒にはACADEMIC ENGLISHなどが用意されている。

したがって、自分の進路に応じて「自分の時間割」を作るのだが、そのときに重要な判断は選択するという意思決定。近代民主主義社会で、「選択」とは、「自由」と同じくらい重要な発想。

自主性や主体性を生み出すには、自由に選択できる環境がなければならない。富士見丘は、その環境として、進路を考える生徒の主体性を育てるために、「科目選択制」というシステムを構築してきた。この選択の重要性について、岡本先生はこう語る。

岡本先生:選択するといっても、その中身はいろいろあります。選択しやすいように選択肢を少なくすれば、外発的な意味で選択したにすぎません。

富士見丘の選択という発想は、私たちが求めている4つの力を発揮して、内発的な動機づけに基づいて主体的に選択判断をしてもらいたいということです。

①既存の知識を系統的に学び取る学力 
②主体的に考える思考力
③適切に状況を把握する判断力 
④事態を切り開く行動力

21世紀という、あらゆるものが国境やジャンルを越えて飛び交う混沌としたグローバル化社会は、情報が大量にあり、自ら選択しながら生き抜く力が必要です。

昨今の大学の進路も、学部も学科も多肢にわたり複雑です。進路講話や大学ゼミ体験、大学研究室訪問、進路面談などサポート環境は整えていますが、最終的に自分の道は自分で決断しなければなりません。それには、与えられた情報を自ら探求して、自ら選択肢を探し当てることも必要です。

たとえば、メディアの道に進みたいと思ったら、学科名だけから選んでいては、本当に自分の進みたい道がそこにあるかどうかは不確定です。学科名は違っていても、メディア論を研究し、就職の道も開けるようなケースはたくさんあります。

92の選択科目を通して「私の時間割」をつくることは、目の前の進路のみならず将来選択の決断に迫られたときに役立つ体験となるでしょう。

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