佼成学園女子の校訓は「人と交わり人に学ぶ」である。そのために行事を重視し、その振り返りからさらなる成長を目指すという教育のベースがある。11月17日に行われた中学校説明会、さらにインタビュー取材を通して見えてきた佼成学園女子のグローバル教育の質をレポートする。by 鈴木裕之:海外帰国生教育研究家
説明会で学校長の山内先生が強調していたのは、学校は友だちを作り、ともに学ぶ場所だということである。行事を大事にするのも、Q−Uアンケートという、学校生活の満足度を測る心理アセスメントを実施しているのも、人と交流する上で、まずは自身の気持ちが安定する環境が必要であるという配慮によるのである。
学級満足度の結果がここ数年ずっと上昇を続けているのは、つねに学習環境の向上を考えて教育活動を行っているからであろう。
佼成女子では、学校行事で生徒が互いに交流することを学びの契機として捉えているため、行事の後の振り返りを大切にする。生徒は、そのようなリフレクションを通して自分自身を見つめていくのである。
そのことは、中学1年生による入学後の体験談からはっきりと伝わってきた。
入学して初めての行事とも言える青梅の研修所で1泊のオリエンテーションが実施される時、学年全員が同じ部屋に布団を敷き詰めて一緒に寝るのだという。6年間をともにする仲間と、好きとか嫌いとかいう感情が芽生える以前にこのような体験をさせることが、未知の環境に対する適応力の育成につながることは想像に難くない。
その後、スポーツフェスタ・乙女祭・合唱コンクールといった行事のたびに、生徒たちは振り返りを行う。この日の説明会で話してくれた中1生も「時には協力的ではない仲間とトラブルになることもあるが、イベント後の振り返りによって、誤解が解けて絆を強めていく」と話していた。
この振り返りと対話は、佼成女子ではSGE(構成的グループエンカウンター)というプログラムとして様々な場面で応用されている。そして、実は、留学プログラムが安定的に保護者からの支持を得ているのも、このSGEなどの手法が効果を上げているからなのである。