グローバルコースの3つの基礎
小島先生:2015年から、高校は新コース「インターナショナルコース」をスタートさせます。今年4月に開始するグローバルコースはその予備部門の役割を果たします。もちろん、インターナショナルコースは、英語以外の教科も英語で行うことを予定していますから、グローバルコースのメンバーが全員インタナショナルコースに進むわけではありません。
ただ、国内の難関大学も、2018年前後から、グローバルなシラバスに変わっていくわけですから、グローバルコースの学びは、大学に進んでから以降も役立つような準備になると思います。
青井先生:その準備のために、私たちが頻繁に議論しては実践し、実践しては振り返り改善していることが3つあります。
・ヴィゴツキーの理論である「最近接発達領域」をいかに授業に活かすか
・最近接発達領域を生徒と共有するために、「メタ認知」をいかに育成するか
・その育成のために、一点刻みの点数主義の評価ではない新しい「自己評価」はいかにして可能か
ということですね。
この3点は、世界各国がすでに行っているグローバル教育や国際バカロレア(IB)の基本的な学習理論です。しかし、この理論が実践されているケースメソッドは、残念ながら日本の教育現場にはないのです。そこで私たちはアメリカやカナダのカリキュラムや理論を英文でリサーチしました。ランゲージ・アーツ、そうそうスキルではないのです。
もちろん技術という意味合いで使われているのですが、クリエイティブな意味も含んでランゲージ・アーツだと思うのですが、それはともかく、その理論で有名なものにJeffrey D.Wilhelmらが書いた“Strategic Reading(SR)”という本があります。
実は今述べた3つの基盤は、「教師主導型から生徒主導型学習へ」という本校が考えているグローバル教育の学びを支えるものです。もちろん、最初は教師が教えます。しかし、ずっと教えてはいません。途中で生徒どうしが協調するシーンがでてきます。そして最終的には学びは自立ししていくというのが生徒主導型学習です。
スーパーグローバルハイスクール構想では、プロジェクト型学習が指定されていますが、その意味は生徒主導型学習ということなのです。ですから、本校はそれをもっと実践的に多くの授業で取り入れていくことになると思います。
このプロセスをこの本SRは、わかりやすくプラグマティックに説明してくれています。
どこがプラグマティックかというと、「I DO/YOU WATCH→I DO/YOU HELP・・・・・・・」という教師と生徒のコミュニケーションの「行為」のプロセスをデザインしていくところがわかりやすいのです。そして、このプロセスがうまく進まないとき、なぜ進まないのか「メタ認知」が作動するし、そこをどのように促進するかを考えると「自己評価」をせざるを得なくなるわけです。経験の中から理論が生まれてくるのです。
極めて現実的ですから、実はすでに多くの教員が、このような生徒主導型学習を授業の中に取り入れて準備をしています。