今年の中学入試は、始まる前から聖学院に人気が集まった。大学進学実績の飛躍!というのが、受験業界の見解であり、それは間違いないだろうが、実際に説明会に参加した保護者は、目からウロコと感じた。
大切なことは、生徒の才能を開き、モチベーションをあげる大胆かつ繊細な豊かな教育であるということに共感したからである。昨年末の説明会、突如清水副校長と受験生の握手会が始まった。
by 本間勇人:私立学校研究家
左から戸邉校長、清水副校長
昨年末、清水副校長は、説明会を開催するたびに参加者が増えてくる様子に、聖学院が受験市場に支持され始めた手ごたえを感じた。同時に、聖学院教職員全員が一丸となって、積極的に役割を果たし、補完し合いながら、自分たちの教育の真髄そのものを伝えようとするモチベーションの高さを肌で感じた。
昨年の夏、聖学院の教育が大切にしているオンリーワン・フォー・アザーズという共に支え合いながら自分らしさを磨きあがていく授業のモデルづくりの研修をした。それは「思考力セミナー」という学校説明会で、受験生と共に学ぶ聖学院の授業モデルづくりである。
聖学院独自のものであるがゆえに、外部の有識者に頼んでも、理屈は分かるが、ビジョンを現実化できない。そこで自らの授業モデルを作り上げる研修を教員がみんなで自ら企画し実行した。この夏の研修は、一つのエピソードにすぎず、多様な行事を行うときに、同じように一丸となって考え、実行し、振り返り、改善していく。
このような学校を、MITのピーター・センゲは「学習する学校」と呼び、最強の学校であると評価する。
戸邉校長は、これからの時代、いやすでに始まっているが、誰にも先が見えないほど変化している。世界の変化は、身近な私たちの生活にまでダイレクトに影響を及ぼす。本当の不安は何か、誰にもわからない。それゆえ、偏差値が上がっただとか下がっただとか、一喜一憂する生活の中で、成績を上げれば不安は解消されると錯覚してしまう。
しかし、本当の不安は、自分を認め、自分を励まし、ふりかかってくる災難を、人々と共に光に変えていく人間力を身につけない限り、払しょくできない。だから、聖学院はこのグローバル時代の不安に立ち臨める教育出動ができる。私たちのモチベーションは、腹を決めて、自分たちの出番だと決めたところから大きくなっていると。
そして、その聖学院の覚悟の塊が、説明会参加者の心にドーンと受け入れられた。それゆえ、昨年末、説明会終了後、清水副校長のところに1人の受験生が握手してくださいと飛び出た。すると、講堂は清水副校長との握手会の行列となった。受験生は何が大切なのか、そのハートを受け取っているかのような光景だったという。