順天 SGHクラス≪GLAP≫始まる(1)

今春、文科省の次期学習指導要領改訂のためのモデルになるSGH(スーパーグローバルハイスクール)指定校に、順天学園が認定された。SGHは、将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーを育成するため、グローバルな社会課題を発見・解決できる人材や、グローバルなビジネスで活躍できる人材の育成に関する教育課程等の研究開発を行うプロジェクト校である。

順天はその指定校として、まずは高等学校1年のイングリッシュコースの生徒と希望者で編成した≪GLAP(グローバルリーダーズ・アクションプロジェクト≫というユニットで、SGHの研究開発を開始した。 by 本間勇人:私立学校研究家

授業の取材に訪れたとき、≪GLAP≫は、ちょうど「世界一大きな授業」のワークショップを行っていた。このプロジェクトは、3つのタイプの研究課題に取り組むことになっている。

今回は、スクールワークという課題に挑戦。世界一大きな授業とは、世界100カ国の子どもたちと一緒に世界を救うために教育で何ができるかについて考える世界規模のイベントである。

SGH指定校になったばかりなので、今回は、5月に参加するタイミングが合わなかったが、順天のスクールワークのプロジェクト型学習(PBL)のプロトタイプを生徒とj共有することができるということもあり、ネイティブスピーカーの英語教師とイマージョン形式で挑戦していた。

まずは、アイスブレイキング。4択のクエスチョンを投げかけ、教室の4隅をそれぞれの選択肢のエリアにして、生徒が移動するというアクティブなクイズ形式。たとえば、世界の子どもたちは、どのくらいの割合で、小学校を中退してしまうのか?と。

知識がなくても、自分の感じ方はどの選択肢に近いかというのを自ら知るというのがねらい。世界の現状を知るには、まずは自分が今どのくらい意識の上でかかわっているのかという現状認識するところからはじめる。当然現状と自分の認識のギャップを実感することになる。

プロジェクト型学習は、知識を教えらえるのではなく、自分で調べるのが目的でもない。出発は、自分が問題を立てるところからというのが大前提。だから、未知のクエスチョンから始めるのである。自分お意識と社会の現状のギャップから問いが立ち上がるわけである。

次のクエスチョンは、文字が読めないとはどういうことかと投げかけられる。もちろん、世界の教育について考えていくわけだから、識字率の問題であるわけだが、同時に、世界のことを知らない自分をリフレクションする「頭のフェイント」の問題でもある。

これについては、グループワークで議論して考えていった。

そしてプレゼンという流れ。

アクティブでインタラクティブでクリエイティブな空気が≪GLAP≫のクラスに満ちていた。

しかし、ここで大事なことは、だからどうするということなのである。あくまでもアクションパースペクティブが肝心。だから、世界の現状に対する自分の意識が低いとか、低いだけではなく無知だとどうなるのかという臨場感を確認するだけではなく、そうならないために、あるいはそうしないために何をするのかを≪どのように≫考えるのか、そのパースペクティブをまずは徹底的に分析的かつ論理的に考えていくプロセスを丁寧に織り込んでいく。

これは、自分が何ができるか、思い付きではなく、書き出してみて、その優先順位を考え抜くワークシート。実はこの分析的構造は、どう感じた、どう気づいたというときにも、ワークシートのスタイルは違うが、同様である。

ここには、欧米の分析哲学的背景があり、世界を構築する数理的モデルでもある。欧米で実践されているアクティブラーニングやPBL、あるいはアクションパースペクティブなどの学習方法には、言語哲学と数理的思考の基礎が背景にある。

これがないと教科横断型とかクロスカリキュラムというのは表面的なジクソーパズルで終わる。つまり文科省がSGH指定校に課したグローバルリーダー養成のための多領域接続・連携のねらいは、ゆとり教育、脱ゆとり教育でなしえなかった、言語哲学と数理的思考の学際知の発掘でもあるのだ。順天のスクールワークのねらいも、広く深い。

 

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