聖学院の教育 Oneにこめる想い

11月2日(土)、11月3日(日)両日、聖学院は「創立109周年記念祭」(文化祭)を開催。テーマは「One 最高の贈り物を届けよう」。「One」には、「Omly One」「One for all all for One」「No.1」という3つの想いが込められています。これらは、現在の社会にあっては、相反する言葉どうしです。この葛藤をどのように昇華するのでしょう。聖学院のエネルギーと聖なる高い志は、この葛藤を乗り越えようとするところから生まれてきます。by 本間勇人 私立学校研究家

探究活動の基本 探検部

2020年大学入試改革、次期学習指導要領で重視されているのは、探究の体験そしてアクティブラーニングを通しての創造的思考力です。今まで1点刻みのテストで合否が決めれてきた時代から、学びの体験とその社会貢献の成果も評価の対象になるわけです。

そうなると聖学院の「探検部」などのすばらしい活動も、十分に評価の対象になります。

というのも、聖学院では、糸魚川農村体験というプログラムは行事の一環で全員が体験するのですが、探検部の生徒は、その後も研究をし続けるのです。農村というコミュニティの未来の可能性を探っているのです。

その探検の仕方は、電車と徒歩で、奥深い自然を巡り、自然とは何か探検していくやり方です。彼らの活動は、実はこの20世紀資本主義がもたらした、自然と技術と社会の分断を修復する循環の経路をたどることです。

ポスト資本主義のあとは、電脳資本主義なのか、エコ資本主義なのか?やがて人間存在と自然と社会の新しい関係を洞窟探検を経て、その決定的な奥義を発見することでしょう。

平和を探る

沖縄平和学習も修学旅行で体験しますが、これも行事で終わらないのが聖学院の教育です。特に安保法制が成立した今、沖縄をめぐる問題は、人類にとって重要な難問を投げかけています。それを受容し、解決策を探っていく聖学院の委員たちから学ぶべきことはたくさんあります。ここにも沖縄の自然、コミュニティ、技術の循環を阻害する問題が横たわっています。その阻害要因をいかにしたら取り除けるのか?彼らの学びの体験は未来の人類に必ず貢献するでしょう。

サイエンス

聖学院はサイエンス実験室が充実しています。未来のサイエンティストが大活躍。

忍者の発想

忍者屋敷はたんなる模擬店ではなく、数学の先生がかかわっています。忍者と数学にいかなる関係があるのか?さまざまなトリックは、数学の問題の補助線を見出す時に役に立つ発想トレーニングの場なのかもしれません。

男子校はなんてったって鉄研

鉄道の模型は壮観。すぐに黒山の人だかりになっていました。それにしても、鉄道シミュレーターなどICT教育がベースになっていて、鉄研も日々進歩しています。

興味と関心があるものへの探究心と集中力。これが「One」を貫くマインドなのかもしれません。

創造的才能者

美術部をたずねると、記念祭のオープニングビデオを制作した生徒に出会いました。デザインやデッサンのポートフォリオを見せてくれました。

映像やデザイン、デッサンの作成に独り沈潜し、イメージの世界を経巡る才能者が育つ空間でした。

中1の探究活動

中1の自由研究のプレゼンもありました。生徒1人ひとりが興味と関心のあることを探っていく活動。はやくも中1から始まっています。今見てきたように、あらゆる行事や部活が探究活動であるために、授業や課題も探究活動の一環であることは当たり前になっているのでしょう。

電子黒板を使って、みんなの前でプレゼンテーションするのは、そう簡単にはTEDのようにはいきませんが、ジュラシックパークを端緒に、人類史を超えて地球史にまで想いは広がるすてきなプレゼンでした。そして、この初々しい感じから、先輩のようにスーパープレゼンテーションができるように大きく成長していきます。それはどうやって?

自由研究は、電子黒板を使ってのプレゼンテーション以外に、ポスターセッションという手法も同時に行います。ポスターセッションは、息の触れう距離なので、共感できるように自然に表現が調整されていきます。この感覚をベースに講演スタイルのプレゼンも上達していくのです。木目細かい探究活動のプログラムが先生によって創意工夫されているというのが了解できます。

高2の探究活動

「アリに愛はあるか?」アリが水に囲まれてしまった状況に直面して、そこから脱出するために水に飛び込み、泳いで脱出するかどうかを観察し、飛び込むまでの時間とか脱出するまでの時間を、2種類のアリを比較観察しながら、検証していく自由研究のテーマ。「最優秀賞」を受賞していました。優れた高2の自由研究の紹介がずらりと並んでいましたが、いずれも発想が革新的でした。

この「アリに愛はあるか?」というテーマは、結局学習ができるかということです。愛は互いが関心をもち互いを知る探究の過程です。これはオックスブリッジの口頭試問の問題に通じます。「アリは意識があるのか?」というような感じで問われるのですが、聖学院の生徒の思考力は、オックスブリッジでも通用します。このプレゼンの内容を英語でプレゼンしたら、ぜひオックスブリッジでいっしょに研究しようよとなるでしょう。

多様な才能を開いていく聖学院の教育の証明は、多くの生徒が海外大学ランキング100位内の大学に進んでいるところからもわかります。2020年大学入試改革は、聖学院の21世紀型教育に追いついてきたといえましょう。

Twitter icon
Facebook icon