新しい時代を画するカンファレンスが実施されました(2)

基調講演の後は、生徒による「私たちが22世紀の未来の学校を創ります」という協働講演です。

 

生徒による協働講演のパートでは、田中歩先生と伊東竜先生から紹介された後、約30分間、生徒たちだけでのディスカッションとなりました。途中でトピックを仕切る司会者もなく、4つの異なる学校の生徒がほとんどリハーサルもなしに、多くの大人が見ている前で堂々とアドリブトークしている姿は圧巻でした。

 
 
ディスカッションの中身は、先生との関係、教育の方法、自主性と創造性を重視する教育などが中心でした。しかしそれは、生徒が先生に何かを要求するという構図ではなく、学び続ける同じ人間としてこの時代をどう生きていくのかという切実なメッセージであったのです。それは、生徒自身が発した「先生に変わってほしいと願うのではなく、自分たちが変わっていくべきなのではないか」という問題提起からも明らかでした。生徒という立場を離れて学校という場を考えてみること、それこそが22世紀の学校のあり方のヒントであるのかもしれません。
 
ディスカッションも終わりに近づいた時、生徒たちはオーディエンスの中の先生をディスカッションの場に引き入れました。まったく台本にないスリリングな展開を創り出せるパネラーは、従来の「生徒」像とはまったく異なるものです。もちろん急に登壇することになった染谷先生や渡辺先生も、極めてフラットに対応しました。学び続ける同じ人間としてリスペクトし、必要とされるときには寄り添って支えるということを表明したのです。
 
 
 
生徒によるディスカッションに続いて、新井誠司先生と染谷昌亮先生の司会で、SGT(スーパーグローバルティーチャー)によるディスカッションが行われました。教育研究センターが主催した教育研究プロジェクトを振り返り、生徒主導型の授業や教育デザインを実装するSGTを増やしていくことが話し合われました。
 
 
Aチームからは、クルックフィールズという施設を訪れた体験を基に、サステイナビリティに焦点を当てたプロジェクトの報告が行われました。このプロジェクトでは、生徒と教員が共に学び、成長する機会を提供し、生徒たちが将来ワールドクリエイターやチェンジメーカーになるための教育環境を考えることが目標です。また、複数の学校が協力して実施するBチームからは、学校外のさまざまな経験を通して生徒たちの視野が広がっていくことが報告されました。学校間の交流プロジェクトでは、生徒たちが他の学校を訪れ、異なる学校文化や環境を体験することで、新しい視点やアイデアを得ることが確認されました。
 
さらに、2050年以降に向けた教育環境のあり方については、生徒の自立と創造性を促すために従来の教員像を乗り越える必要があること、特に生成AIが、人間の創造性すら生み出してしまう時代における教員の役割について考え直していく必要があることが議論されました。
Twitter icon
Facebook icon