和洋九段女子のPBL授業 スーパーロールモデル

6月15日(土)、和洋九段女子で、2回目のPBL型授業体験会が開催されました。予定されたFuture Roomでは収まりきれず、別室を急遽用意するほどの人気の和洋九段のPBL授業。なぜでしょうか?
 
 
これからの学びにはPBLは必要だというのは文部科学省も経済産業省も提唱し、多くの教育産業も推奨しているのですが、多くの学校では、探究の時間では行われていても、教科の授業ではPBLを行うかどうかは教師個人に委ねられるケースが多いのです。まだまだPBLは教育活動のオプション的存在です。
 
ところが、和洋九段女子では、教科の授業でも探究の時間でも行事でも部活でもあらゆる教育活動にプロジェクト型の学びが浸透しています。いわば、日本の中高段階のスーパーロールモデルが和洋九段女子のPBLなのです。
 
なぜそれほど注目されているのかというと、次の3つの理由があると考えられます。
 
❶トリガークエスチョンの機能が絶品:思考力・判断力・表現力・行動力などの能力・資質を育てるには、良質の本質に迫った問いを生徒が自ら作ることができるかにかかっています。これがあることによって、はじめて「主体的・対話的で深い<思考>」が生まれてくるのです。今回も驚きましたが、小学校6年生に本質的な問いが生まれてくるデザインがされているトリガークエスチョンが提示されました。入試のための体験なので、ここで具体的に公開できませんが、リサーチクエスチョンを生徒が自ら生み出すギミック(仕掛け)が織り込まれている問いがトリガークエスチョンで、その設計が見事なのです。
 
一般には、いきなりリサーチクエスチョンを教師が与えてしまうわけですが、これでは主体的・対話的で深い<思考>に到る生徒は少なくなってしまいます。与えられた問いを考えるので精いっぱいで、自分なりに別の問いを立てる発想が湧いてこないからです。
 
ところが、トリガークエスチョンだと、自分でリサーチクエスチョンを生み出すことになります。これこそ自分が今まで気づかなった興味と関心が生まれる可能性が大で、ワクワクします。対話も弾みます。自分の中の疑問を仲間と共有するわけですから。
 
➋協働作業がPBLの醍醐味:このように一瞬にして自分のリサーチクエスチョンを立てようとなるのですから、ワクワクするし、対話も進みます。するとドンドン協力する行動が生まれてきます。和洋九段女子の学内の雰囲気がこの互いが信頼して、その関係性の中で創造的な言動が自由にできる明るい雰囲気があるのは、そういうわけなのです。
 
 
➌生徒はみんなファシリテーター:中1から高3まで、毎日がPBLです。このいわばPBL銀河の中で、光り輝いているのは生徒みんなです。なぜなら、対話や協力をする過程で、自分の主張を押しとおすのではなく、互いに異論・反論を受け入れながら、第三の発想を生み出そうとするファシリテーターとしての役割を生徒1人ひとりが行っているのが和洋九段女子なのです。ですから、今回も「和洋九段女子 広報宣伝部」が結成され、ユニフォームまで作成して、PBL体験のファシリテーターの役割を大いに果たしていたのです。
 
参加していた受験生は、最終的に驚くべき発想のプレゼンを堂々としたのには、驚愕でした。保護者の中に、うちの子はふだん発表するのは恥ずかしがるのですが、こんなに勇気を出してプレゼンをするなんてと親である自分が気づかなかった娘の姿を見て感動しましたと語っている方もいました。
 
 
今回は入試体験ですから、具体的なことは公開できなかったのですが、いずれ普段の授業を取材したいと思います。それにしても、2つの空間で、それぞれ新井教頭先生と主幹の水野先生がスーパーバイザーを行い、広報宣伝部のみなさんが阿吽の呼吸でファシリテーターを行っていたチームワークは、和洋九段女子の組織の在り方の象徴でもあると感じ入りました。
 
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