Created on 3月 10, 2014
自分自身を語ること 感性と世界観を培う
重要なのは、テーマが「自分に関すること」であるという点だ。これ故に、先生方は、書く内容について生徒に教えることができないという点だ。生徒一人一人が見つけ出さなければいけないテーマであるから、先生は「○○について書きなさい」と言うことができない。
生徒が、伝えたいことを自ら見つけて初めて、それをどう英語で書くかについて指導することができるようになるのだ。イベントの始めに、ネイティブ教師の一人、キャロリン先生が、「(今スピーチコンテストでは、)They are going to communicate their message to us」と仰っていた。その言葉の通り、生徒はそれぞれの考えや気持ちを、私たちに向けて発表してくれたのだ。
スピーチの構成はどれもすっきりとしていて、大変わかりやすかった。観客への挨拶及び自己紹介に始まり、「Today, I am going to tell you…」と、何について伝えるのかを明確にする。そして主な論点は「Firstly,… Secondly,…」という風にわかりやすく分けられていた。
「Why don’t you …?」「What do you think about it?」など、問いを観客へ投げかけるというテクニックも駆使されていた。ここに、先生方の行き渡った指導を感じることができる。
スピーチの内容を少し間違えてしまった時に、「Oh, sorry」と言う生徒もいた。黙ってしまったり日本語で話してしまったりするのではなく、咄嗟に英語が出てきたのだ。彼女は、八雲の英語教育を確実にものにしていっている生徒のうちの一人なのだろう。
ここで、印象的だったスピーチを一つ紹介したい。タイトルは「My Personal Development」。今まで習ってきたバレエでの努力と、人前で自信を持って発表できるよう成長したいという目標を語ってくれた。
「I want to grow personally so I can present myself in front of an audience with confidence.(私は、観客の前で自信を持って自分を表現できるよう成長したい。)Now, I am facing many people and actually I am very nervous. But today, I will do my best to be calm and speak confidently.(今、私はたくさんの人々を前にしていて、実はとても緊張しています。でも今日は、落ち着いて自信を持って話せるよう精一杯頑張ります。)」という風に彼女は語り始めた。
イントロダクションから観客の興味をそそる語り方である。このように、個人的な気持ちからスピーチを始めるのは、海外でも効果的とされているスピーチのテクニックの一つだ。
そしてバレエの経験、努力について語ったあと、彼女は次のようにスピーチをしめた。「Now, am I speaking calmly in front of you? Did you get what I wanted to say? I am happy if you did.(今、私は落ち着いて話せていますか?私が言いたいことは伝わりましたか?もし伝わったのなら、とても嬉しいです。)」最初から最後まで観客を聞き入れさせるようなスピーチであった。
今回のスピーチコンテストを通して、八雲の生徒は、英語に対する自信だけでなく、自分のことをより良く理解する、という機会も与えられているのだと思う。