富士見丘 文化祭“Solel”で教育の成果輝く(1)

富士見丘の文化祭。今年のテーマは“Soleol(ソレイユ)”。自らの意志を太陽の光のように輝いて放つ富士見丘生のひまわりのように明るい性格を象徴しているかのようだ。そして、文化祭は、このテーマを奏でるシンフォニーのように、あるいは変奏曲のように展開した。建学の精神「忠恕」がさく裂したコンセプチャルアートとしての文化祭体験レポートを贈る。by 本間勇人;私立学校研究家

オープニングは、他校とは一味もふた味も違う「物語」から始まった。メインアリーナは真っ暗になった。すると、富士見丘の噂話をさぐるレポーターたちが動画にあらわれる。いったいなんの噂があるのだろう。何人ものインタビューは続くが、回答は隠されたまま。

レポーターたちが、パソコンにレポートをまとめていると、突然表情がかわる。会場からは効果音よろしく不安の叫びが響く。参加者はその物語が、あの日本の神話、あるいは創世記の始まりのイメージを重ねたに違いない。その世界にぐいぐい引き込まれてていった。

とそのとき、光あれ!とばかりにロックバンドの大音響とともに急にアリーナは明るくなった。不安の叫びは、歓喜の叫びになった。そこに校長、実行委員会や生徒会の役員が登場。

吉田校長は開会宣言の中で、

「富士見丘には、お化けはいません。太陽やひまわりのように自ら明るく輝きを放つみなさんがいるからです!どうか文化祭みんなで、そして参加してくださっている方と思い切り楽しんでください。みなさんの輝きが周囲の人を明るくしますように!」

と文化祭のパンフレットを掲げ高らかに謳った。

メインアリーナは、富士見丘の教育の過程であり、その成果を発表する拠点である。先月も、忠恕忌の日に、視聴覚教室が開催された。それは、富士見丘の「忠恕」(真心をつくし、相手を思いやる)という教育理念を打ち立てられた故・吉田盛次理事長の遺徳を偲びながら、生徒にさまざまなジャンルの芸術にふれる機会を設けている日である。

今年度は昭和音楽大学の昭和ウィンド・シンフォニーの吹奏楽の鑑賞となんと共演だった。

富士見丘の吹奏楽部の部員もいっしょに演奏したのである。しかも、それだけではない。

飛び入りで、指揮まで振るというサプライズもあった。ふだんは体育館だったり、国際交流の舞台だったり、教育を語るセミナー会場になったりと、生徒にとって多様な学びが体験できる感動拠点である。

このように、アクティブ、インタラクティブ、クリエイティブな場があるからこそ、富士見丘の生徒はプレゼンが巧みだし、オープニングセレモニーにあったようにストーリーテラーよろしく光を放つ。一般にインプットが主流の日本の教育現場において、今文科省が躍起となっているアウトプットも重視するグローバル教育の先進校なのである。

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