チームワークのあと、各チームのプレゼンテーションが行われた。そしてファシリテーターの黒川教頭が振り返りのコメントを語った。そのとき、IB(国際バカロレア)のディプロマのモデルと戸板の英語科のプレゼン内容を比較対照しながら展開。IBモデルはグローバルスタンダード。しかし、それをそのまま踏襲するのはなく、比較対照し、共通点と違いを共有し、独自に発展させた。ファシリテーターが整理や判断の規準として何を活用するかは、創造的コミュニケションにとって重要である。黒川先生は、IBの研究をしていたのである。
新しい学びのモデル
会議室の空間は対話の種類によって、自在に変化していった。学びの空間デザインもまた21世紀型教育のプログラムには欠かせないスキルである。人間は自分の意志だけで、活動しているわけではない。周りの環境の影響を大いに受ける。それを学びの空間に応用する発想は、現代美術のアフォーダンスという手法から。戸板は、女子校として、このセンスが豊かである。
テーマについて、その場で調べるところから始めず、それぞれが調べてきた蓄積を互いに交換する。知識の再編集が会議の「いま・ここで」行われる。この会議のスタイルも「反転授業」のモデルではないだろうか。そしてこのプレゼンをしている最中に、平林先生から「評価をどのようにしていくか今後詰めていきたい」と課題が発見された。大事なことは課題をその場でシェアできたところである。
戸板の英語はIBを超えて進化
2つのチームのプレゼンが終わってから、黒川教頭からコメント。通り一遍のねぎらいのメッセージなどではなかった。自ら白板に、座標系の図を描きながら、先生方のプレゼンがどこを占めているのか、どの方向に向かっているのかを整理をした。
その整理は、最初、IBのディプロマモデルで語られていたが、話の過程で、戸板の英語がIBと違う点に気づき、それが付け足されていった。グローバルスタンダードに沿いながら、独自路線を歩んでいく戸板の先生方の取り組みに、確かに進化する英語科の姿が立ち現れていた。