スーパーサイエンスコースのねらいは、佐藤充恵先生によると「未来の研究者を育てることです。日本ではまだまだ女性の社会進出、とくに科学者の進路をたどる比率は少ないですから、それではグローバル教育とはいえないですよ。その点戸板は女子校ですから、女性の研究者の礎を築くことができると思います」。
佐藤先生ご自身、産休中であるにもかかわらず、息子さんを連れて、会議に臨んでいた。佐藤先生の心意気に頭が下がると同時に、女性にとって心地よい職場を形成している戸板の経営の先進性に、女子教育の真骨頂を感じ入った。
モデルづくりは、シンプルなところから出発するのが科学のセオリー。そこで、6年間の理科教育のうち、中学の理科教育をいかにバージョンアップするかというところから議論が始まった。従来とこれからの違いをマッピングしながら議論は進んだ。
鈴木先生は「従来は、≪実験→結果記入→考察≫というトライアングルモデルでしたが、今後は≪実験→結果記入→考察→討論→プレゼン≫というペンタゴンモデルにシフトしようと思っています。トライアングルモデルでは、目標に到達する問いと解答がある程度用意されていましたから、生徒がそのつど気づきを得て、そこから探求していく機会は少なかったかもしれません。
しかし、ペンタゴンモデルでは、考察と討論の繰り返しを挿入し、生徒の気づきが、好奇心・開放的精神・疑問につながっていくようにしていきたいと思います」とスーパーサイエンスコースに接続する中学段階の基礎のバージョンアップについて語った。
樋口雅浩先生と前原信義先生は、実験による理論値と実測値の違いを考察したり討論したりする意義について議論を深めていた。そこに佐藤先生が参戦し、トリガークエスチョンは、教師が用意するだけではなく、考察や討論の過程で生徒自らが自分に投げかける問いにシフトする段階があるという議論に発展。
違いという比較を通して因果関係の連鎖について考察する引き金になる問いが生徒自身のなかに生まれてくる仕掛けが理科教育のイノベーション。そこにICTツールをどう連動させていくか、ペンタゴンの図に要素が書き込まれていった。