文大杉並 「感動」を支える PBL型の学び(2)

青井教頭先生は、文大杉並の生徒の特長を一言で表現するなら「感性」という言葉に集約されると語った。それは、文化学園大学が、服装や建築や文化といった「アート」を重視していることに由来するのかもしれないが、一方で、中高で経験する豊富な海外研修プログラムとも大きく関係しているのである。

 

 青井先生は文大杉並の海外プログラムを広げてきた立役者である。修学旅行での学習プログラムやイギリス・カナダの語学研修、ホームステイなどをコーディネートしてきた。パリのユネスコ本部で活躍している日本人の話を聞く、というキャリア教育プログラムなどもその一つである。

 そんな青井先生が注目するのは、海外から戻ってきた生徒たちの豊かな感性である。パリの修学旅行でも、街並みの中でさりげなく見えるおしゃれに対する感覚は非常に鋭敏だという。パリから戻ってくると、美術の時間に描く絵の色使いも変わってくるのだそうだ。

 確かに、図書館などの学習空間のレイアウトひとつ取ってみても、おしゃれで居心地のよいデザインになっている。それも文杉の生徒の美的感覚の鋭さを物語っているのであろうか。

 
 本の貸出率もディスプレイの仕方によって、10倍も変わってくると青井先生は語る。
 
 また、卒業生のTA(トータルアドバイザー)が待機しているオープンスペースも、かつて教室の中で実施していた頃よりも生徒の集まりがよくなったとのこと。それだけ「感性」に響くかどうかが重要なファクターであるということ。
 
 
 青井先生の話を聞いていて感じるのは、主役は生徒であるという、徹底したホスピタリティの精神である。生徒を固定的に捉えていないから、生徒は逆に生き生きとしてくるのであろう。修学旅行などでは、必ず事後アンケートを取り、評判の良かったイベントは何か、といった振り返りをしている。つまり、生徒の「感動」×「体験」をプロデュースする仕掛け人的存在なのだ。
 
 さらに青井先生はこのような研修旅行などの学びを、どのように生徒に表現してもらうかを来年に向けて構想中であるという。論文集になるのか、写真などの展示やポスターセッションになるのか、はたまた生徒によるプレゼンテーションになるのか、非常に楽しみである。プロ顔負けのファッションショーをデザインする文杉のことであるから、「プレイフル・ラーニング」的な意味での学びが展開されるに違いない。
 
 来年度は中学部でグローバルコース、平成27年からは高校でインターナショナルコースが開設される。インターナショナルコースでは、ダブルディグリーの取得が可能になるということなので、グローバル教育に対する文大杉並の勢いはまだまだ続きそうである。

 

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