富士見丘学園は、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本全体がいよいよソフトパワー重視の社会にダイナミックに変化していくことを見据えて、新次元の高大接続プログラムを実践している。
すでに今年の春から、慶應義塾大学 理工学部 伊香賀研究室との共同研究が始まっており、夏休みには、慶応大学日吉キャンパスで、活動量計のデータ分析のためにデータ集めの実験も行っている。
今回は、それがデータベース化されたので、そのDBを使って探求を進める段取り。チームごとに、エクセルの関数計算ソフトで、分析していく準備のためのワークショップが行われた。つまり、2020年以降花開くと言われているデータ-サイエンティストの体験を、大学の先生、大学院生といっしょに行っていく画期的高大接続プログラムが加速しているのである。by 本間勇人:私立学校研究家
(院生にアドバイスされながら、富士見丘の生徒がクロス集計のグラフを制作しているシーン)
ピポットテーブルで見ることができる膨大なデータベースから、仮説をたてた運動量とライフスタイルの関係を証明するクロス集計を行っていくのだが、生徒は、
「今までは、調べて、すでに集計されたグラフや図を見て、探求活動の証拠としてきたことが多かった。でも、今回はデータベースをつくるための情報収集からはじまり、自分でクロス集計も作成していくプロセスを歩んでいる。ワクワクするけれど、緊張もする。データの正当性や信頼性を、自分たちが考えるところから始まっていますから」と語ってくれた。
クロス集計を作成していく段階で、仮説が否定される結果が出る場合も多い。運動量の多寡とテレビを見る時間の多寡の相関を出したら、仮説とは違い、運動量の多い生徒の方がテレビを見ている時間が多いという結果になった。
その結果は、運動量の多い生徒の人数が多く、母集団の偏りを考え直さなければならないのか、運動量が多い人のテレビの見方はもしかしたら、休息のために流しているだけなのか、今回はアンケートやヒアリングでそこまで調査していないから、今後そこは整理していきたいという反応がでてきたのには、院生もそこまで考えて取り組んでいるのかと驚いた、と同時に共感していた。
後半は、チームごとにテーマについて分析するディス化ションが行われた。データをもとに、その信頼性、正当性を話し合ったり、仮説の信ぴょう性を話し合ったり、データ-サイエンティストさながらの姿が現れていた。