工学院大学附属中学校高等学校(以降「工学院」)は、来春の中1からハイブリッドインターナショナルクラスを設置する。英語以外の数学や理科などもイマージョン率を上げていくクラス。授業のシステムや思考力育成のシステムは、IB型(国際バカロレア型)で、対話、ディスカッション、プレゼンテーション、深い洞察に基づいたエッセイなどハイレベルの教育。
そして、その教育を偏差値がそう高くなくても意欲に燃え、考えるコトが好きな生徒にも開放する。 そのためには、教師陣の授業力・教師力・対話力、そして英語力には、今までの日本の教育ではちょっと想像できないほどのソフトパワーが開発されなければならない。
そこで、昨年から工学院は、IB型の教師力向上のために、様々な研修を行ってきた。そして、各教科のミーティングで、自主研修ができるまでに進化した。英語科のミーティングは英語で行われるが、たまには学校から出て、研修センターで思い切りミーティングをやろうじゃないかということになった。by 本間勇人:私立学校研究家
(工学院大学の研修施設で、英語科ミーティングは行われた)
工学院のミーティングや研修は、アイスブレイクから始まる。平方校長は、プレイフルラーニングを好むため、日頃知った仲でも、日常空間をいったんリセットするために、ゲームから開始する。自らスーパーバイザー役をかって行うぐらいである。
二列に並べた机を対面できるようにセットして、片方の列は写生される側、もう片方は写生する側になる。ただし、写生する側が描く時間は30秒。30秒たったら、一人ずつずれて、描くという作業をワンサイクル行う。
一人の人の肖像画を、複数で描くというプレイなのだが、お分かりの通り、コラボレーションの体感をシェアする時間である。
工学院の外国人教師と日本人教師のコミュニケーションは豊かである。実は、この両者のコミュニケーションがうまくいかずに、悩んでいる学校も多い。外国人教師は、その背景に文化的な多くの経験を積みあがているから、お互いに話し合うことによって、多くのアイデアが生まれてくる。
グローバル教育とは、帰国生や留学生をたくさん受け入れると同時に、教師もダイバーシティになっていく。まずその環境がベースであることを忘れてはいけない。特にIB型の教育環境を整えるにはそこがまず基本である。
学校からでて研修センターで行うメリットは、パワーランチができること。もし雨にならなければガーデンでバーベキューを囲みながらの予定だったが残念。しかし、ランチを共にしながら、ありのままの気持ちでつながり、大いに英語のコミュニケーションは盛り上がった。
(時雨降る中、バーベキュースペースはひっそり。施設内の盛り上がりをそっと包み込む自然環境であった)
今回のテーマは、来春の新クラスに備えて、自分たちのティーチャートレーニングスケジュールのプランをたてること。パワーランチで、それぞれの想いを理解しあったところで、チームに分かれて英語でディスカッション。外国人教師も日本人教師も一体となってミーティングをすすめているのは、従来の学校のイメージとは全く違っていた。
チームで、ディスカッションするところからは、キング先生がスーパーバイザー。各チームのファシリテータ役も演じ、白熱するディスカッションを促進していた。
最後は、プレゼンし、振り返りをおこなって終了したが、実はこの研修プログラム自体が、PIL×PBL型の授業スタイルでもあった。トレーニングスケジュールを議論する英語科ミーティングであると同時に、来春から工学院が本格実施していくPIL×PBL型授業のトレーニングプログラムでもあったのである。
工学院が大切にしているIB型思考とは、常に「頭のフェイント」という柔軟性が仕組まれているということを実感した一日であった。