文化学園大学杉並(以降「文杉は、)今年4月からダブルディプロマコースを新設。これは、わが国初のカナダ・ブリティッシュコロンビア州(以降「BC州」)公認の海外学校が文杉内に誕生したことを意味する。平成27年6月3日、京王プラザホテルで、その認可証授与式のセレモニーが行われた。by 本間勇人/私立学校研究家
このセレモニーには、BSCIS(BUNKA SUGINAMI CANADIAN INTERNATIONAL SCHOOL)の認可証授与のため、ピーター・ファスベンダー教育大臣が来日した。それほど国を挙げての重要な「出来事」なのである。
というのもファスベンダー教育大臣は、もともとカナダ最大級のマーケティング・コミュニケーション企業の共同経営者で、その当時からカナダ産業省とのコラボレーションもしていたほど経済通。
カナダをはじめ世界は21世紀は知識基盤社会として、教育と経済の関係を重視している。つまり、ソフトパワーの経済に対する影響を最重要課題としている。文杉は、その世界の教育と経済の新たな関係の最前線に、日本で唯一立ち臨むのである。
このことは当然、日本国家も同じ想いでいる。文科省大臣官房国際課長今里譲氏も、東京都生活文化局私学部長武市玲子氏もかけつけた。
もちろん、21会会長でもある日本私立中学高等学校連合会会長の吉田晋先生(富士見丘理事長校長)も駆けつけ、乾杯の音頭をとった。BSCISのような画期的グローバル教育は、私立学校が最も得意とするプログラムだから、どんどん創意工夫し世界と連携して、日本の教育に貢献しようとエールを贈った。
松谷茂校長は、
「わが国初のBC州のオフショア校になって、高邁な志に感動教育はさらに広がるが、日々教員はBCカリキュラムの習得に全力を尽くしている。大きな野望のカリキュラムも、究極の授業の積み上げによって成立する。日々そのことを教師全員と分かち合いながら教育を実践できる。何より、この実践に優勝な生徒15人がともに歩んでくれる。その喜びと感動はこの上ない。」
と語る。
セレモニーでは、その“15 excellent students”が勢ぞろいして、抱負と志を英語でファスベンダ教育大臣に宣言した。「ここに居る仲間とそしてBC州にいる仲間とも歩み続け、ブリティッシュ・コロンビア州と日本の架け橋を築きあげることをお約束」しますと。会場は、明治以降の日本の近代の光の部分を支えた世界で活躍した津田梅子、クーデンホーフミツコ、下田歌子、河井ミチなどのようなグローバル女性人が現れる期待感が大いに高鳴った。
BC州教育省海外校プログラムコンサルタント マーガレット・コンポ氏は、日本で初めてのBC州のオフショア校であることも素晴らしいことであるが、「革新的なティーム・ティーチングのモデル」をデザインできたのは、オフショア校の中でも初なのであると。日本の文化や言語の状況に最適化できるBCプログラムの柔軟性を実証したと述べた。
筆者は、セレモニーから2日後に同校を訪れたが、なるほど「革新的なティームティーチング」手法で、全教員が研修を実施していた。もちろん講義形式ではなく、アクティブラーニング形式で。昨今日本ではアクティブラーニングの手法をめぐって、何が本物か偽物か議論が喧しいが、マーガレット・コンポ氏のアクティブラーニングの手法をは観れば、一発で何が本物か了解できる。もちろん、それは当面企業秘密である。
いずれにしても、このBSCISが、国際バカロレアやSGHのプログラム以上のソフトパワー力を持っていることに、世の中が気づくには時間がかかるだろうが、文杉は、着々と展開していくだろう。2018年“15 excellent students”の実績を見て世間はあっと驚くのは間違いない。