第1回 21会Webグローバル教育セミナー(2)

帰国生・留学生

 

江川先生:海外帰国生の受け入れについては皆さんどのような考えでいらっしゃるのでしょうか。例えばまたIBの話を出すと、そもそもインターナショナルと冠がついているように、Mobile Society(移動型社会)であることを前提に成立しています。PYP、MYP、DPという縦の流れもそうですし、学年の途中で異なる国に赴任することになっても、IB校であれば同じ教育が受けられるという安心感があるわけです。日本の学校の場合、そこの対応はどうでしょうか。

辰巳先生:帰国生って、3月に日本に戻ってくるとは限らないですよね。会社の都合によって急に帰国になることも多いわけです。そうすると、4月にしか募集をしていない学校には入れないという現実があるんです。これっておかしいですよね。グローバル教育を掲げる以上は、なんとかしてあげなくちゃいけないという思いで本校はやっています。

帰国生ばかりではなく、中国や韓国からの留学生を受け入れたこともあります。言葉の壁は確かに大変です。体育祭に着てくる服装を丁寧に教えたつもりでも、当日違う服装で登校したり、保護者会の意味が分かってもらえなかったりなど、担任は毎日大変な思いでした。でも1年、2年と経つうちに、コミュニケーションは円滑になってくるし、異なる文化の人が同じ教室にいるという環境が、生徒にとってもよい学びの機会になります。すべての科目において勉強が同じようにできていなくても、ある部分に突出していることが強みなわけですから、それをどれだけ受け入れられるかということが、帰国生や留学生を受け入れる場合に大切なことではないでしょうか。正直、グローバルって思いやりだなって感じます。

白鶯先生:帰国生と一口に言っても、彼らは多様ですよね。英語が得意な子もいれば、英語が話せるのが当然という目で見られることに戸惑う生徒もいます。それを一つの尺度で、この点数以上あれば及第点ですよっていうあり方はもう限界ではないでしょうか。それは帰国生に限っての話ではないかもしれませんね。一斉に同じ進度で生徒を指導することがもう時代に合っていない。問題解決型、PBL型の学びというのが、どの生徒に対しても必要なのだと思いますね。そういう意味では、帰国生を特別視するというのではなくて、帰国生の存在が逆にこちら側の固定的な見方に気づかせてくれる面があると言えるのではないでしょうか。

江川先生:受け入れる際に、従来型の学力を適用してしまうと帰国生も辛いですよね。

辰巳先生:帰ってくる時期も分からないし、いざ帰国の辞令が下りてみたら、1ヶ月以内の帰国などという話では、準備も できないし、それは大変ですよ。

江川先生:そういう方を対象として、21会校の受け入れガイドラインみたいなものを発信していくのもよいかもしれませんね。

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