C1 英語

八雲学園 2018年4月から共学化

2018年4月から、八雲学園は共学校として新たな歴史をスタートします。長年積み上げてきたスーパーグローバル教育プログラムと21世紀型教育を掛け合わせて、新しい共学校のカタチを生み出すことになるでしょう。近藤理事長・校長は、次のように共学化のメッセージを同校サイトで述べています。by 本間勇人 私立学校研究家

【2018年度中学校入学者 男女共学化について】

「1938年の創立以来、時代時代に合った女子教育を行ってまいりましたが、2018年入学の中学校生徒募集より男女共学とすることに致しました。
アメリカのサンタバーバラに所有する八雲レジデンスでの研修、全米トップクラスのエリート校ケイトスクールとの姉妹校提携、名門エール大学との交流、さまざまなグローバルプログラムを通じて広がる八雲学園の可能性を男女の隔てなく共有していきたいと考えております。詳細は5月に発表いたします。
さらなる進化を求め続ける八雲学園にどうぞご期待ください。」
 
21世紀型教育機構は、同機構同志校である八雲学園の共学校化事業を全面的に応援してまいります。

富士見丘 SGH サスティナビリティ演習の成果

富士見丘は、SGH(スーパーグローバルハイスクール)アソシエイト校及び認定校として3年間プログラムを開発し実践してきた。慶応義塾大学理工学部や慶応義塾大学SFC、上智大学など多くの高大連携プログラムと同校の教員による「サスティナビリティ演習」という新教科プログラムがDNAのように相まって、相乗効果を生んでいる。
 
今回高2の生徒が1年間「サスティナビリティ演習」を行ってきて、いよいよシンガポール、マレーシア、台湾などフィールドワークに出発する前の授業を取材した。by 本間勇人 私立学校研究家
 
 
 
生徒は、マレーシアグループとシンガポールグループに分かれ、それぞれ3人ずつくらいのチームに分かれてプレゼンの練習をしていた。プレゼンをしていは、他のチームや先生方からフィードバックをしてもらい、プレゼン内容やパフォーマンスのブラッシュアップをしていたのだ。台湾へは、すでに一足先に旅立っているということだった。
 
一行は、各国のサスティナビリティ関連施設などを訪れ、説明を受けたり、連携高校との交流がメインになる。各チームのプレゼンを聞きながら、共通のコンセプトが見えてきた。
 
 
プレゼンは、日本の現状とマレーシア、シンガポールの比較スタディをしながら、互いの違いを見出していくのだが、その比較のポイントが各チームによってかなり具体的に絞られており、そのポイントにおける違いと共通点を見出していく。
 
幼児教育、都市づくり、経済成長と環境教育など、1年間サスティナビリティ演習で多角的に調べ考えていくトレーニングを経ながら、各チームが問題だと思ったことをいかに共創的に問題解決していくのかというのがコンセプトだったのだろうと推測させるに充分なプレゼン内容だった。
 
チームのプレゼンのあとに向こうの国の人と、このプレゼンを通して何を共有したいのか教えて欲しいと頼むと、間髪入れずに教えてくれる。私が尋ねたのは、彼女たちのプレゼンにその内容がなかったからではなく、プレゼンが、すべて英語で行われたので、私がついていけなかったからだけにすぎない。
 
「日本の都市とマレーシアの都市の比較をするのだけれど、どうしても向こうの都市のことについては経験が少な過ぎますから、先入観がどうしてもあります。だから、私たちの仮説を聞いてもらい、先入観を打ち砕いてもらうのと同時に、互いに環境にやさしい都市づくりの問題やその解決を考えられないかというのがポイントです。互いに共通する重要な問題をシェアできると期待しているし、シェアできたとき、本当の交流が生まれると思います。」
 
 
考えてみれば、富士見丘は、カリフォルニア州の修学旅行や3ヶ月留学、長期留学など海外体験は他校に比べ圧倒的に豊かであるが、互いに共通の自分たちの身近な問題であると同時に世界共通の問題でもある重要性を共有して、共創的問題解決をしていこうといのは、海外の学びのレベルがあまりに高すぎるではないか。
 
それにしても衝撃的なプレゼンテーションがあった。それは経済成長と環境教育の関係について論考して見事な英語でプレゼンしたチームがったからだ。
 
日本とマレーシアの経済成長率の比較をしながら、日本の先進性とマレーシアの発展途上の差を見せつける推移グラフから始まった。これは相手の国の生徒はなんて思うのだろうと、ドキドキしたが、その後すぐに、どんでん返し。なんともスッキリ爽やかな進行になった。
 
 
高度経済成長時期の両国の差があったが、その時、日本ではイタイイタイ病や水俣病のようなあまりに酷い公害問題が発生した。その問題解決を、環境庁がどのように対応したか、そして教育では何が行われたかを語り、現在日本は、環境にやさしい経済社会を創ろうとしており、私たちも教育で参画していると。教育では、環境問題について学ぶ機会が織り込まれているからだと。
 
マレーシアは、もはや日本に追いつき追い越そうとしている。そのとき、環境にやさし経済社会をはじめから作る準備をしておけば、日本のようにならない。
 
それに、教育といっても、知識を得るだけでは役にたたない。アクティブに行動しなくてはと。そして、私たちも3・11で震災被害を受けた釜石に実際にいって、市民の方々と語ったり、インタビューをしたりして、同じ日本人でもテレビや新聞だけではわからないことが余りに多すぎることにショックをうけた。
 
自然災害や環境問題についてもっと積極的にかかわらなければならないという私たちの意識がアンケートの結果でもはっきりでたとグラフをバーンと映し出した。だから、アクティブな教育は役に立つのだと。なんて説得力がるのだろう。
 
 
20世紀に日本は経済成長社会を目指してきたが、その矛盾を明快に論じ、マレーシアの行く末を気遣い、そうならにように私たちが何ができるかいっしょに考えましょうというプレゼン。
 
写真あり、グラフあり、フローチャートありで、見事なパワーポイントであった。また自分たちが共有する問題は、国連が採択したグローバルゴールズとも共通する。それほど重要な問題なのだと説得力ある事例を畳みかけるプレゼンでもあった。そして、さらに驚いたのは、母国語のように英語を語り、聴衆を共通の世界に巻き込むパフォーマンスだった。
 
 
さすがは在校生に帰国生がたくさんいる富士見丘だと思ったら、なんと富士見丘で英語を学んだ2人だった。休んでしまったもう一人の生徒は帰国生だったが、2人は違うのだと。
富士見丘の英語の環境は、一般生が帰国生と同じようなレベルになる環境を開発しているということを示唆しているのではあるまいか。
 
だから、帰国生が口コミで評判を聞いて富士見丘に入学してくるのだろう。いろいろ納得させられるサスティナビリティ演習の一コマであった。
 

工学院 21世紀型教育改革の基盤できる

2013年4月、平方先生は、工学院大学附属中学校・高等学校の校長に就任するや、21世紀型教育改革にとりかかった。IBやSGH、ブルームのタキソノミー、CEFRなどのリサーチやフィールドワークに教員を巻き込みながら、PIL×PBL型の授業改革を断行。
 
 
(工学院の教育改革の歴史と未来を語る平方校長)
 
 
2014年度にはいるや、教員全体でPBL研修を行い、そのためのプロジェクトも立ち上がった。そして、まずはじめに「思考コード」という基準作りを行った。このコードに従って、PBL型授業の見学をし、思考コードの軌道修正もした。この年の中1は、2017年に高1になるときに大きく改革ができるように準備がスタートした。この準備が、次の年のハイブリッド構想の設計図となった。高1の3ヶ月留学も開始した。このプログラムが在校生全体の意識を高める力にもなった。
 
2015年には、プロジェクトチームはiTeamというイノベーションチームに進化し、思考コードで定期テスト分析をするまでに進化。S-P表も活用し、授業改善、生徒の弱み強みの共有、問いの質のアップなど、データサイエンス的な議論が学内でできるようになった。
 
同時に英語教育もC1英語を目標に、ケンブリッジ出版のCLIL手法が埋め込まれているテキストを活用。中1のハイブリッドインターナショナルクラスが立ち上がった。帰国生や英語体験者が多く、英語ばかりでなく、数学、理科、社会もオールイングリッシュで展開することになった。
 
 
(思考コードベースの授業×テスト×評価の三位一体改革について語る太田教務主任)
 
2014年にスタートした「思考力テスト」のもとになったデザイン思考の新しい授業もパワフルになった。中学生全員iPadをもち、one to oneの授業展開も繰り広げられた。
 
何より、高橋一也先生(現教頭)がグローバルティーチャー賞トップ10入りして、学内全体の21世紀型教育改革は拍車がかかった。
 
2016年には、ハイブリッドインターは中1、中2にしか設置されていなかったが、その先駆けとなった中3の生徒も全員iPadを授業で活用するようになり、思考コードに基づくC1英語×PIL×PBL×ICT教育×リベラルアーツの現代化という21世紀型教育改革の方程式が完成した。
 
特に2016年は、iTeamを高橋一也教頭を中心に、TOK(田中英語科主任、太田教務主任、加藤学年主任兼eTeamリーダー)という3人の先生がリーダーシップを発揮し、学内全体にコーチングシステムを浸透させ、21世紀型教育改革を推進する「学習する組織」を持続可能なものにしている。その一環として、太田先生をリーダーとした若手教員のiTeamキャッチアップ研修も立ち上がって、日々研鑽自己マスタリーに励んでいる。
 
 
(英語教育について語る田中英語科主任)
 
2017年は、中学全体の21世紀型教育改革の基盤はかなり盤石になったので、いよいよ高校1年を手始めに21世紀型教育改革を本格的にスタートする。もちろん、忘れてはならないことは、この過渡期にあって、大学進路指導の改革も同時進行で行われていることである。高2、高3は改革の完成を待つことはできない。いまここでが最重要である。進路指導主任の新井先生が指導に集中し尽力し、21世紀型教育改革を未来につなぐ力技を遂行している。
 
2017年1月14日、2017年度中学入試のファイナル説明会が行われた。いつもの会場では収まりきれないほど多くの受験生親子が参加したので、急遽隣接の工学院大学の大講義室を活用。
 
この21世紀型教育改革の歴史を、平方校長が語り、次に教務主任の太田先生が、授業改革について具体的に語り、さらに英語科主任の田中先生が、英語教育改革の実際的な効果を生徒の活動の動画を使いながらスピーチした。
 
 
(思考力セミナーを主宰している高橋一也教頭)
 
同時に中高校舎の図書館では、PBLスタイルの「思考力セミナー」を高橋一也教頭をスーパーバイザーに思考力入試チームが実施していた。ある都市の気候現象のデータをもとに、都市の在り様を洞察していき、最終的には自分の考案するドリーム都市をレゴで作り上げるところまでいく。リサーチには、参加者はiPadも活用。
 
データリサーチから始まり、分析をしていき、発見した構成要素を論理的につないでいく過程を、個人ワークとグループワークを組み合わせながら歩んでいく。そして最後は自分の考えるドリーム都市をレゴでプロダクトするのだが、現実の都市とドリーム都市のギャップをクリティカルに考える過程も埋め込まれている。
 
このプロセスの中で際立っておもしろかったのは、分析段階で、クリエイティブシンキングを活用しているところ。分析だから論理的ではあるのだが、おもいきり仮説を挿入するから、そこはクリエイティビティが必要となる。
 
 
つまり、これはどういうことかというと、情報→理解→応用→論理→批判→創造という思考の次元をリニアー(直線的)に進むのではなく、クリエイティブシンキングを挿入して、ループあるいは螺旋を描きながら考えていくプログラムになっている。そう「プログラム」。コンピュータのプログラミングにも相当するフローチャートループが埋め込まれている。
 
2017年、思考コードにプログラミング思考が新たに加わる。STEAM教育やCLILもスタートする。隣接する大学のいわばSTEAM研究棟も新設され、そこを中高も共有できる。高1でもハイブリッドインターナショナルクラスが開設され、帰国生も入学してくる。新宿キャンパスの活用も検討されている。
 
 
(最終保護者会では、「英語入試」の傾向と対策について田中先生が説明。英語入試の受験予定者のために別室で行われた。)
 
そして、まだ企業秘密ではあるが、平方校長によると、日本初のプランが予定されているという。工学院の21世紀型教育改革はさらに進化する。なにゆえにこうなのか?教員のありたき「学習する組織」を協働して創るモチベーションや情熱が大きくなっているからだ。Growth Mindsetされた教師が外からもどんどん参画したいと応募してくる。もちろん、その魅力はTOKを中心とするITeamによる涙ぐましい創意工夫とプロデュースによるのである。(by 本間勇人 私立学校研究家)
 

八雲学園 グローバルリーダー養成WS 英語教育の一環

八雲学園の教育は総合力ということを大切にしている。総合力とは、生徒一人ひとりが、多様な学びの環境や体験を通して、自分の世界を広め深めていくことである。もちろん、自分の世界とは独我論ではない。ウェルカムの精神を大切にしているのが何よりの証拠である。価値観や考え方、文化の違いを尊重しながら、自分の世界を世界中の人々が共感してくれる表現活動ができるリーダーシップ教育が、八雲学園の教育の総合力である。by 本間勇人 私立学校研究家
 
 
 
八雲学園の英語教育はあまりにも有名であるが、その教育がグローバルリーダーを養成するプログラムに連なっているという理解は意外と広まっていない。
 
中1にはいって、 すぐにレシテーションコンテストがある。英語力を育てる環境の1つであるが、学年全体、保護者の前で、自己表現に勇気をもって挑戦する機会でもある。
 
中2になるとスピーチコンテストに発展し、英語力にこんどは自分の世界を広げる作業がいよいよ本格的に始まる。
 
 
中学では、イングリッシュファンフェアといって、日本在住のネイティブスピーカーの講師80名とチームになって、いわば異文化交流カンファレンスを企画運営する。交流に参加する側であり、同時に運営する委員会集団でもあって、リーダーシップと個人の世界の両方に目配りする機会が開かれている。
 
文化祭や英語祭では、英語劇を行う。中3になるにつれて、ミュージカル風に発展するが、音楽ありパフォーマンスありで、自己表現のいわば総合芸術化が行われる。この段階では、英語力といより、人間と言語と芸術を総合的に体験することになる。
 
そして中3から高1になる春休みにサンタバーバラに全員で海外研修旅行に挑戦。姉妹校のケイトスクールの先生や生徒とも交流し、中3までに積みあげてきた英語力と人間力と自分の世界観を土台にコミュニケーションしてみる。
 
そして、ワクワク楽しい研修旅行を体験しながらも、ただそれだけでは本当の世界コミュニケーションができるわけではない。もっと英語力をもっと海外で勉強をということになる。毎年夏前に行うイエール大学との国際音楽交流で、その思いはますます募る。
 
 
そのモチベーションが、3ヶ月留学を生み、ラウンドスクウェアという世界のエスタブリッシュ私立学校400校のコミュニティのメンバー校になる機会もゲットした。
 
それは、いわば、世界の私立学校による世界会議で、そこで話し合うことは、文化交流のみならず、世界の問題を議論し、世界をよりよくするためには自分たちはどうしていくかというグローバルリーダーの資質を試されるビッグチャンスでもある。
 
そして、実際にそこに参加した勇気ある八雲生は、いくら歴史の知識や環境学の知識や政治経済の知識を持っていても、英語が堪能でも、世界に対する高い問題意識と自分なりのアイデアを持っていないと、議論に参加できない。参加できないということは貢献できないということと同じ意味なのだということを思い知らされて帰ってきた。
 
1人世界について思い巡らしているだけでは太刀打ちできない。やはりもっと勉強して、もっと議論する機会が欲しい。菅原先生と近藤先生は、すぐに彼女たちの想いをカタチにしようと奔走し、まずは有志が集まってグローバルリーダー養成WS(ワークショップ)をスタートした。
 
 
はじめ、身近な小さな出来事が世界の大きな問題につながっているという議論をしていこうと思ったようだが、先生方の期待を大いに裏ぎり、いきなり権力の弾圧の問題や家庭と社会の問題、なぜ不平等社会が生まれるのか、正義とは何か、高い意識のディスカッションがとびかった。
 
幾つかのグローバルゴールズ達成のためのフローチャートをチームで議論し、プレゼンもした。そして、まだまだ議論すべき新たな問題が生まれてきた。
 
菅原先生と近藤先生に、議論が自分の世界を掘り下げて行く経験がいかに大事か改めて実感できたので、このような機会をこれからもつくっていきましょうと大いに盛り上がった。
 
八雲学園の教育は、こういう体験の中から生徒自身の欲求にこたえる形で深まっていく。グローバルリーダー養成WS。また一つクオリティの高い教育が生まれた瞬間だった。
 

八雲学園 スペシャルグローバル教育(2)

八雲学園の教育の最もすてきなところは、最高の体験とそのシェアである。あらゆる行事における体験の成果は中1から高3まで全員で共有する。したがって、先行的に3ケ月留学体験をした先輩は、その体験のすばらしさを共有し、同時に学園全体の英語力のスキルアップ及び世界観を深堀するアカデミックスキルも共有していくことになる。
 
その共有はいかにして可能か?それは先輩が後輩に伝える機会を増やすということもそうだろうが、今回は先輩二人が榑松先生とドイツにまで飛んで、破格のプログラムを体験、そしてそれを共有できる段取りを行ってきた。by  本間勇人 私立学校研究家
 
 
 
 
その段取りのミッションとは、ドイツのハンブルグで行われたラウンドスクエア(ROUND SQUARE)の国際会議に参加し、英語で世界の高校生とパフォーマンスを楽しんだり、世界問題についてディスカッションするワークショップに参加したりして、八雲学園の世界的視野をもったグローバルリーダーシップの重要性をアピールすることだった。
 
そして、このアピールは、ラウンドスクウェアという教育コミュニティの一員に認定される大事な一局だったのである。認定のための手続きは3ケ月留学プログラムがスタートした3年前から行われてきたが、そのミッションがようやく果たされるときがきたのである。留学生の努力が実って、八雲学園はラウンドスクウェアのメンバー校となった。
 
このラウンドスクウェアの創設者はあのクルト・ハーン。氏は、IB(国際バカロレア)創設の中心人物だが、彼は新しいパブリックスクール(イギリスでいう名門私立学校)をも世界に広める教育哲学を実現した偉大な教育者である。
 
 
その新しいパブリックスクールを創ることに賛同した世界の名門校が集まって創設されたのが、ROUND SQUARE。八雲学園の姉妹校ケイトスクールもメンバー校だ。
 
3ケ月留学プロジェクトの行き着く先は、このコミュニティメンバー校になって、新しいパブリックスクール=新しいインターナショナル名門校になることだったのである。
 
このメンバー校になると、毎年メンバー校のうち一つの学校で行われるカンファレンスで、コミュニティの教育哲学を共有しなければならない。IDEALSという6つの教育目標があるが、それを1つひとつディスカッションしながら、異文化交流エンターテイメントも演出していく中高生世界会議だ。
 
いずれ、世界の名門校が、40カ国から八雲学園に集結して、国際会議が行われることになろう。これは相当大がかりなイベントになるから、準備も想定以上に大変で、生徒も教師も総がかりで企画し運営しなければならない。おそらく文化祭というスケールでは測れないだろう。
 
 
それに全員が英語でおもてなしをすることになるから、今まで以上に英語教育の充実が図られる。ホスト校となれば、模擬国連どころではないスケールで奔走することになる。
 
ドイツのラウンドスクウェア―国際会議に参加した3ケ月留学生2人は、多様な国の生徒といっしょのチームに分かれたから、現地では1人ひとりで挑戦せざるを得なかったという。
 
彼女たちから話を聞いて、特に印象深かったのが、たいていはおもしろい体験となったが、やはりディスカッションが難関だったということである。
 
1つのテーマについて、ただ自分の考えを述べるだけではなく、自分ならどのように世界に役に立てるのか、またプレゼンにむけて、自分は何に役に立てるのか、どんどん主張していかないと、非協力的だと判断されてしまうところが厳しかったと。
 
もちろん、日本人の特色をすでにある程度知っているから、サポートしてくれるメンバーもいるが、日本にいる場合のように甘えることはできない。そういう緊張感は、日本の英語学習では体験できない。
 
 
いかに自分たちが八雲学園の先生方に日頃からサポートしてもらっているのか実感できるとともに、独り立ちしなければ、世界では通用しないということも思い知ったと。
 
この貴重な体験は、いつの日か後輩が日本でのラウンドスクウェア国際会議のホスト校として活躍できるようになれば、できるはずである。
 
ロジカルシンキングやクリティカルシンキングはエッセイを書くためだけのスキルではなく、まさしくディスカッションの時に必要なのだと痛感したと語ってくれた。
 
 
とにかく、世界の名門校とは、たとえば、ボランティアも自分の身体を張って行うレベルで、何もかも破格であり、精神も頭脳も身体もすべて鍛え抜かねばならいということを実感したようだった。
 
最近では、ノーブレス・オブリージュという言葉を安易に使う学校も多いが、本当のノーブレス・オブリージュは、損得勘定や大学合格実績競争では測定不能である。我が国に必要なグローバルリーダーとは、年収いくら欲しいとか、学歴競争でどこに位置したいとか考えている低次元な発想では、もちろん成立しないだろう。ただ、そんな高邁な精神を養える教育はどこにでもあるものだろか?八雲学園以外に思い浮かばない。
 
 
八雲学園が、ラウンドスクウェアとの交流でまたスケールの大きい破格の教育実践の中でお手本を見せてくれることだろう。2017年の八雲学園は、今までと同じように考えていてはいけない。受験業界の常識では測れないダイナミックな教育実践が再び始まるのである。
 

八雲学園 スペシャルグローバル教育(1)

グローバル教育が加速度的に広がり、すっぽり日本列島を覆う中、他とは全く違う「唯一のスペシャルグローバル教育校」と呼べる立ち位置にある八雲学園。グローバル教育という名目で、帰国生の入学を推進し、その実東大をはじめとする難関大学に合格させることが本音の学校が多い中で、帰国生入試をあえて行わず、小学校での英語体験以外は特に英語教育を受けてこなかった一般生を対象に、グローバル教育を行っている。by 本間勇人 私立学校研究家
 
 
(2016年度の3ヶ月留学生)
 
 
極端に言えば、帰国生を積極的に取り入れている学校は、英語教育をほとんどしなくても帰国生が英語の実績をあげてくれるので、一般生は大学受験勉強をしていればよいということになりがちだ。
 
しかし、八雲学園は帰国生が一般入試で入ってきても、特別な授業を行うわけではなく、一般生が英語を学ぶ場でいっしょに学ぶ。ただし、押さえておかねばならないことは、特に帰国生がいなくても(とはいえ、一般入試で入学してきてはいる)、帰国生同様の英語力を身につける教育環境をつくっているという点で、最も英語教育において教師が創意工夫をしている学校といえるのだ。
 
帰国生がたくさんいれば、確かに、帰国生と一般生がシナジー効果を生み出すが、それがメインになっている学校は、教育を放棄していると言えば、言い過ぎだろうか。
 
その点、八雲学園は、一般生を受け入れ、生徒一人ひとりの言語感覚を覚醒させ、その上で、どんどん英語力が伸びる生徒と基本的なサポートが必要な生徒のそれぞれのニーズに応じた英語学習のプログラムをデザインしている。
 
スピーチコンテストやレティテーションコンテスト、文化祭での英語劇、英語祭、イングリッシュファンフェアーなど比類なき多様な英語環境は、生徒一人ひとりの英語という言語感性の違いを教師と生徒が共有できる場なのである。
 
そして、その場があるからこそ、自分の英語力に応じたグローバル環境を選ぶことができる。理系に進む場合、CEFR基準に換算すればB1に到達しなければならないが、それはアドバンスドクラスで十分に養われる。
 
毎年一学期にイエール大学と国際音楽交流が行われているが、八雲学園の生徒がイエール大学の学生に刺激を受けて、ミュージカル部を創りたいと思い立ち、自分たちで部活を創ってしまったというのも、その才能開花の1つである。
 
また、イエール大学のような海外大学で、世界に貢献する能力を磨き上げたいと思った生徒は、CEFR基準で換算すればC1レベルが必要。現状のオーナーズクラスでは、B2レベルぐらいまでで、このB2では、国公立大学、早慶上智レベルはカバーできるが、イエール大学のような海外大学はカバーできない。
 
八雲の先生方は、どこか外部からパッケージプログラムを持ってくることはしない。あくまで、生徒が欲求した場合、俊敏に動くことをモットーとしている。他の学校とはかなり違うある意味徹底した生徒ファーストな学校なのだ。
 
 
今年で3年目を迎える米国3ヶ月留学も、4年前にスタートしたイエール大学との国際音楽交流という環境を設定したことによって生徒の方から強い要望があったから作ったのである。
 
菅原先生によると、「不思議なもので、1年目より、2年目。2年目より、3年目とチャレンジする生徒の英語力が向上し、単純にTOEFLや英検などのスコアを上げるためというより、本格的に米国の大学生とディスカッションしたり、エッセイを書いてみたいという欲求が高まってくるため、毎年プログラムをブラッシュアップしなくてはならない」ということである。
 
実際今年3ヶ月留学を終えて帰国した生徒の事後学習プログラムでは、文化人類学的サーベイ手法を取り入れていた。いわゆるPBL(プロジェクト学習)で、最近ではアクティブラーニングと呼ばれている学びのスタイルで実施された。
 
 
たとえば、米国に留学に行く前の自分たちの先入観と留学中に多くの米国人にインタビューした後の米国のイメージを比較スタディーして、エッセイを書いていたかと思うと、留学中に、米国の方々に日本人についてのイメージをインタビューし、帰国後そのイメージとのギャップがどうして起こるのかエッセイを編集したりしていた。
 
いわゆる、ロジカルシンキング、クリティカルシンキング、クリエイティブシンキングという高次思考の領域で学ぶプログラムだ。
 
英語科主任の近藤隆平先生によると、「中学までに培ったウェルカムの精神が効を奏しています。先入観を素直に受け入れつつ、一方で何が現実と違うのかについてリサーチをするにも素直に相手の話に耳を傾ける姿勢は重要です。
 
アカデミックスキルが伴うまでの英語力(C1英語)は、英語のスキル習得だけではなく、また、現象としての世界を説明するだけではなく、そこで起こっている問題に気づき、どうしたらそれを解決するために自分は役に立てるのか、世界観も掘り下げて行く必要があります。それがなければ、ディスカッションはできませんし、エッセイも書けないでしょう。国内の大学受験だけを考慮すれば、こんなに広く深い言語感覚を養わなくてよいのですが、生徒が望むなら、何度でもトライアンドエラーします。プログラムもどんどん磨き上げていきます」と頼もしい。
 
英語に限らず、運動会、文化祭、芸術鑑賞などのプログラムすべてが、生徒と共に創り上げる八雲学園。生徒ファーストと教師の創造的リーダーシップが教育コミュニティを形成している。
 
 
なぜ八雲学園は楽しいのか?この生徒と教師の創造的なケミストリーが生まれ続けているからであろう。
 

富士見丘の教育改革の挑戦

富士見丘の教育改革には格別の意志が働いている。一般に中等教育段階の改革とは、自校の入試改革や授業システム、進路指導システムの改革を指し示す。
 
しかし、富士見丘の教育改革は、もちろんSGH(スーパーグローバルハイスクール)として、自校の教育のバージョンアップも大いに進めているが、大学付属校ではない有利な拠点であることを活かし、多様な高大連携プログラムを企画実行することによって、高大接続システムの改革モデルも射程に入れている。
 
つまり、中等教育の新しいモデル、高大接続システムのスーパーモデルを実現しようという格別な意志が同校に存在しているのである。by 本間勇人 私立学校研究家
 
 
 
12月18日(日)、爽やかな冬晴れの新浦安の地に、富士見丘生は集合し、明海大学に向かった。同校の校長補佐であり明海大学の専任講師である吉田成利先生や慶応大学や上智大学、シンガポールの高校などとの多様な連携プログラムを実施している先生方もいっしょだった。
 
今回の目的は、来春から始まる明海大学のホスピタリティ・ツーリズム学部ホスピタリティ・ツーリズム学科のオールイングリッシュの特別レクチャーに参加すること。吉田成利先生は法学や憲法を講義するのだが、もちろん英語をつかった講義を実施する。つまり、この新しい挑戦のために同大学に招聘された。
 
同時に、吉田成利先生は、ロンドン大学キングス・ カレッジで法学博士を取得しているが、シカゴ大学大学院をはじめとする豊富な海外研究生活を活かし、富士見丘学園の多様な(イギリス、UAE、オーストラリア、米国西海岸など)留学や研修システムづくりのサポートもしてきた。
 
 
(今回のイベント体験を通して気づいたことを、生徒と対話する吉田成利先生)
 
おそらくその流れを明海大学でも広げるのだろう。ご自身の経験からも、これからの日本の中高生や学生にとって、英語で海外の大学の授業を受けられる力が必要だと確信しているのだと思う。
 
実際、明海大学のホスピタリティ・ツーリズム学部でも、語学留学ではなく、海外大学の1年間必須の交換留学制度が実施される。当然海外では議論やエッセイライティングができなければならないから、たんなる英語技術の取得レベルや日本の大学受験レベルの英語力を身につけただけでは有用ではない。
 
 
(明海大学には、随所にホスピタリティの雰囲気が立ち上がるアフォーダンスの仕掛けの空間がある)
 
それ以上の英語を武器に探究活動や議論ができるレベルに中等教育と高等教育の接続システムを大幅に改革しなければならない。吉田成利先生は、そのような強い意志を持っているのである。
 
今回の明海大学における特別レクチャーは、その一環である。講義は、ハワイ大学のラッセル・ウエノ教授とセントラルフロリダ大学の原忠之准教授によって行われた。中2のグループと高1・高2のグループに分かれ、ローテーションして、2つの講義に参加した。
 
 
(富士見丘の生徒と英語で対話するハワイ大学のラッセル・ウエノ教授)
 
テーマは、それぞれ、ブランド・マネジメントとホスピタリティ・リーダーシップ。オールイングリッシュで講義がなされたし、問答も英語。質疑応答も英語。
 
驚いたことに、英語の力以上に、なぜ今観光業なのか、マネジメントとしてクリエイティビティが必要なのか、ホスピタリティが必要なのか、政治経済や産業構造、人口問題の変わり目という世界や時代認識が求められる大学の講義に、富士見丘の生徒が真剣に参加し、考え、質問をしていた。
 
そして、中高時代の授業とは明快に異なるのは、ホスピタリティー・リーダーの経験とサラリーの関係にまで踏み込む話題があること。大学に入ると、高大接続から産学接続の話になるのかと実感したことだろう。ところで、大学の先生のサラリーはどうなのだろう。富士見丘生の質問に、ユーモアを交えて応える先生のトークに、対話の柔らかさも感じるシーンもあった。
 
 
(軽快なリズムで講義をするセントラルフロリダ大学の原忠之准教授)
 
このようなイベントは、明海大学の英語で講義をする挑戦とCEFR基準でC1英語力を身につける英語の環境のみならずSTEAM×デザイン思考教育やアクティブラーニングの環境など良質教育を形成している富士見丘の挑戦とが出会ったからこそ実現されたのであろう。
 
実際、富士見丘の吉田理事長・校長、明海大学の宮田理事長、安井学長、草野学部長など多くの方がかかわり、今回の学びの機会を創出した。
 
吉田理事長・校長は、前回の中教審のメンバーでもあり、今回の文科省の高大接続改革システム会議のメンバーでもある。
 
 
(今、未来をいっしょに創っていく具体的イメージを生徒と共有する吉田晋理事長校長)
 
審議会などで助言したり各メディアで発言したりするだけではなく、実際に中等教育と高等教育の新しいあり方を実現しようとしている。なぜなら、改革が実現するまで、目の前の生徒の未来は待ってはくれないからだ。いまここに未来があるのだ。富士見丘の教師陣と明海大学の教授陣のコラボレーションが新たな日本の教育モデルを実現することに期待したい。
 

文化学園大学杉並 IBディプロマ修了者も驚嘆するダブルディプロマ(2)

同日私は文化学園大学杉並(以下、文杉)の中学生の授業も見学させていただきました。中学には、グローバルコースがあり、生徒が英語を上達させやすいように、入学時の英語レベルに応じてクラス分けをしています。

「伝え方」の基盤

最初に入った教室では机をすべて後ろに下げ、先生も交えて輪になって立って授業を受けていました。先生は生徒たちに英語で話しかけ、多くの生徒は互いに日本語で先生の言ったことを確認しあっていました。理解できている生徒が他の生徒たちをサポートしている場面もうかがえました。

さて、輪になって何をしていたかというと、こんなゲームです。まず一人の生徒が自分を指しmeといい、その後誰かを指してto youといいます。指された生徒は同じことを繰り返し、ランダムに回していくというゲームです。生徒たちは面白がってやっていました。次に先生は言葉なしでアイコンタクトとジェスチャーだけでやってみましょうと生徒たちに呼びかけました。目が笑っている生徒もいてとても楽しそうです。最後にアイコンタクトだけになりました。自分が指されたと勘違いする生徒もいたり笑い転げたりする生徒もいてなかなか続きませんでした。しかし終始先生も生徒も楽しそうで、教員と生徒の間に壁を感じない素敵な授業だと感じました。このゲームの意義はというと、アイコンタクトの重要性や相手に伝える力をつけることだと思います。私自身の海外経験でも多少英語がうまく話せなくても伝えようとする気持ちによってある程度コミュニケーションを取ることは可能だと感じています。逆にいくら話せても気持ちの籠っていない言葉は相手に伝わりにくいこともあります。つまり、英語に限らず言語を話すうえで基盤となる伝え方をこの単純なゲームを通して学んでいたのではないでしょうか。
 
 
自己紹介
 
次のクラスでは、一見「普通」の授業を行っていました。先生が前に立ち、生徒が一人ずつ自分の机に座っています。
 
 
しかし、よくよく見ると全員一台ずつiPadを持っています。表示されている画面はそれぞれ別の内容で、どうやら自分で作成したドキュメントのようです。すると先生は生徒たちを二人組にし、お互いにプレゼンテーションをしあうように言いました。内容は自己紹介。このような授業は私も何度か経験していますが、文杉の生徒ほど静かに相手の話を真剣に聞く生徒は見たことがありません。その理由はおそらく先生の指示が的確であることにあります。生徒にペアになることを指示する際、他にもいくつかプレゼンをする際の注意点について説明していました。椅子を向かい合わせにすること、アイコンタクトをすること、そして熱意(enthusiasm)を持って話すことでした。一つ目のクラスと同様、アイコンタクトを強調していたことが印象に残りました。
 
Creative writing
 
最後のクラスも同じように先生が前に立ち、生徒たちは机に座ってiPadを操作していました。しかし入った瞬間感じたちょっとした違いがあります。このクラスの生徒は他と比べ、飛び交う自然な会話が英語でした。先生に対しても積極的に英語で質問する生徒がいたので、より海外のクラスルームに近いものを感じました。
 
 
ここでも自己紹介をしているのかと思いきや、聞くと先生がネット上で見つけた誰かの写真を生徒に配り、その写真のみをもとに想像でその人のプロフィールを書くというものでした。このクラスの先生が重視していたのは創造力(creativity)です。そしてプレゼンではアイコンタクトと表情(facial expression)を意識するよう指示していました。感心したのは授業時間が終わったとき、生徒たちから「あー…」という残念そうな声が聞こえたことです。熱心に取り組む姿勢が垣間見られた瞬間でした。
 
3つのクラスに共通して、他の中学生の英語クラスと違う点を一つあります。それは生徒の多くが電子辞書や紙の辞書を持たないことです。その理由は、生徒同士がコミュニケーションをとる際、両者が理解できる単語を使ってほしいからだそうです。確かに辞書に頼りすぎると、「正しい」表現に囚われて、コミュニケーションの基本が忘れられてしまうのかもしれません。
 
中学生の授業では、英語で授業を行うための前段階として、生徒が英語を使うことに慣れるようにBody language(例:アイコンタクト、熱意、表情)を交えた授業が目立ちました。また、英語を苦手だと感じないように様々な工夫を加え、生徒が楽しめるような仕組みづくりがされていることも感じました。海外経験のある生徒も、今までずっと日本で暮らしてきた生徒も同じ教室で同じ授業を行い、そこで協力しあうことは理想的な環境だと思います。それが実現できているのが文杉です。正直今回の訪問で、驚き、同時に嬉しくなりました。文杉生の将来を見るのがとても楽しみです。
 

 

文化学園大学杉並 IBディプロマ修了者も驚嘆するダブルディプロマ(1)

文化学園大学杉並(以下、文杉)を訪問しました。ダブルディプロマコースの成果を知る上で、IBとの比較も有効な視点になるだろうと考え、欧州のインター校で昨年IBディプロマを取得した高木美和さんに取材してもらいました。 by 鈴木裕之:海外帰国生教育研究家

久しぶりにインターナショナルな雰囲気に触れて、とても新鮮で刺激になりました。自分はIBを修了したこともありDD(ダブルディプロマ)には興味がありましたが、実際に見学してみて、日本で行われているとは思えないほど自然に英語が飛び交っている授業に正直驚きました。 by 高木美和:早稲田大学教育学部1年

 
 
最初に入った高校2年生の教室では、3つのグループに分かれて、それぞれパソコンを囲んでプレゼンテーションの準備をしていました。先生に対する質問はもちろん、グループ内の会話も英語で行われています。トピックは第一次世界大戦で、カナダとの関わりから大戦の影響を考えているのが印象的でした。
 
 
大戦の前期、中期、後期をそれぞれのグループでまとめ、グループのメンバー同士が違うグループから情報を入手し、それぞれの持っている情報をシェアする「ジグソー法」と呼ばれるスタイルで学んでいました。どの生徒もリラックスした心地よい雰囲気の中で、まじめに取り組んでいます。
 
次に入ったのは高校1年生の教室。BCプログラムの校長であるダン先生が「Planning」という授業を行っていました。
この授業は、生徒の視野や可能性を広げることを目的に、多種多様な仕事について知るというもので、IBディプロマでもこのような授業を経験したことはないため、非常に興味深く拝見しました。職業のイメージを高校生の段階で持てるのは有意義ですし、同時にうらやましいとも感じました。
 
この日はLawyer(弁護士)についての授業でした。生徒たちは輪になって並べられた椅子に座り、ダン先生と対話します。まずダン先生が口を開いて尋ねたことは、「弁護士って何をする人?」でした。
となり同士で話し合った後、それぞれの生徒が考えたことを発表します。
 
 
この授業の運び方はダン先生が意識するアクティブラーニングの一つです。先生が前に立って、「弁護士とはこういうことをする人だ」と説明するのではなく、逆に生徒たちに質問を投げかけていくのです。「Answerではなく、Questionを与えることが生徒の学びをサポートすることにつながる」と、授業後のインタビューでおっしゃっていました。
日本の生徒は人前で自分の意見を発表することをあまりしない、そしてそこで間違えることを嫌うとよく言われます。しかし、この授業を受けている生徒にはそれはまったく感じませんでした。それはなぜか。ダン先生によると、DDには4つのルールがあるからだそうです。このルールこそが生徒が進んで発表をする秘訣なのです。
 
DDの4つのルール
1.I can do it (私はできる)
2.It’s okay to make mistakes (間違えてもいい)
3.It’s okay to say “I don’t understand” (わからなくてもいい)
4.Someone’s always there to help (助けてくれる誰かはいつもそばにいる)
 
先生方の働きかけによりこのルールは生徒たちに浸透し、自由に発言する力が身についていると感じました。実際、分からないときにはその場で説明を求める生徒が何人かいました。英語でコミュニケーションするとき、分からなくてもそのまま流してしまうことは、経験上よくあることですが、文杉の生徒たちは、質問することが学びに繋がるということをしっかり理解しているのだと思います。そしてこれが短期間で英語を飛躍的に上達させた一つの理由でもあるのでしょう。すでに英検1級が2名(1次試験合格者)と準1級が3名という実績があるそうで、近い将来全員が準1級を取得できるとお話されていたのは、決して誇張ではないと感じます。このような4技能を測定する英語資格は大学進学などの明確な指針となる以上に、コミュニケーションが不自由なくできるようになるための目標になり得るところに私は価値を感じます。海外での生活を通して感じたのは、正しい文章を読んだり書いたりすること以上に、人を相手にしたときに瞬時に言葉が出てくることの重要性です。議論はあっという間に次の展開へと移っていきますから、いちいち立ち止まって正しい表現を考えていてはついていくことができません。文杉の生徒にはこういった「英語で議論する力」がついていると実感しました。
 
 
ダン先生はこれまでにも様々な国で授業を行い、校長として17年間生徒を教え続けてきたそうです。そんなダン先生は文杉の生徒が一番優秀だと太鼓判を押していました。その理由は数学と化学の成績にあります。バンクーバーの生徒と同じ試験を受けさせた結果、文杉の生徒が平均点で彼らを上回ったのです。(全BC州カリキュラム45校で1位)勤勉な日本人の性格も一つの理由ですが、BC州が世界で初めて文杉で試みたCo-teachingも理由の一つです。Co-teachingとは、同じ授業を英語と日本語の両方で行い徐々に生徒たちが英語だけでも理解できるようにしていく授業です。クラスを見学させていただいた際も外国人の先生と日本人の先生の両方が生徒たちのグループワークを見て回り、生徒が苦労している部分を説明していました。驚いたのは生徒たちが使っている教材がすべて英語で書かれた、分厚り海外のものだったことです。通常日本語でやるような生物の勉強を彼女たちは辞書の力を借りながらもしっかり行っていました。
 
 
もう一つ海外の仕組みによく似ていると感じたのがassessment rubricを使った評価法です。文杉の廊下を歩いていると生徒たちの作ったポスターなど様々な課題が目に入ります。それぞれまるで違う題材について作られているように見えるそのポスターには明確な評価基準がありました。これはIBと同じ仕組みで私にも馴染みがあり少し懐かしさを感じました。
まだ海外での学校生活にそれほど慣れていないころ、なんでもいいから論文を書きなさいと言われ困ったことがありました。内容は思いついてもどこからどう書けばいいのか本当に手も足も出ない状態でした。それをサポートするのがこの評価基準です。構成力、分析力、単語力など細かくレベル分けされ、それに沿って生徒は自分が興味の持てる議題についてまとめる。これは自ら学ぶという姿勢を引き出させるのに最適な方法だと私自身の経験でも感じました。
 
DDは日本と海外の履修科目を両方こなす必要があるということで、最初は、生徒たちにとっては負担も大きいのではないかと思いながら授業を見学させていただきました。しかし、むしろ自ら学ぼうという姿勢が一人ひとりの生徒から感じられ、私自身よい刺激を受けました。また、日本とカナダのバイカルチュラルな教育環境は、日本人としての美徳も忘れず、グローバル社会にも適応できる人材を育てるのに最適だと感じました。 (続く)
 

 

富士見丘 模擬国連部 C1英語レベルの頼もしさ

今年の4月、富士見丘中学高等学校(以降「富士見丘」)は「模擬国連部」を立ち上げた。高校生が「国連大使」になりきって決議案を出し、他の国と交渉する「模擬国連」の活動に参加する機運が学内で盛り上がった。

同校はSGH校であることもあって、在校生は持続可能な開発を中心にグローバルイシューへの関心が高い。また、SGHプログラムや多彩な高大連携プログラムによって問題解決能力、英語によるプレゼンテーション力など日頃から学んでいる。「模擬国連」の教育プログラムと同期するのは必然的な流れだったことだろう。

夏の合宿を経て、活動はさらに進化していく。その部活動の1コマをご紹介する。(by 本間勇人 私立学校研究家)

 

今年4月に立ち上げたばかりであるが、すでに夏の合宿のあとのコンクールで(上記写真)、入賞するなど、成果があらわれている。その進化の速度に驚き、部活動を見学させてもらった。

(夏の合宿の様子)

すると、そこには、異次元の光景が広がっていた。英語でリーダーシップをトレーニングをしているのかと思えるほど、ネイティブスピーカーの先生や吉田成利先生と英語でディスカッションをしていたのである。

(吉田成利先生は、同校の校長補佐であると同時に、明海大学の研究者で、ロンドン・キングス・カレッジやシカゴ大学で研究し、法学博士Ph.Dを取得している憲法学者。つまり、富士見丘の模擬国連部は、いわば法科大学のゼミと同じレベル。いや、日本の大学の学部のゼミと大きく違うのは、オールイングリッシュだということ。この違いは極めて重大事である)

一般に、模擬国連の活動は、選ばれた数名の生徒が挑戦するが、富士見丘は部活動で行っていくから、相当の人数がメンバー。にもかかわらず、全員が英語で、「決議案」を組み立てるために、ディスカッションし、ライティング活動を行い、プレゼンテーションするのである。

しかも、国連が掲げるグローバルゴールズを解決するために議論をするのである。この重要性はわかるだろうか?NHKテキストのサイトで、CEFR基準が簡単に次のように紹介されている。

C1
 
広範で複雑な話題を理解して、目的に合った適切な言葉を使い、論理的な主張や議論を組み立てることができる
 
B2
 
社会生活での幅広い話題について自然に会話ができ、明確かつ詳細に自分の意見を表現できる
 
B1
 
社会生活での身近な話題について理解し、自分の意思とその理由を簡単に説明できる
つまり、富士見丘の模擬国連部の英語のレベルはC1レベルの環境ということ、わかりやすく置き換えれば、「英検1級」ということなのである。世の中には、CEFRテストは存在しないから、スコア化できないが、模擬国連部のメンバーが、TOEFLやIELTSに挑戦したら、相当な成果をだすことだろう。
 
 
(生き生きと英語で対話するメンバー)
 
吉田理事長・校長も、部活を見学しに来て、「ところで、この今の高度な英語でのやりとりは、100%理解しているのか」と尋ねると、当然ですと反応があったのにも驚いた。というよりも、珍しく校長が日本語でたずねたので、生徒たちが、一瞬戸惑ったぐらい、英語圏になっていたのだ。
 
 
吉田校長は、自ら堪能な英語力の持ち主である。これまで、日本の英語教育を、自らが英語を駆使して牽引してきた。在校生の海外留学先の契約も、提携校に単身乗り込んで交渉してきた。イギリスやオーストラリア、米国西海岸の研修旅行も自ら率いてきた。
 
しかし、SGH校として、教師が一丸となって動き始めると、吉田校長が行ってきたことが、校長補佐吉田成利先生を中心に、多くの先生方にエンパワーメント(権限移譲)される展開になってきたのである。英語で交わされているディスカッションのさ中に、ふと校長は自然に日本語で話してみたいと思ったのではないか。もはや、自分が先頭にたたずにも、教師と生徒がこんなにC1英語を使っているのだからと。
 
 
生徒が「議決案」をプレゼンすると、すぐに吉田成利先生が、丁寧にコメントを返す。もちろん英語でだが、この方式こそ、イギリス流儀のチュータリング方式である。
 
 
2020年大学入試改革に伴って学習指導要領の改訂作業が進んでいる。その中で最も話題を呼んでいるのが、アクティブラーニングであるが、この富士見丘の模擬国連の活動こそ、深いアクティブラーニングのロールモデルだろう。何といっても、英米の名門大学院のゼミ形式がそのまま展開しているわけだから。

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