三田国際学園 「発想の自由人」を目指す

GWが終わるや、戸板では、来年の生徒募集用の「三田国際学園」の学校案内が刷り上がった。ページを繰ると、「目指すのは『発想の自由人』」という言葉が目に飛び込んできた。

今最も世界の人々が熱望しているグローバル人材である。学校案内の中身については、5月18日(日)に東京国際フォーラムで行われる東京私立中学合同相談会で手に取っていただきたい。手ごたえを聞いた。by 本間勇人:私立学校研究家

新しい学校を創るために、昨年1年間、大橋清貫学園長は、先生方全員と対話をした。問いを投げかけ、正解が一つでないことの重要性を毎日のように語り合った。

米国大学のように、ペーパー試験の結果だけではなく、中高時代の学びの経験=学習歴を選抜のための情報リソースとして活用する時代がすぐそこにやってくる。時代を見据える検証も対話も研修も続けた。

大橋学園長は、教育のビジョンを共有することをまず徹底したのである。

入試広報部部長の今井誠先生は、「ビジョンは頭の中では理解できたが、それがプロトタイプとして、自分たちの授業に反映してくるまでに、多少時間がかかった。何度も授業でチャレンジして、仲間が見学してくれて、アドバイスをもらい、再構築していった。そんなとき、今井先生の弁当授業で相互通行型をやると上手くいったよという同僚の言葉に、何かが一つに結晶した」と語る。

「今井先生の弁当授業」というのは、今井先生が、東京の丸の内で購入してきた幾つかの弁当を提示し、生徒に見比べてもらいながら、どの弁当が人気か授業を展開していったときの相互通行型授業のプロトタイプを示している。身近な弁当の購入行為に、消費経済のシステムの法則を見出していく、今巷でトレンドになっているプロジェクト型の授業。

大橋先生は、ビジョンが「弁当授業」というメタファで語られるようになったとき、それはストーリーになっている。ロジックが物語に転換したとき、この学校は動くと確信を持ったという。

入試広報部課長代理の鈴木一男先生は、「学内で共有してきたビヨンが、受験生の保護者や塾の先生方と話をしているときに、共有されているという実感を感じたときに、ビジョンは実現するのだと腑に落ちた」という。

ビジョンの共有、対話、自己鍛錬、チームワーク、論理と物語というシステム思考。学校案内が出来上がるまでに、これらの5つの要素が関係を紡いでいった。

そして、そのビジョンの関係全体の大本のプロトタイプが、新学期中学生全員に開陳された。大橋学園長の哲学講話である。

テーマは「発想の自由人たれ」。サンデル教授よろしく問いが発せられ、生徒といっしょに考えていく。正解は一つではない。1人ひとりの考え方を尊重していく。そして、生徒は自分の感じ入ったことについて、ショートエッセイとして書き留める。なんと三田国際学園の授業の元型ではないか。

学園長と生徒・学園長と教師・教師と生徒・生徒と生徒・・・・・・。発想の自由人が育成される本物の教育ネットワークの連続体がそこにはある。この授業の元型・プロトタイプが、三田国際学園のあらゆる教育活動、iPadをはじめとするあらゆる学習ツールを貫き通す。

頭も心も≪優れた≫グローバル人材が羽ばたく教育環境にワクワクするではないか。

 

 

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