聖学院 最高の授業(2)

伊藤大輔先生の高2の英語の授業。この学年は、最後のセンター試験世代。それゆえ、ミニテストをまず返却して、スコアの分布などデータ分析をきちんとして、それぞれの生徒のポジショニングを明快にしていきます。受験に向けてのマインドセットがきっちりしているのです。
 
しかしながら、同校が推進している21世紀型教育の新たな改革の波は、最後のセンター試験世代にも及んでいました。グーグルクラスルームを活用して、反転学習が導入されていたのす。だから、きっちりデータベース戦術で知識のマネジメントができていたのは新鮮でした。
 
 
たんたんと文法問題の解説を行っているように見えたのですが、言語の一般化と具体化の適応という思考過程を生徒とシェアしていく深い分析的な授業でした。それは、すでに自宅で生徒が問題を解き終わっている、あるいは通学電車の中でスマホで入力し終わっているからたっぷり時間がとれたということと関係があるかもしれません。
 
人と物の気持ちの関係や自動詞と他動詞の差異は、英文法の問題レベルを超えて、コミュニケーション能力というコンピテンシーを支える重要な言語感覚。
 
入試問題を通して、言語分析の視点を標準搭載していくのです。文法の授業ですが、授業を通して言語分析というクリティカルシンキングが身に着くようにデザインされています。現在、2020年大学入試改革に向けて4技能の英語が重視されていますが、言語分析、言語適用、言語創造という言語的思考のベースは、4技能英語においても必要。しかも、この言語的思考はクリティカルシンキングがベース。4技能を相互につなげ、深い学びを展開していけるかどうかは、やはり、この思考スキルを身につけているかどうかにかかっています。

 
伊藤先生が、説明の時、レファレンスデータも自在に活用できるのも、ICTを巧みに利用しているからです。Imaginary imaginable imagined imaginativeのような接頭語や接尾語の違いを分析する問題も、類似問題がテータベース化されているから、どんどん生徒に投げかけられていきます。伊藤先生はは、反転授業において、優れたコーチの役割を演じているのです。
 
選択肢の問題は、すべてデータで正答率がでるようになっていて、エンパワーメント評価として授業で活用されています。これができるのは、先述したように、反転授業が行われているからであり、グーグルクラスルームでホームワークが出されているからです。つまり、実はセンター試験世代の受験生だけれど、21世紀型教育を意識した戦略的な受験指導になっていたのです。データ英語トレーニングとでもいいましょうか。
 
そんなことを思っていたら、今度はグループワークにすみやかにシフト。、議論しながら問題を考えていきます。その議論で生徒が使う言語の用法は、単語や文の構造をクリティカルシンキングしながら論点を明らかにする言語活用です。
 
 
グループワークで議論を明快にでき、深めていくことができるには、クリティカルな視点を標準搭載されている必要があります。反転授業は、この思考環境を生徒の内面に創り出すことだったのです。この環境を活用して生徒の学びは展開していきます。このとき伊藤先生は共感的コミュニケーションによるファシリテーターになっていました。
 
伊藤先生は、現高2生が、最後センター試験世代の生徒だからこそ、受験指導という枠内で、21世紀型教育を戦略的合理的プログラムとして創意工夫していたのです。
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