第1回 21会カンファレンス 「21世紀型教育が未来を創る」②

高橋先生:そろそろ私学だからこそできることは何かについて斬りこめそうですね。

平方先生:これから社会が未知のものに遭遇していく。それを解決していく能力はどのように身に着けるのか、それを21会はやらねければならない。たった一つしか答えがないものに、教師が誘導する授業を12年間行い、若者が成長したころには答えがないと何も発見できないようになってしまいました。

答えがない、または複数あるものに対し、自分の考えや、いろいろな主張を論理的に頭の中で考える個の力とチームワークがカギです。PILやPBLをしっかり行い、訓練しないと欧米の方と共に仕事をし、活躍し、自分たちの国をしっかりと発展させることは難しいのです。21会として最終的に求めるものはグローバル、イノベーション、リベラルアーツで、このGILをより研究してやっていこうではありませんか。

ここになぜ20世紀型の教育方法がダメなのか、その理由としての例を挙げましょう。一つは文科省が原子力研究について補助金の額で、平成25年は53億200万。30~70億近いお金が出ていますが、こういう風に原子力に対し、大きなお金が出ています。一方で大学別に出ている補助金では、20世紀型の優等生が多い大学には補助金が多く出ています。

つまり、3.11がおこって2年も経つのに、その解決がほとんど見えていないのです。20世紀型の発想では、未来の解決ができるのかというと、まったくできないという典型ではないでしょうか。だいたい相変わらずお金で教育を解決しようというのではうまくいかないでしょう。どういう教育を授業の中で創造できるかで、世界の中でどのように日本が進んでいけるか、そのための人材が決まってくるのです。

高橋先生:20世紀型教育の影響を被っている今の生徒は間違えたらいやだと思っている。自分で述べてみようではなく、答えがどこかにあり、その答えを見つけるのが勉強だから、おもしろくもないし、楽しくもない。学びが楽しみ、喜び、希望につながらない。これはいったいどういうことだろうか。

渡辺先生:それらをつなげるのは、結局は教養であるということでしょう。グローバル人材養成ということで、いろいろ言われていますが、英語をしゃべれるようになればいいかというと、そうでもない。相手の置かれた社会的背景などの様々な問題を理解できないと、うまくコミュニケーションも取れません。それに必要なのが教養で、リベラルアーツなのです。

高橋先生:ではリベラルアーツをどこがやるのか?私立学校ならできるのではないか?ということですね。

平方先生:私立学校は1校1校がみなものすごく各校のことを考えています。今年から東京都は高等学校で個人が海外留学をするときに、予算を付けることとなった。3か月であれば1人50万、6か月の場合は75万、1年間であれば150万円というふうにつけられた。それぞれの学校が違う形の授業を考えられるわけです。

そこでは明らかに私立学校の特色が出てくるはずです。ところが都立は学校がやっていない、業者に丸ごとまかせてしまっています。自らの創意工夫はリベラルアーツから生まれるので、そのベースがない環境では、そうならざるを得ないのでしょうが、私立学校は財政的には不自由なところもありますが、学校のオリジナリティを発揮できる教育の場であることは間違いありません。

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