個性を育てる知能開発 国際性を育てる知能開発 創造性を育てる知能開発
聖徳学園の個性そして国際性は、日本及び世界の文化・歴史の探究体験を通して学ぶところから生まれることは明らかになった。
しかし、「体験を通して学ぶ」といったとき、このフレーズの中の「学ぶ」が何を意味するのか。それは聖徳学園の学力構造モデルによって明らかになる。
人と人の「和」のつながりがあり、それが学びの意欲を生むという学びのサポートがあるからだ。そしてこの学びの意欲を生むプログラムに「知能開発」が位置付けられている。
庄子教頭は、知能開発の有効性についてこう語る。
「聖徳学園の知能開発は、久しい間、小学校から継続して行われている歴史を持っていて、他校にはない特徴を持っています。各教科の勉強や体験学習で遭遇した知識を、他の知識と結びつけることによって、知識が活用され、思考になり、やがては創造性に発展するという経験値を積み上げていくものです。」
日本の教育では、知能や学力は、各教科の中で学ぶから、独立してこれが知能だとかこれが思考だとかという話題にはならない。つねに素材を学ぶことに主眼がおかれる。
総合学習では、それらの素材を横断的に扱い、そこから何を学ぶかが問われてきた。
しかし、聖徳学園は、学ぶことそのもの、考えることそのものを、各教科や総合学習などから抽出し一般化して学ぶ「知能開発」というプログラムのデザインを試行錯誤しながら創り上げてきた。
今日、日本語IB(国際バカロレア)200校構想、スーパーグローバルハイスクール100校構想なるものが、文科省によって計画され、大いに話題になっているが、この話は夢のような話なのである。なぜかというと、IBは教科領域以外に、TOK(Theory of Knowledge)といういわば哲学授業がある。イギリスの高次思考を要求するAレベルという教育制度では、“Thinking about Thinking”というTOKに相当する、考えることとは何かについてトレーニングするコースがある。
IBとかスーパーグローバルハイスクールという話は、そういう意味で、夢のような話だ。というのも教科横断型の総合学習も、教育行政的にはとん挫したにもかかわらず、教科横断的に思考するということはどういうことなのかという認知科学の領域に踏み込むというのだからだ。
ところが、聖徳学園では、まさにIBのTOKやAレベルのように、知能や学力、つまり考えるということはいかなることかそれ自体を学ぶ「知能開発」のプログラムがデザインされ続けてきたのである。
藤尾副校長は、
「知能開発は独立したプログラムであると同時に、自由研究や教養講座の土台になっています。ですから自由研究には生き生きとして生徒は立ち臨みます。骨付きフライドチキンという身近な食べ物から、その骨を使って、鳥の骨格を再現したり、脳開発やリハビリのための人工指を創ってしまう生徒もいます。
しかしながら、私たちが創意工夫してきたこの知能開発は、まだまだバージョンアップが必要です。とくに電子黒板やタブレット型のICT教育が21世紀型スキルの1つとして普及してきている時代です。さらに工夫していきたいと思います」と。
そして、伊藤校長は、こう固い決意を語った。
「CEFRという世界標準の英語教育、そしてICTを活用した21世紀型スキルを見据えると、世界に通用する生徒の才能を伸ばすための、PISAに象徴されるような世界標準の知の基準を研究していかねばならい。そうすることで再び聖徳学園の学力構造モデルもバージョンアップするはずです。
実際2018年の大学入試改革を待つまでもなく、すでに東大や早稲田の問題にみられるように、入試問題も暗記型ではなく、論理的思考や創造的に表現する力を求めてきている。教育の質の競争がいよいよ本格する時代です。聖徳学園の教育の質を「和」のネットワーク全体で必ずや高めていきます。」
聖徳学園が日本の教育を変える。そんな時代の音が聞こえた。