私学人から見た大学入試改革の道(1)

§1 はじめに~21会私学人が語る

(左から、大島規男先生、平方邦行先生、吉田晋先生、高橋博先生)

2013年10月31日に政府の教育再生実行会議は、第4次提言「高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜の在り方について」を提出。一部メディアが「国公立大 2次の学力試験廃止」とまで取り上げ、教育界や受験業界に混乱を招くほど、注目を集めた。

もちろん、2次学力試験を廃止するところまで話は進んでいないわけだが、第4次提言が高校生の学習環境の転換を意味する衝撃的な内容であることは否めない。そのため、有識者や受験業界の経営陣は緊急座談会など矢継ぎ早に開催した。

しかしながら、一方で、久しい間、私学人は、知識偏重にならずに、幅広い教養やグローバルな異文化世界で多様な人々と協調しながら世界の問題を解決していける資質を測れるように大学入試を改革することを提唱し、同時にその新しい大学入試に接続できるように高等学校の授業やシラバス、評価などのカリキュラムイノベーションを積み上げてきたのも事実である。

したがって、私学人は、今回の第4次提言を、臨教審以来の歴史的経緯から眺望してみて、楽観的にみなすことはしない。しかしながら、グローバリゼーションの光と影は、政治経済のみならず、教育にもすぐそこにまで迫ってきており、いつまでも国内都合の縦組織を堅牢に守る学歴社会を放置することもできない。それゆえ、第4次提言を悲観的に諦念するわけにもいかない。

つまり、私学人として国に教育改革をどのように具体的な戦略で成就すべきなのか助言できるのか、また助言する以上は私立学校自らの教育イノベーションはいかにして可能なのか、具体的に積み上げる実践構想を考案するといういわば理念と実践の一致点を見出さなければならない。

そこで、

自らも中央教育審議会の委員として、すでに第4次提言について審議会で議論されている21会会長吉田晋先生(富士見丘学園理事長・校長、日本私立中学高等学校連合会会長)、

カトリック学校の改革を推進されている21会副会長高橋博先生(聖パウロ学園理事長・校長、日本カトリック小中高連盟委員長)、

21世紀型教育を世に問い、推進されている21会幹事長平方邦行先生(工学院大学附属中学校高等学校校長、一般財団法人東京私立中学高等学校協会副会長)、

自ら21世紀型学びの理論を哲学授業で思考実験されている大島規男先生(富士見丘学園教頭)

が集結し、熱く語り合った。(2013年11月14日 富士見丘にて) by 本間勇人:私立学校研究家

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